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なぜか若手が突然辞める…人事歴10年のプロが見た、上司が無意識に放っている「NGフレーズ」

  • 2026.4.26
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

現代の職場では、若手社員と上司世代の間で価値観のすれ違いがしばしば発生しています。「自分らしいキャリア」を求める若手に対し、昭和・平成の職場文化で育った上司が良かれと思ってかける言葉が、かえって若手の焦りや不安を招いているとしたら……。

なぜ、上司の親切心が裏目に出てしまうのでしょうか。また、若手社員は今、職場に何を求めているのでしょうか。今回は、人事の専門家であるトクダさんに、世代間の心理的なすれ違いの正体と、良好な関係を築くためのコミュニケーションのヒントについてお話を伺いました。明日からすぐに実践できる、部下の成長とキャリアを応援する関わり方を探ります。

なぜ上司の「良かれ」が若手に響かないのか?世代間の価値観ギャップ

---若手社員と上司世代の間で、仕事に対する価値観にギャップがあるように感じます。なぜ心理的なすれ違いが起きてしまうのでしょうか?

トクダさん:

「現代の若手社員は、成長機会や自己実現を仕事に求める世代と言われています。SNSなど多くの情報を得られる環境の中で『自分らしいキャリア』『この仕事を通じて何が得られるか』を求めてる傾向です。従来の『組織への帰属』『一社で長く勤めることが安定につながる』という価値観から大きく変化していると言えます。

一方で、昭和・平成の職場文化で育った上司世代は『苦労を経験してこそ』『とにかく足を動かす』などの価値観を持つ人も少なくありません。そのため、上司が良かれと思ってかける『経験していくうちにわかる』『今はまだその時期じゃない』などの何気ない言葉が『この職場では成長できなさそう』という焦りや不安を引き起こし、心理的なすれ違いにつながる要因となっている可能性があります。」

「キャリアへの不安」が離職を招く?なぜ「君のためを思って」が逆効果になるのか

---若手社員が成長機会を求めて転職を考え始める背景には、どのような心理があるのでしょうか。また、上司が良かれと思って使う「君のためを思って」という言葉が、なぜ離職のきっかけになってしまうのでしょうか?

トクダさん:

「近年の『ゆるい職場』と呼ばれる成長実感を得にくい環境では『キャリアへの不安』を感じやすくなるとも言われています。若手社員の多くは入社初期に関わる上司や先輩の姿に影響を受けることが多く、不透明なキャリアや成長機会の欠如を感じると意欲が低下し、転職を考え始めることにもつながっていると思われます。

『君のためを思って』という言葉が離職を招く背景には、上司が思い描く『こうすれば成功できる』という道筋と、若手社員が自分自身で歩みたいキャリアの間にあるズレによるものが大きいと考えられます。今の若い世代の中には、会社に守ってもらうことよりも『どの職場でも通用するスキルや専門性』を自分の手で身に付けたいと思っている人も一定数います。そのため、上司が自分の経験をもとに一方的に『これが正解だ』と押し付けられているように感じてしまい、『成長の機会を奪われた』と感じてしまうきっかけになるようです。」

部下の意欲を高めるために。今日からできる「言葉の変え方」と小さな習慣

---世代間のすれ違いを防ぎ、部下が意欲的に働ける環境を作るために、上司は具体的にどのような関わり方を意識すべきでしょうか?

トクダさん:

「『この言葉を言ってはいけない』という考えではなく、『部下が将来どうなりたいかを無視したまま、細かく管理したり、組織の都合だけを押しつけたりする』言い方を避けることを心がけたほうがよいでしょう。例えば『君のためを思って』という言葉も『あなたがどんな環境でも活躍できるよう、まずはこのスキルを身に付けてみよう』などと言い換えることで、押し付けられている印象はなくなります。部下を一人の人間として尊重し、成長やキャリアを応援している姿勢を言葉や行動で示すことが重要です。

『この仕事があなた自身の将来にどう役立つか』を言葉にして伝えることが大切。今の若手社員は『会社のためにがんばれ』と言われるよりも『この経験を積んでおくとどこでも通用するスキルが身に付く』『今回の仕事はあなたが考えるキャリアに近づくための一歩になるかもしれない』といった、自分自身の未来と仕事がつながっていると感じられる言葉を求めてる人も多い傾向です。

新しい仕事を任せる時は、その仕事が部下のキャリアにとってどんな意味があるのかを、その人の目標に合わせて伝えることで、『この職場に入れば自分は成長できる』という納得感と安心感を持ってもらうことができます。また、結果だけでなく日々の小さな頑張りやプロセスを具体的に褒めるなどの声掛けもあるとよいでしょう。『上司がしっかり自分を見てくれている』という信頼にもつながるのではないでしょうか。また、社内でロールモデルになりそうな他部署の先輩などと引き合わせる機会を作ることも効果的。広い視野を持てるようになり、結果として自社で働く意義を再確認できる機会になるかもしれません。まずは部下の話を先に聞き、将来に関心を持って言葉を紡ぐ小さな習慣の積み重ねが離職を防ぐ一歩になるのではないか、と思います。」

まとめ:部下の未来と向き合うことが、最大のマネジメント

今回のお話を通じて感じたのは、若手社員が求めているのは「特別な配慮」ではなく、「自分という人間への関心」と「自分のキャリアに対する尊重」なのだということです。上司世代にとっては当たり前だった「経験年数=スキルアップ」という方程式が通用しづらい今、個々の未来と目の前の仕事をどう結びつけるかが、上司の腕の見せどころと言えるでしょう。

「君のため」という言葉を「君の目指す姿のために」と言い換える。まずは部下の話を聴き、その人のキャリアに興味を持つ。そんな小さな習慣の積み重ねこそが、若手社員の納得感と安心感を生み、結果として強いチームを作る土台になるはずです。今日から、部下の視点に立った言葉掛けを一つ、始めてみませんか。


監修者:トクダ

企業の人事担当として、10年以上人事業務に従事。現在はキャリア関連のWebメディアでの記事執筆や監修、地方創生メディアでのインタビュー記事の作成など、ライターとして活動中。人事経験とキャリアコンサルタント資格を活かした就職・転職関連のキャリア形成に関わる記事を得意としている。


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