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受け継がれる物語を宿して──コーチが描く希望のアメリカ【2026-27年秋冬 NYコレクション】

  • 2026.2.16

コーチ(COACH)のクリエイティブ・ディレクター、スチュアート・ヴィヴァースは、クリスマスに子どもたちと観た映画『オズの魔法使い』(1939年)から着想を得た。セピア調の世界から鮮やかな色彩への移り変わりに注目し、コレクションはモノトーンから赤や青へと移行する構成に。同映画のような転換とともに、不安と希望を抱えた新しい世代の前向きなムードを描き出した。

近年はニューヨークにフォーカスしてきたが、今季はより広いアメリカンファッション全体へと視野を広げた。クラフトを軸に異なる時代のユースカルチャーを横断する。ファーストルックでは、チェック、星柄、ストライプを組み合わせたパッチワークジャケットに、ダメージ加工のブラックデニムスカートを合わせた90年代のグランジ調のスタイルを打ち出した。足もとには70年代風のスケートシューズを合わせ、破れたような表情を加えている。

ニットには軽いリペア加工を施し、手仕事の風合いを強調。ナンバリング入りのロングスリーブTシャツは、再利用されたヴィンテージジャージを用いた一点物とされる。他にもラッフルカラーのドレスは裏地素材で仕立てられ、裾のレースはあえてほつれたままに。

ヴィヴァースがコーチで一貫して探求してきたヴィンテージへの視点に変化が見られた。これまでの技術や素材への関心から一歩進み、今季は傷やほつれを着る人の記憶や感情が宿る痕跡として捉えている。多くのアイテムに見られる加工は、時間の積み重なりを表現したものだ。

その背景には個人的な体験もあり、上の娘の服を妹のために準備する中で、擦れや破れが姉から妹へ宛てたラブレターのように感じられたという。それらは人から人へ受け継がれる愛情なのだと。

バッグでは、ボニー・カシンが導入したターンロック金具を用いたメッセンジャーバッグが登場。さらに、ヴィンテージの野球やアメリカンフットボールのグローブを再利用したモデルも披露され、ブランドのヘリテージと再構築の姿勢を象徴する。ジュエリーやドレスの装飾には天体モチーフがあしらわれ、無限の可能性や自由な旅を想起させた。

※コーチ 2026-27年秋冬コレクション全てのルックはこちらから。

Photos: Gorunway.com Text: Maki Saijo

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