1. トップ
  2. 「これくらい平気」と二人乗りや斜め横断を重ねた人が青切符を切られた場合の“反則金総額”

「これくらい平気」と二人乗りや斜め横断を重ねた人が青切符を切られた場合の“反則金総額”

  • 2026.5.18
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

自転車は私たちの生活に身近な移動手段ですが、交通ルールをどこまで正しく意識できているでしょうか。

たとえば、後ろに人を乗せたまま走行し、ブレーキの効きが甘い状態でもそのまま進み、交差点ではショートカットするように斜めに横断してしまう...。急いでいるとき、こうした一連の動きを無意識にしてしまっていないでしょうか。

しかしこれらの行為は、単なるルール違反にとどまらず、反則金の対象となる可能性があります。さらに、万が一事故が起きた場合には、自分の過失が大きく問われるリスクもあります。

そこで今回は、自転車の交通違反にまつわる疑問について、正木裕美弁護士に解説していただきます。違反の区分から反則金の実態、そして事故時の過失割合まで、知っておくべき法的リスクを整理します。

自転車の「二人乗り」「ブレーキ不良」「斜め横断」はどんな違反になる?

---自転車で二人乗りをした場合や、ブレーキの効きが不十分な状態で走行した場合、さらに交差点を斜めに横断した場合、それぞれどのような違反に該当するのでしょうか?あわせて、自転車の整備や通行方法に関する基本的なルールについても教えてください。

正木裕美 弁護士:

「自転車の二人乗りは、ブレーキの効きに影響したりバランスを崩す可能性もあるので禁止されています 。違反すると『軽車両乗車積載制限違反』となります。例外的に、未就学児を幼児用座席に乗せる、タンデム自転車や三輪自転車で座席がある場合は例外的に認められています。

また、ブレーキが故障して効きが不十分な場合は『自転車制動装置不良』となります 。ブレーキの効きは基準が定められていて、乾燥した舗装道路で時速10kmで走行時にブレーキをかけたときに3m以内に停止させる性能が必要です。ブレーキがない自転車やブレーキが故障して基準を満たさず、交通の危険を生じさせるおそれのある自転車の運転は禁止されています。

さらに、交差点の斜め横断は『交差点右左折方法違反』、信号があれば『信号無視』にもなりえます。交差点での通行方法も道交法で定められています。右折するときは、あらかじめできる限り道路の左端に寄り、交差点の左端に寄って徐行しなければならないので、二段階右折で右折することになります。二段階右折せずに斜め横断することは、交差点右左折方法違反のみならず信号無視にもなります。左折の場合は、あらかじめできる限り道路の左端に寄り、交差点でも道路の端に寄って徐行しなければなりません。」

違反が重なると反則金はどうなる?

---今回のケースでは、「二人乗り」が3000円、「制動装置不良」が5000円、「斜め横断」が3000円とされていますが、こうした違反が重なった場合、反則金はどのように判断されるのでしょうか?実際にはいくら程度になるケースが多いのか、具体的な金額の目安についても教えてください。

正木裕美 弁護士:

「前提として、青切符の対象となる違反があれば必ず摘発されるという運用にはなっていません。警察庁によると、自転車への青切符導入後も、自転車の交通違反の取締りは現場での『指導警告』が基本で、交通事故の原因となるような悪質・危険な違反が検挙の対象となるという考え方は変わらないとされています。

そのため、青切符の対象となる違反行為として113種類が定められていますが、今回のように、違反行為の中でも重大な事故につながるおそれが高い『ながらスマホ』や、複数の違反が重なり事故の危険性が高まる悪質な事案では、青切符による検挙の可能性が高くなるでしょう。

そして、今回のように複数の違反が重なった場合の反則金の扱いについては、通達が出されており、それぞれの違反が法的にどのような関係にあるかによって扱いが異なります。

まず、複数の違反が成立しているけれど、違反の間に一定の関係があるので、反則金を通告する上では1つとして扱うもの(観念的競合・牽連犯)。この関係にあるすべての違反は1枚の青切符で処理され、反則金は金額が最も高いもの1つで通告されます。

一方、これに該当しない関係にある違反行為は(併合罪)、違反行為ごとに青切符が交付されるため、反則金の合計額の支払いが必要になることになります。

どのような扱いになるかは現場の判断や状況次第ですが、それぞれの違反は一つの行為と評価し難く、違反が重なった場合は別々に通告され、反則金の総額は11,000円となる可能性もあり得るでしょう。」

事故時の過失割合はどう判断される?

---ブレーキ不良の状態で二人乗りを行い、さらに斜め横断をした場合、事故時の過失割合はどのように判断されるのでしょうか?特に危険性が高いと評価されやすいポイントがあれば教えてください。

正木裕美 弁護士:

「事故当事者の過失割合は、実務上、過去の裁判例をもとに事故態様に応じて整理されている基本的な過失割合があるので、これをベースに検討するのが一般的です(ただし、絶対的な基準ではなく、実際の事故状況は様々なので割合は変わりうる)。

そして、個別の事情を反映させて基本的な過失割合を修正するのですが、その重要な要素として『著しい過失』や『重過失』があります。事故態様から通常想定される過失を超えるような『著しい過失』や故意と比肩すべき『重過失』が認められると、基本的な過失割合よりも過失が重くなることがあります。

一言に斜め横断といっても、信号機の有無や状態、道路の状態、車両の位置関係や状況等具体的な状況によって異なるのですが、例えば、信号機のない交差点を自動車と同じように右折する形で自転車が横断し、直進してきた対向車と衝突したとすると、基本的な過失割合は自転車:自動車=50%:50%と考えられます。

さらに、二人乗りは著しい過失と考えられており、過失が重くなる可能性があります。ブレーキに関し『ピスト』等の制動装置不良は自転車の重過失とされており、ブレーキ不良についても、事故発生や損害の発生に関与している場合には過失が重くなる可能性があると考えられます。」

交通ルールを守ることが、自分と周囲を守ることにつながる

今回の取材を通じて、自転車の交通ルール違反は単に反則金の支払いが発生するだけでなく、事故の際に大きな不利益を被る可能性があることが分かりました。特に「二人乗り」や「ブレーキ不良」といった状態は、事故時に「著しい過失」や「重過失」として評価され、自分に不利な過失割合が認定されやすくなるという点は、日頃から十分に意識しておく必要があります。

日々の移動手段である自転車だからこそ、甘く考えず、ブレーキの整備や正しい右左折の方法など、基本的なルールを遵守することが、事故を防ぎ、自分と周囲の安全を守るための第一歩となるでしょう。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

undefined
正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。 アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

undefined
弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

メディア出演弁護士
保証制度


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる