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人間が突然かわいい生き物になってしまうパンデミックが起きた世界。未知の現象と共存していく人類の姿がわたしたちに問いかけるものは?【書評】

  • 2026.2.19

【漫画】本編を読む

突然、人間が「ちいこ」と呼ばれる謎の生物になってしまう――。『人類の半数がちいこになった』(おおつか ちょん/KADOKAWA)は、そんな原因不明で解決策も見つからないパンデミックに直面した世界を描いたSNS発のコミック。かわいらしい「ちいこ」でほっこりする一方で、人間の道徳観や倫理観に問いかける作品だ。

何の前触れもなく人間が「ちいこ」という生き物になる現象が世界中で頻発する。一時は世界の終焉かと思われたが、とりあえずすべての人間がそうなるわけではなさそうなことと、害をなすものでもないこと、そして人間の世話が必要であることを知り、「ちいこ」と共存する社会システムが整えられていく。

そのため本作は、単に「ちいこ」のかわいらしさを愛でるだけのものではなく、本当にこの現象が発生したらどうなるかというシミュレーションをしているかのような内容であるところが魅力だろう。両親が「ちいこ」になってしまったため祖父母に引き取られる小さな女の子の話から、「ちいこ」を兵器に利用する国家の話まで、その幅は個人レベルから国家レベルと、著者の視野の広さと視点の鋭さ、そして考察力に驚くだろう。それまでの常識や社会システムを変えざるを得なかったコロナ禍を経験した我々にとって、本作がファンタジーや絵空事とは思えないリアリティを感じるはずだ。

加えて、「ちいこ」を人間として捉え続ける者、ペットのように扱う者、「ちいこ」になりたいと願う者、崇拝対象とする者、はたまた食べたいと思う者など、さまざまな立場の人間たちが持つ「ちいこ」に対する考え方の違いを描いている点も興味深い。もし自分が「ちいこ」現象が発生する世界に行ったとしたら……。読後にはきっとそんなことを考えてしまう作品だ。

文=nobuo

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