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「気にしない」という美学──金メダリスト、アリサ・リュウはなぜ世界を魅了したのか

  • 2026.2.25
Alysa Liu.

アメリカ・カリフォルニア州出身の20歳のフィギュアスケーター、アリサ・リュウは、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックで2つの金メダルを獲得した選手というだけでは語りきれない。女子シングルおよび団体のチャンピオンである彼女は、オリンピックレベルで戦うアスリートに期待されがちな、笑顔を見せない張り詰めた集中力とは対照的なカリスマ性とクールさ、そして型にはまらない自由奔放な性格で世界中の観客の心をつかんだ。

そんな彼女は、16歳で一度スケート選手を引退している。「5歳でスケートを始めたので、氷の上にいたのは約11年間。本当にクレイジーな11年でした。素晴らしいこともたくさんあったし、つらい瞬間もたくさんありました」と、2022年にインスタグラム上で綴っている。

しかし、そのわずか2年後には再びリンクへと戻り、「しばらくスケートから離れたことは、私にとって良い時間でした。そして今、新しい視点を持って再び滑れることに、心からワクワクしています」と語った。

現役復帰を発表した際のインタビューでは、こう明言している。

「コーチたちとは約束をしました。私が何を着るかを、誰にも指図されないこと。髪型についても口出しされないこと。誰も私を変えようとしないこと。もし髪を地毛に戻せと言われたら、私は辞めます。私の髪が気に入らないからといって点数を低くつけたり、違う扱いをしたりするなら、それは向こうの問題。髪を変えるときがあるとしたら、それは私自身が望んだ結果です」

Alysa Liu.

競技に復帰するなかで、彼女のルックは徐々に、現在インターネットを席巻しているスタイルへと進化していった。まず注目すべきはゴールドとブラウンのストライプヘアだ。『KSDK』の報道によれば、この「ヘイロー・ヘア(後光ヘア)」を作る施術には5時間を要し、現在では多くの人々が同じスタイルを希望してサロンを訪れているという。

さらに注目すべきは、スクランパー(上唇小帯)のピアスだ。笑うと見えるこのピアスは、通称スマイリーピアスと呼ばれている。上唇の内側の薄い膜につけるジュエリーであり、NBCの取材では、このピアスを自分で開けたことを明かしている。「妹に唇を持ち上げてもらい、鏡を見ながらピアッシングニードルで空けました」

2024年のポッドキャストのインタビューでは、自分でピアスを開けた理由について、「お店でピアスを開けてもらうのは本当に高すぎる。だから、自分で覚えてDIYガールになろうと思ったんです」と話した。

Alysa Liu.

アイコニックなビジュアルだけでなく、彼女の家庭環境にも注目が集まっている。アリサ・リュウの父親、アーサー・リュウは弁護士であり、1989年の天安門事件後に指名手配を受け、その後アメリカへ政治亡命を果たした。

アリサと4人のきょうだいは、匿名の卵子提供と代理出産によって誕生。5歳のとき、当時フィギュアスケートのチャンピオンであったミシェル・クワンやクリスティー・ヤマグチのファンであった父・アーサーが、彼女をスケートリンクに連れて行ったという。後のインタビューで、彼は「時間も費用も惜しみませんでした。ただ才能を見たのです」と語り、娘のスケート人生の育成に、総額50万〜100万ドルを費やしたという。

Alysa Liu.

Xのあるユーザーは、「アリサ・リュウが、史上初の“IDGAF、woke、altバディ”としてオリンピックで金メダルを獲得……これこそがアメリカを再び偉大にする方法だ」と書き込んだ。

つまり、「誰が何と言おうと気にしない(I Don't Give A Fuck)」姿勢に、オルタナティブ・ファッション(alt)と社会的・政治的意識の高さ(woke)を持ち合わせた、イケてる女性(バディ)なのだ。アリサ・リュウは、自分らしさを貫き、社会問題やメンタルヘルス、社会的な包括性に意識的でありながら、それでもスポーツ界で勝者になれることを証明した。

Text: Alessandra Paudice Adaptation: Hanae Iwasaki

From Vanity Fair Italy

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