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「口もきいてくれなくなっちゃって」最北の総合病院で高校生が学ぶ看護実習のリアル

  • 2026.2.12

いま、人手不足の悩みは病院も例外ではありません。地域医療を守ろうと稚内市の総合病院は高校生の看護実習に取り組んでいます。

人の命を預かる現場に飛び込む高校生と病棟にカメラを向けました。

勉強の毎日

看護師をめざし、病院で実習中の佐々木茉菜さん。幼いころ祖父や家族をケアしてくれた看護師の姿に憧れ、自然と志すようになったといいます。

Sitakke
佐々木 茉菜さん

病室で実習中の佐々木さんが、患者さんに声を掛けます。

「おはようございます。きょうはごはんをよく食べられました?」
「まあまあ食べられました?よかったです。これから体温とか血圧とかを測らせていただきたいんですけど、いいですか?」
「ありがとうございます」

脈や体温などのチェックや日常生活の援助。勉強の毎日です。

実習生は高校生

実習生を受け入れているのは、市立稚内病院。市内で唯一の総合病院です。宗谷地方の医療を支える拠点でもあります。

実習生たちは、大学生や専門学校生ではありません。地元・稚内高校の衛生看護科3年生です。

患者さんの状況を、現役看護師に報告します。

「倦怠感・めまい・頭痛の訴えはありませんでした」
「たんは自分で出せている?」
「出せていました」

病棟が閉鎖されるほどの厳しい現実

Sitakke

市立稚内病院の過去10年間の看護師の採用状況です。

年々数は減り、コロナ禍をきっかけに退職も相次いでいます。
看護師不足を理由に昨年、3階の病棟が閉鎖されました。

中出信恵看護部長は「当院を退職して、札幌や東京に行ってしまう」と現状について話します。

「なかなかこの地域、最北の地ということでは人口も減っているし、高齢化も進んでいるし、そういった状況で看護師だけ増やすのはある意味で無理」

稚内高校衛生看護科の卒業生は、例年半分ほどが市立病院に就職。病院にとっては、地域医療を支える欠かせない存在です。

「口もきいてくれなくなっちゃって」

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実習では、教室で習っていないことも次々と起きます。

「何があるんですか?」
「冷蔵庫をちょっと見てもいいですか?何があるか」

この日、入院患者の家族が差し入れたイクラをめぐって騒動が…。

患者は「食べたい」といいますが、栄養や健康の管理上、病院は許可をすることができません。

実習生は「口もきいてくれなくなっちゃって。本当にお怒りの様子で、口もきいてくれなくてごはんも食べないって…」と困った様子です。

実習生たちは解決策を模索しますが、教科書に「正解」は載っていません。
佐々木さんも「患者さんの意思を一番尊重したいけど、難しい」と頭を抱えます。

「患者さんとかかわって会話する場面、援助も教科書で学んできてはいるが、実際患者さんとかかわるうえで全く違うなと感じる」

現役看護師の「コツ」や患者の生の声にふれながら、支える大切さを学びます。

「手に職」といわれてきたが

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3週間の病院実習を終えた稚内高校の衛生看護科の生徒たち。
「いまからどこに行くんですか?」と尋ねると「校内の実習室に行きます」とのこと。

入学者は年々減少しています。定員40人に対し、佐々木さんたち3年生は23人。2年生は14人、1年生は16人と半分以下です。

医療問題に詳しいパーソル総合研究所の田村元樹研究員によると「そもそもイメージとして医療職がこれまで手に職といわれてきたが、コロナ禍で悪いイメージがついてしまった」とのこと。

さらに、看護師を目指す人のなかで、大学志向の高まりがあるといいます。

「大卒の方が、その後のキャリアパスや初任給も高くつく傾向にある。医療の高度化、医療構造の変化という部分でさまざまなカリキュラムを大学は整えている」

いずれ、誰もが頼ることになる存在

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「みなさんが実習中に軟便が多くて、その排泄に困ったということで」と教諭が説明をします。

排泄の介助では、精密につくられた人形「小春さん」を相手に便にみたてた味噌を使って、手順や声掛けをていねいに確認します。

実習中の生徒に、教諭から指導がはいります。

「もう少し拭かないと落ちないよ」「特に下のことははずかしい、羞恥心もあるので『いまこういう風にやってますよ』と声をかけて、安心してもらえる」

3年生は、あと2年で現場に飛び込みます。

人の命をあずかる、重い責任。そして、みないずれ頼ることとなる存在です。
しかし地域の医療崩壊を招かないために、病院ができることはもう限界にきています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2026年1月26日)の情報に基づきます。

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