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『名探偵プリキュア!』東山奈央、妖精からプリキュアへ――“宝物の1年”に込めた覚悟

  • 2026.2.22
東山奈央 クランクイン! 写真:吉野庫之介 width=
東山奈央 クランクイン! 写真:吉野庫之介

テレビアニメ『名探偵プリキュア!』は、「プリキュア×探偵×タイムスリップ」という新機軸で描かれるシリーズ最新作。舞台は1999年。PHSや懐かしい言葉がさりげなく息づく世界で、名探偵プリキュアたちが事件の真相へと迫っていく。子どもにとっては“初めて”の発見があり、大人にとっては胸の奥がふっと温かくなるような記憶がある、世代を超えて楽しめる一作だ。本作で、敵サイドの怪盗団ファントムに属する森亜るるか(キュアアルカナ・シャドウ)を演じるのが東山奈央。秘密をまとったキャラクターを、息づかいひとつから丁寧に立ち上げながら、物語のもうひとつの“謎”として存在感を放っていく。そして、かつて妖精役として『プリキュア』に携わった彼女だからこそ語れる、作品への特別な想いと覚悟。その言葉の端々から、作品に注ぐまっすぐな熱が伝わってきた。

【写真】キュアアルカナ・シャドウ役、東山奈央の魅力が詰まった撮り下ろし(8枚)

■世代を超えて楽しめる『名探偵プリキュア!』

――「プリキュア×探偵×タイムスリップ」という要素が組み合わさった本作ですが、最初に脚本を読んだとき、どんな印象を受けましたか?

東山:最初にこの設定を伺ったとき、「盛りだくさんすぎる!」と思いました(笑)。特に“探偵”という要素は、シリーズを見てきた中でも予想外で、「その角度から来るんだ!?」って驚きました。

しかも私自身、ミステリーを読むのも謎解きをするのも大好きなので、1年間を通して“名探偵になった気持ち”で物語を追えると思うと、もうそれだけでワクワクして。さまざまな謎を解き明かしていく展開を、思いきり楽しめるのが嬉しいですね。

――1999年が舞台となる本作ですが、“時代の空気感”を感じた部分はありましたか?

東山:私は当時7歳くらいなので、ギリギリ物心がついているかどうか……という時期なんですけど(笑)、作中にPHSが出てくると「あ、時代だな」って感じますよね。

今見てくださっているお子さんたちは、PHSはもちろんガラケーも知らない世代だと思うので、過去を描いているはずなのに、子どもたちにとっては“初めて触れるもの”がたくさんある。それがすごく素敵だなと思いました。

「ママの時代はこうだったんだよ」って親子の会話が広がるのも楽しいですし、子どもは新鮮に、大人はノスタルジックに楽しめる。同じ作品でも世代によって味わい方が変わるのは、本作の大きな魅力だと思います。

――東山さんご自身は、もしもタイムスリップできるとしたら、行ってみたい時代や、人生の中で戻りたい時期はありますか?

東山:まだ物心がつく前くらいのさらに小さい頃に戻ってみたいです。家族や親戚がすごく温かく優しく接してくれていた、っていう記憶はあるんですけど……具体的にどんなふうにしてくれていたのかまでは覚えていなくて。改めてその時間を見られたら、ちゃんと感謝したいなって思います。

……って、言いつつ。ぶっちゃけ欲を言えば、行ってみたい時代はまだまだありますね(笑)。江戸時代に行ってみたいとか。あとは逆に、未来にも行ってみたいです。自分がもう絶対に生きていないような時代に行って、世界がどうなっているのか見てみたい。スマホの“先”って何なんだろう?みたいなことも、すごく気になりますね。

■敵サイドのプリキュア・るるかの正体は? “秘密”をまとうキュアアルカナ・シャドウ

――東山さんが演じる森亜るるか(キュアアルカナ・シャドウ)について紹介をお願いします。

東山:るるかはプリキュアなんですけど、なぜか敵サイドの「怪盗団ファントム」に属している女の子で……今のところ、彼女が何を考えているのか、目的は何なのか、謎に包まれた存在なんですよね。

本人は口数が少なくて、クールでミステリアスな雰囲気があるんですけど、そこをおともの妖精・マシュタンがいろいろフォローしてくれて。るるかの代わりに「ライライサー!」って掛け声を言ってくれたりするんです。そういうやりとりもすごく可愛くて、見ていて微笑ましいなと思います。

彼女自身は、ぱっと見はちょっとぽわっとしていたり、きょとんとしていたりするんですけど……実は推理力がものすごく高くて。見ただけで「これはこういうことだ」って、すぐ理解できてしまう子なんです。だからこそマシュタンも一目置いていて、ふたりで支え合い、補い合っている関係性が“いいバディだな”って感じています。

それと、るるかの好きなものとして外せないのがアイスです。劇中でもいつもアイスをペロペロなめているんですけど、いろんなアイスを持って現れるので(笑)、今日はどんなアイスかな?っていうところも楽しみにしていただけたら嬉しいです。

――物語において、るるかはどんな役割を担っていると思いますか?

東山:最初にみなさんの前に立ちはだかる“謎”なんじゃないかなと思っています。作品としては、毎回いろんな事件が起こって、ある種1話完結型のような形で進んでいくんですよね。Aパートで事件が起こって調査が始まって、Bパートで謎解きが動き出す……というスタイルが多いんです。

でもその中で、事件とはまた別軸で、キュアアルカナ・シャドウという存在が“もうひとつの大きな謎”として立ちはだかってくるのかなと、今収録している段階では感じています。「彼女の目的は何なんだろう?」って。

実は私は、少しだけその先を知っている部分があるんですけど……それは今、私だけが知っていて、ほかのキャストのみなさんは知らない情報だったりして。だからこそ、余計に“秘密”めいた存在だなと思います。

「アルカナ」という言葉自体にも“秘密”という意味があるので、まさにその通りの役割を担っているんじゃないかなって感じています。

――そんな彼女を演じるうえで大切にしているポイントは?

東山:実は序盤、るるかは息芝居がすごく多くて。だから、その中でどうやって“るるからしさ”を表現していくかは、結構難しかったですね。

でも、その一つひとつの息に、少しでもお子さんの心に残るようなインパクトを込められたらいいなと思っていましたし、「この子はどんな子なんだろう?」って興味を持って、毎回のお話を追いかけてもらえたら嬉しいなと思っていました。

これから本格的にセリフも増えていくと思うんですけど、プリキュアなので、決め台詞はどうしても勢いよく言いたくなるじゃないですか(笑)。でも、るるかはやっぱり“るるか”なので。彼女らしさを残したまま、どうしたら魅力的に響くのか……。そこは常に試行錯誤しながら、スタッフさんとバランスを調整して作っていけたらと思っているところです。

■羊宮妃那と築く“るるか&マシュタン”の絆

――キュアアルカナ・シャドウと強い絆で結ばれた妖精・マシュタンを羊宮妃那さんが演じられていますが、アフレコ現場で印象に残っているやりとりはありますか?

東山:羊宮ちゃんは、もともと大好きな役者さんで、お人柄も本当に大好きなんです。今回、隣に座って「私たちこういうペアなんだね。これから1年間よろしくね」みたいな話をしていたときに、結構じっくりお話しできたのが印象に残っていて。

その流れで、「実は私はあなたのこういうところが好きなんだよね」っていう話を、お互いに言い合えたんです。そんなふうに気持ちを交わせたのがすごく嬉しくて、「これから素敵なバディになっていけそうだね」って話せた時間が、心に残っています。

――羊宮さんご本人も、どこか妖精のような朗らかなオーラがありますよね。

東山:なんだか俗世離れしたような、本当にすてきな癒しのオーラを持っているんですよね。一緒にいると、こちらまで多幸感で満たされていく感じがして。羊宮ちゃんと話した日は、帰り道までホクホクした気持ちになるんです。そういう幸せを、自然とお裾分けしてくれる子だなって思っています。だからこそ、今回こうしてペアを組めたのが本当に嬉しくて。もっともっと仲良くなれる1年にしたいなと思っています。

――『プリキュア』シリーズの“妖精”という存在について、『Go!プリンセスプリキュア』でパフを演じられた頃と共通して感じる魅力はありますか?

東山:プリキュアのことを理解しようとして、いつも隣にいてくれる存在。それが妖精の大きな魅力だと思います。戦っているときに力を与えてくれるという意味でも助けになってくれるんですけど、それだけじゃなくて、“そばにいてくれる”こと自体が心の支えになるんですよね。

――子どもの頃は特に、隣にいてくれるパートナーのような存在は憧れでもありますよね。

東山:本当にそうで、強くなれる理由のひとつだと思います。目の前の誰かを助けたい、という気持ちだけじゃなくて、「この子が信じてくれる」と思えるから、いざという時も前に進める。妖精って、そういう存在だと思います。

だからこそ、ぬいぐるみを手に取っていただけるのもすごく分かりますし、妖精のぬいぐるみを抱きしめていること自体が、お子さんにとって優しいぬくもりになってくれたらいいなって思います。

■「熱い想いのバトン」を次へ――東山奈央が語る“プリキュアに携わる意味”

――東山さんの中で「プリキュアに携わる」ということの意味は、昔と今で変わったと感じる部分はありますか?

東山:私の中で“プリキュアを見る目”が変わったなって、すごく思います。『Go!プリンセスプリキュア』の頃は、初めて携わる現場として、「プリキュアの現場って、こんなにあたたかくて、こんなにみんなでひとつのものを熱く作り上げられる青春の場所なんだ」っていう発見がありました。もちろん、どの現場も愛を持って作品作りをしていると思うんですけど、プリキュアはその“濃さ”を特に強く感じたんです。

それはきっと、画面の向こうにお子さんたちがいてくれるからなのかなって思います。応援する気持ちが本当に届いているって信じて、いつもまっすぐに応援してくれる。自分もプリキュアみたいになりたいって、グッズを身につけてくれる。そういう純粋な気持ちに、こちらも全力で応えたいという思いが、チーム全体にあるんだなって感じていました。

だからこそ、プリキュアが長年続いてきたことには意味があって、みんなが熱い想いのバトンを受け継いできたんだなって。すごいなって、感動した1年だったんです。

そして今回の『名探偵プリキュア!』では、それをよく知っているからこそ、「プリキュアに自分がなるんだ」という夢が叶った嬉しさと、受け継いだバトンを大切に、次へつないでいくんだという想いがあって……もう一言では言い表せないくらい、特別な気持ちを感じています。

それに、もしかしたら私が『プリキュア』シリーズにメインキャラクターで関われるのは今回が最後なのかな、という気もしていて。他の声優さんでもいくつか異なるキャラクターでシリーズを通して関わっている方はいらっしゃると思うんですけど、私は妖精をやらせていただいて、今度はプリキュアをやらせていただいて……となると、次の出演の機会はもうないのかもしれないって思うと、もう、すでにとてつもなく寂しいんです。

でも今は、また何かしらの形で出たいななんて欲をかいている場合ではなくて。目の前のキュアアルカナ・シャドウを、誠心誠意演じていくことしか考えられないので。本当にそのくらい特別な想いを持って、みなさんと“宝物の1年”を過ごしていきたいと思っています。

――最後に、視聴者に向けて「ここを見逃さないでほしい!」というポイントを含め、メッセージをお願いします。

東山:あんなが2027年から1999年へタイムスリップしてきて、みくるが最初の依頼で“あんなを元の世界に戻す”ことを引き受けた以上、きっといつかハッピーエンドとして“お別れの時”がやってくるんじゃないかな、という気がしています。そう思うと、今からちょっと切ないんですけど……。

でも、そこに至るまでに、ふたりがどんな物語を重ねて、どんなふうに絆を深めていくのか。その過程を見守っていただけたら嬉しいですし、私自身もすごく楽しみにしています。

そしてもうひとつ、本作は常に“謎”があるんですよね。キュアアルカナ・シャドウは、どうして敵になってしまったのか。キュアエクレールがどんな形で登場するのか。まだまだ秘密のベールに包まれています。

さらに「未来自由(ミラージュ)の書」という存在もあって、それが一体何なのかも気になるところです。1999年という時代には、ちょっと“世紀末感”みたいなものがあって、大人の方はピンとくる部分もあると思うんですけど(笑)、その空気がこの世界でどう物語に関わってくるのか……来るべき日がどうなるのか、私もドキドキしています。

だからこそ、一つひとつの事件の先で“何が明かされていくのか”、そして彼女たちが最後にどんな答えにたどり着くのか。ぜひ最後まで、一緒に見届けていただけたら嬉しいです!

(取材・文・写真:吉野庫之介)

テレビアニメ『名探偵プリキュア!』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットにて毎週日曜8時30分から放送。

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