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落とした財布を拾った人から「半額を払わないと返さない」弁護士が明かした“驚きの真実”

  • 2026.4.26
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

落とした財布が手元に戻ってきたとき、まず浮かぶのは「助かった…」という安堵と、拾ってくれた方への感謝の気持ちではないでしょうか。

しかしその一方で、「謝礼として○万円を払ってほしい」と思いがけない金額を求められたら、戸惑ってしまう方も多いはずです。「お礼はいくら払うべき?」「高額な要求でも応じなければいけないの?」といった疑問の声も少なくありません。

実は、落とし物を拾った人が謝礼を受け取る権利は、法律上「報労金(ほうろうきん)」として認められています。ただし、その金額や範囲には一定のルールが定められています。

この記事では、遺失物法に基づき、財布を拾ってもらった際の適切な謝礼の考え方や、高額な請求を受けた場合の対処法について、弁護士の寺林智栄さんに解説していただきます。

財布を拾った人が謝礼を求めるのは法律で認められているの?

---落とした財布を拾ってくれた人から謝礼を求められたのですが、これって法律的にどうなのでしょうか?

寺林智栄さん:

「落とした財布を拾ってもらった場合、拾得者が謝礼を求めることは、感情的な問題ではなく法律上も一定程度認められています。これがいわゆる『報労金(ほうろうきん)』の制度です。

遺失物法では、落とし物を拾って警察に届け出た拾得者は、持ち主に対して報労金を請求できると定められています。つまり、単なる“善意のお願い”ではなく、法律上の権利として認められている点が重要です。

報労金の額は、原則として落とし物の価額の5%以上20%以下とされています。たとえば、財布の中に現金やカードなどが入っており、その価値が10万円と評価される場合、5,000円〜2万円の範囲で請求できる可能性があります。金額は当事者間の話し合いで決めるのが基本です。

もっとも、拾得者が自動的に報労金を受け取れるわけではありません。法律上は『持ち主が返還を受けたとき』に支払う仕組みであり、拾得者が警察へ届け出るなど適切な手続きを取っていることが前提となります。

したがって、財布を拾った人が謝礼を求めること自体は違法ではなく、むしろ法律が予定している制度に基づく正当な請求といえます。」

謝礼として「財布の中身の半額」を支払う義務はある?

---よく「謝礼として中身の半額を払え」といった話を聞きますが、本当に半額を払わなければならないのでしょうか?

寺林智栄さん:

「結論から言うと、『財布の中身の半額』を支払う義務は通常ありません。先ほども述べたように、報労金の額は法律で上限が定められており、拾得者が自由に金額を決められるわけではないためです。

遺失物法では、報労金は落とし物の価額の5%以上20%以下と定められています。ここでいう『価額』は、財布本体や中の現金・物品などの総額を基準に判断されます。したがって、現金の半額(50%)という請求は、法律上の範囲を大きく超えており、応じる法的義務はありません。

また、報労金は自動的に決まるものではなく、基本的には当事者間の話し合いで具体的な金額を決めます。話し合いがまとまらない場合には、法律上の範囲(5~20%)を目安に判断されることになります。実務的には10%前後で落ち着くことも多いとされています。

なお、拾得者が警察に届け出るなど適切な手続きをしていない場合、そもそも報労金を請求できない可能性もあります。

つまり、『半額を払わないと返さない』といった主張は法的根拠に乏しく、冷静に法律上の範囲を踏まえて対応することが重要です。」

法外な謝礼を求められたら?トラブルを防ぐ正しい対処法

---もし拾った人から、法律の範囲を超えるような高額な謝礼を強く求められた場合、どう対応すればよいのでしょうか?

寺林智栄さん:

「拾得者から法律の範囲を超える高額な謝礼を求められた場合は、感情的に応じるのではなく、法的ルールを踏まえて冷静に対応することが重要です。

まず、報労金は遺失物法により価額の5%~20%の範囲と決められているため、その範囲を超える請求には応じる義務はありません。『法律上はその範囲とされています』と落ち着いて伝え、話し合いで適正額を提案するのが基本です。特に『払わないと返さない』と言われた場合でも、過度な要求に従う必要はありません。

次に重要なのは、直接のやり取りを最小限にすることです。落とし物は警察を通じて返還を受けるのが原則であり、個人間での直接交渉はトラブルの原因になりやすいからです。すでに警察に届けられている場合は、警察を窓口として対応するのが安全です。

また、強い要求や威圧的な言動がある場合には、無理に交渉を続けず、警察に相談することが適切です。状況によっては、返還を条件に過大な金銭を要求する行為がトラブルに発展する可能性もあります。」

法律のルールを知り、冷静かつ適切な対応を

財布を拾っていただいた感謝はあっても、法外な要求に応じる必要はありません。報労金はあくまで法律で定められた5%から20%の範囲内が基準です。

万が一トラブルに巻き込まれそうな時は、感情的にならずに法的ルールを冷静に伝えましょう。また、何より大切なのは個人間での直接交渉を避け、警察を介してやり取りをすることです。この知識を覚えておくだけでも、もしもの時の大きな安心材料となるはずです。


監修者:寺林智栄

2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。


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