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「丸々カットびっくり」“原作改変”されたのに…「本当に凄すぎ」「心が満たされた」称賛相次いだ『異色アニメ映画』

  • 2026.4.5

漫画を映画化する際、たびたび話題を呼ぶのが“原作との違い”だ。アニメ映画『BLUE GIANT』では、ジャズに魅せられた主人公が世界一のジャズプレーヤーを目指し始める原点とも言えるパートが大幅にカットされた。しかし、本作は称賛の声が続出し、高い評価を得ている。その理由とはいったい何なのだろうか。

※以下本文には作品内容が含まれます。

“最初から描かない”映画版の見せ方

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

2023年2月17日に公開されたアニメ映画『BLUE GIANT』は、2013年に“ビッグコミック”(小学館)にて連載開始した石塚真一先生によるジャズ漫画を原作としており、コミックスのシリーズ累計発行部数は1400万部を突破した。“音が聞こえてくる漫画”と呼ばれ、第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞や、第62回小学館漫画賞(一般向け部門)を受賞するなど、高い評価を得ている。

本作は、ジャズに魅了された青年・宮本大(CV:山田裕貴)が上京し、高校の同級生・玉田俊二(CV:岡山天音)と凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(CV:間宮祥太朗)と出会うところから物語が始まる。彼らはジャズバンド“JASS”を結成し、日本最高のジャズクラブ“So Blue”に出演して日本のジャズ界を変えることを目標に掲げるのだ。それぞれ実力差がありながらも、無謀とも言える夢に向かって努力を重ねる3人。ジャズにかける情熱がひしひしと伝わってくる、青春ストーリーとなっている。

映画では大が上京してからの物語を軸にしているが、原作の始まりにあたる第1集では、大はまだ高校3年生。バスケ部に所属する彼は、ある日ジャズの生演奏に心を打たれ、世界一のジャズプレーヤーを目指し始める。このように、原作の序盤では仙台を舞台にした大の高校時代が描かれているのだ。一方、映画では仙台編の描写はほとんどない。

原作の内容が大幅に省略されたアニメ映画『BLUE GIANT』についてSNSでは「丸々カットびっくり」「思いきってる」「衝撃受けた」と、驚きの声があがった。ちなみに、大の東京編は全10集ある漫画『BLUE GIANT』の第4集からスタートする。120分の映画に落とし込むために原作の最初から描かない、大胆なアプローチだと言えるだろう。

最高のアーティストが支える音楽

アニメ映画『BLUE GIANT』の魅力は、見る側の心を熱くさせる大のまっすぐな情熱。加えて雪祈の繊細さや焦り、初心者である玉田の必死さがていねいに描かれており、ただの青春サクセスストーリーでは終わらない。3人の葛藤がぶつかり合うことで、演奏シーンにまでドラマが宿っている。

何より圧巻なのがライブシーンだ。音の迫力だけでなく、演奏に込められた感情の揺れまで伝わってくる。ジャズに詳しくなくとも、音が言葉以上に雄弁だとわかるだろう。そんな本作の音楽を手がけたのは、日本のジャズシーンのトップを走る世界的ピアニスト・上原ひろみさんだ。上原さんは大たちのオリジナル楽曲を書き下ろしたほか、劇中曲を含めた作品全体の音楽も手がけている。

“JASS”の演奏を担当したのは、上原さん、DREAMS COME TRUEとの共演などでも注目される馬場智章さん、くるりのサポートメンバーとしても活躍する石若駿さんの3名。実力者である彼らによって、本作でしか生み出せないような演奏を鳴り響かせた。音楽が大きな見どころとなっている本作についてSNSでは「2023年のNo.1映画」「心が満たされた」「本当に凄すぎ」と、称賛の声があがった。

アニメ映画『BLUE GIANT』は仙台編を省略しながらも、一本の映画として十分に見ごたえがあり、原作の持ち味である“熱さ”を描き切っている。本作の高いクオリティが実現した理由には、アーティストをはじめとした映画に携わる最高のメンバーの存在が大きいのではないだろうか。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari