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建築ファン必見! 全国の建築イベント・建築祭

  • 2026.2.5
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近年は、街そのものを建築ミュージアムのように楽しめる建築イベントが全国各地で開催されている。本記事では、「東京建築祭」や「京都モダン建築祭」など人気のイベントをはじめ、地方都市ならではの魅力を味わえる建築祭や、暮らしと建築を結びつけて楽しめるものまで、全国各地の注目イベントをピックアップ。次の開催タイミングを逃さないように、スケジュールに入れておこう!


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マツモト建築芸術祭/長野県松本市

長野県松本市で2022年にスタートした「マツモト建築芸術祭」は、国宝や文化財に限らず、松本の街に残るノスタルジックな建築物を会場にアート作品を展示し、建築とアートの対比や融合、共鳴を通して、街に新たな化学変化を生み出すことを目的とするイベント。建築そのものの魅力に加えて現代美術の視点を重ねることで、松本という街の新しい表情を引き出し、地域の活性化へとつなげる試みだ。

<写真>2回目となる2023年開催時の展示風景。「松本市役所本庁舎」の展望室には、現代美術作家の中島崇による作品《bane tree(悩みの種の木)》が展示された。

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松本市には、国宝の「松本城」や「旧開智学校」のほか、なまこ壁の土蔵造り、正面を西洋風に装飾した「看板建築」と呼ばれる店舗兼住宅など、日本の近代化を象徴する多様な建築が点在している。本芸術祭では、そうした日常の中にある「名もなき建築」を舞台にアート作品が展開され、建築の新たな価値や可能性を再発見する体験ができる点が大きな特徴だ。

<写真>2022年開催時の「割烹松本館」での展示風景。小畑多丘による《KIIROI B GIRL》が存在感を放つ。

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2026年は「マツモト建築芸術祭2026 ADVANCE」として、会期と内容・規模を2期に分けて開催予定。第1期は「第1弾 映像アート祭」と題し、2月14日から3月15日までの約1カ月間、「松本市立博物館」を会場に実施。表現手法を映像に限定し、展示環境を同一条件に揃えることで、作家それぞれの視点や表現の強度、作品同士の響き合いをより鮮明に浮かび上がらせる構成となっている。

写真、映像、アニメーション、ドキュメンタリーなど多様な分野で活躍する国内外の作家が参加し、同年10月に予定されている「名建築を巡る周遊型 芸術祭」へと想像力を広げる導入編として位置づけられている。

<写真>2026年の会場である「松本市立博物館」。写真は2023年の開催時の風景。写真家の白鳥真太郎によるポスターがダイナミックに貼り出された。

マツモト建築芸術祭2026 ADVANCE
会期:【第1弾】2月14日(土)〜3月15日(日)※火曜休場
会場: 松本市立博物館 2階 特別展示室(長野県松本市大手3丁目2番21号)
開場時間: 9:30~16:30(最終入場 16:00)
参加アーティスト:石川直樹、近藤聡乃、佐藤雅晴、シシヤマザキ、原田裕規、本城直季、Johnson Cheng(中国/アメリカ)、Hui-song Son(韓国)、Emily Reekers & Eugene Arts(オランダ)
※第2弾は2026年10月開催を予定。

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なめりかわ建物フェス/富山県滑川市

富山県滑川市で開催の「なめりかわ建物フェス(通称:なめフェス)」は、地域の建築文化に光を当てる建物公開イベント。市内に点在する歴史的建造物や文化財、地域に根差した建築を特別公開し、建物を通して滑川の歴史や暮らしの魅力を伝えることを目的としている。建築ファンだけでなく地域住民や若い世代に向けても、建築遺産の保存と活用について考えるきっかけを提供する場としても大きな役割を担う。

<写真>2025年開催時の風景。街を歩きながら建築を巡る様子。

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期間中は、普段は立ち入ることのできない歴史的建物や、地域の暮らしを映し出す建築を中心に、国登録有形文化財を含む複数の建物が一斉に公開。ガイドツアーや産業体験ツアー、音楽イベント、トークショーなど、多彩なプログラムが展開される。

初開催となった2025年は、NPO団体や地域住民も関わり、地元の高校生が「まち歩きガイド」を務めるなど、世代を超えた参加型の取り組みが行われた。空き家となっていた建物を清掃して公開へとつなげるなど、来場者に建物の価値を伝えることで所有者の保存意識も高まるなど、建築の未来につながる動きも生まれている。

<写真>1936年に建てられた「旧田中小学校」は、昭和初期に建てられた木造校舎の好例として、正面側のみだが現在も保存されている。アール・デコ調の幾何学デザインが随所にみられる。

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2026年は、4月11日(土)を一般公開中心、4月12日(日)をツアー中心とする2日間が予定されている。公開建物の詳細やプログラム内容は現在調整中で、最新情報は公式SNSで随時発信されるとのこと。

<写真>橋場・中川に面して建つ「旧嶋屋」は、宿場街として賑わいをみせたかつての旅籠。2階の客間からは中川を眺めることができ、茶屋街に似たつくりが特徴的。

なめりかわ建物フェス2026
会期:4月11日(土)〜4月12日(日)
会場:参加建築など詳細は後日発表予定

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神戸建築祭/兵庫県神戸市

神戸の歴史や震災の記憶を今に伝える建築を期間限定で特別公開する建築イベント。2023年に「神戸モダン建築祭」としてスタートし、戦災や阪神・淡路大震災を越えて受け継がれてきた建物を、神戸の街の財産として広く共有することを目的としてきた。

神戸は開港以来、海外文化をいち早く取り入れて発展してきた都市であり、旧居留地のモダン建築、港湾部のインフラ施設、山麓に残る異人館や教会堂など、多様な建築が街の風景を形づくっている。「神戸建築祭」では、こうした建築群を通して、神戸の街が歩んできた歴史や文化、記憶を結び直し、建物の有効活用や継承へとつなげる取り組みだ。

<写真>1907年、舞子海岸に建てられた「旧武藤山治邸」は、国会議事堂など多くの官公庁建築を主導した大熊喜邦による設計。内装は当時のまま残されており、明治期の別荘文化を知ることができる。

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期間中は、街全体をひとつのミュージアムに見立て、パスポートを提示することで各所に点在する「パスポート公開参加建築」を自由に巡ることができる。パスポート購入者向けの割引やプレゼント、連携イベントなど、周遊を楽しむための多彩なプログラムも展開。普段は一般公開されていない建物や内部空間、特定の部屋などを見学できる点が大きな魅力だ。

また、建築や街の背景をより深く知りたい人に向けて、オーナーや管理者、建築・各分野の専門家、地域関係者、学生などが案内役を務めるガイドツアーも実施される。

<写真>1922年竣工の「岩井邸」は、セセッション風のデザインが特徴的な洋館。坂の上に建ち、2階からは塩屋の街や海を一望できる

神戸建築祭2026
会期:5月8日(金)〜5月10日(日)※パスポート一般公開日
会場:神戸市内を中心とした複数エリア。参加建築など詳細は3月中旬リリース予定

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東京建築祭/東京都

「東京建築祭」は、近代から現代までの多彩な建築を通して、東京という街の成り立ちや魅力を体感できる建築イベント。建築を単なる造形物としてではなく、そこに関わる「つくるひと」「使うひと」「守り継ぐひと」の思いとともに捉えることを大切にしており、建築を起点に、まち・社会・文化との関係性を紐解いていく内容だ。普段は意識せずに通り過ぎている建物や街並みも、背景を知ることで新たな意味を帯び、東京との距離が少し縮まるような体験を提供している。

<写真>「港区立郷土歴史館」。2025年度の建築祭では、通常見ることのできない建物裏側の鉄骨大屋根エリアを特別公開した。

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期間中は、通常非公開の建築内部の特別公開や、貴重な資料展示が行われるほか、自由に見学できる無料プログラムが充実。建築家や運営者、専門家などの案内によって建築の物語に深く触れられる有料ツアーも用意されており、理解をより深めたい人にもおすすめしたい。

さらに、ワークショップやトークイベント、交流会、クルーズツアーなど、建築を多角的に楽しめる企画も多数開催。ライブ配信やオーディオガイド、現地解説、書店と連携したブックフェアなど、開催前後まで含めたサポート体制も整っており、初心者から建築ファンまで幅広く楽しめる構成となっている。

<写真>2025年度キックオフの様子。建築史家であり、実行委員長を務める倉方俊輔と、伊東豊雄ら著名建築家によるトークイベントが開催された。

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3回目の開催となる2026年は、これまでの上野〜品川エリアに加え、新たに渋谷エリアへと開催範囲を拡張。建築をきっかけに、東京をより立体的に捉え直すことができる建築祭として、さらなる広がりを見せるだろう。

東京建築祭2026
会期:5月16日(土)〜24日(日)※特別公開は23日〜24日
開催エリア:上野・本郷、神田・九段、日本橋・京橋、大手町・丸の内・有楽町、銀座・築地、新橋・竹芝・芝浦、品川・三田・白金、六本木・赤坂・青山 、渋谷(2026新エリア)参加建築数(予定):約150件

西岡潔

生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪/大阪府

「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(通称:イケフェス大阪)」は、毎年秋の週末に開催される、日本最大級の建築イベント。大阪の街に点在する歴史的建築から現代建築まで、約200件におよぶ「生きた建築」を一斉に無料公開し、都市としての大阪の魅力を紹介している。2014年から毎年開催されており、当初は大阪市が主催していたが、現在は建築設計事務所やゼネコン、大学の研究者などから組織される一般社団法人が開催している。

<写真>「ダイビル本館」。渡辺節の設計により1925年に建てられた「旧ダイビル」の内外装を復元しており、大正時代の壮麗な姿を継承している。

西岡潔

ここでいう「生きた建築」とは、ある時代の歴史や文化、市民の暮らしぶりといった都市の営みを今に伝えながら、用途や姿を変えつつ現役で使われ続けている建築物を指す。大正・昭和初期の洋風建築から高度経済成長期の建物、街場の喫茶店まで、多様な建築を通して、大阪という都市が積み重ねてきた時間や物語を体感できるのが、「イケフェス大阪」の大きな魅力。

普段は立ち入ることのできない建築の特別公開をはじめ、オーナー自身による建物解説など、このイベントならではの体験を数多く用意している。

<写真>昭和初期に建てられた「綿業会館」は国指定重要文化財。豪華絢爛な装飾など、欧米で流行した様々な様式のインテリアを実空間で体感することができる。

西岡潔

建築の魅力を次世代へとつなぐ取り組みも充実しており、大林組がビルのサンクンガーデンを会場に、木で橋を架けるワークショップを実施するなど、建築の専門家によるレクチャーや、まちあるき、模型づくりなどの体験型プログラムを通して、建築を入り口に大阪のまちへの理解を深める機会を提供している。

大阪の建築ガイドブックとしても最適な、公式ガイドブックを毎年書籍として販売しているのも大きな特徴。初心者から建築ファンまで幅広く楽しめる内容となっている。

生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2026
会期:2026年10月24日(土)・25日

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京都モダン建築祭/京都府

2022年に文化庁京都移転記念事業として、京都モダン建築祭実行委員会と京都市の共催によりスタートした建築イベント。通常は公開されていない近代・現代建築を中心に、京都に息づく多彩なモダン建築を一斉に公開し、建築文化への理解を深めることを目的としている。

<写真>国登録有形文化財「五龍閣」は、“関西近代建築の父”と称される建築家、武田五一による設計。現在はカフェとして活用されており、大正ロマンあふれる空間を楽しめる。

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建築一斉公開イベントとしては全国でも珍しい有料パスポート方式を導入している点も大きな特徴。期間中は「建築祭パスポート」を購入することで、公開対象となる建築を自由に巡ることができるほか、建築の所有者や専門家によるガイドツアー、特別企画など多彩なプログラムに参加できる。

パスポート提示により、周辺の飲食店や宿泊施設、文化施設での割引やノベルティ提供といった特典も用意されており、建築を起点に街歩きや滞在を楽しめる点も魅力だ。参加費の一部は建物の維持・活用に充てられ、建築文化を社会全体で継承していく仕組みとして機能している。

<写真>「カトリック河原町教会」は、伝統あるゴシック建築を現代的にアレンジした、1960年代モダニズム建築の特徴を感じさせる。

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本イベントは回を重ねるごとに規模を拡大。2025年には過去最多となる129件が公開され、北山、松ヶ崎、吉田、北白川といった新エリアも加わった。ガイドツアーは90コースにのぼり、京都のモダン建築をより深く知る機会が広がっている。2026年の開催も決定しており、さらなる展開に期待が集まっている。

<写真>2025年新たに追加された北山・松ヶ崎エリアに建つ「京都工芸繊維大学」には、名建築が点在。モダニズムの先駆者である本野精吾が設計した3号館と門衛所に加えて、武田五一による「和楽庵」もあり、キャンパス内の3棟が一斉公開された。

2026年京都モダン建築祭
会期:10月31日(土)~11月8日(日)
一斉公開は計4日間。【前期】10月31日(土)〜11月1日(日)、【後期】11月7日(土)〜8日(日)
会場:エリアや参加建築など詳細は後日発表予定

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あいちのたてもの博覧会/愛知県

「あいちのたてもの博覧会(通称:あいたて博)」は、愛知県内の文化財建造物を対象に、毎年秋に開催される建物公開イベント。2014年に登録有形文化財での建物公開から始まり、2019年より現在の名称で本格的にスタートした。

歴史を重ねてきた建物が街の風景に自然に溶け込む愛知ならではの特性を生かし、建築を通して地域の魅力を再発見する機会を提供。期間中は、国登録有形文化財を中心に、通常は立ち入ることのできない建物が各1日限定で公開され、所有者や建築の専門家による丁寧な解説を聞きながら見学することができる。

<写真> 2025年に本堂と御霊屋が重要文化財に登録された「建中寺」。絢爛豪華な御霊屋(写真)などをじっくりと見学するツアーが開催された。

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10回目を迎えた2023年以降は、重要文化財や未指定の建物も対象に加わり、より多様な建築を楽しめるようになった。街歩きツアーやワークショップ、ライブなどの関連イベントも同時開催されるほか、専門家によるディープな解説や名建築での食事を楽しめる有料の「プレミアム企画」、建物の所有者や他団体と連携した「コラボ企画」も用意されており、建物の魅力を多角的に味わうことができる。

<写真>1944年に建てられた「比楽邸」は、西大平藩陣屋跡に隣接。2025年度に初の一般公開を行った。

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例年秋に開催されているが、2026年は春にも数件のプレミアム企画の開催が予定されている。公式サイトでは、愛知県内で行われている建物公開のイベントカレンダーも公開されているので、「あいちのたてもの博覧会」はもちろんのこと、愛知県での建築探訪をしたい場合は、ぜひチェックの上訪れてみて。

<写真>明治建築を保存展示する「明治村」でのツアーも。写真はフランク・ロイド・ライトによる「旧帝国ホテル」の中央玄関部。

あいちのたてもの博覧会

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ひろしまたてものがたりフェスタ/広島県

「ひろしまたてものがたりフェスタ(通称:たてフェス)」は、広島県内に点在する魅力的な建築を通して、街の歴史や文化、人々の営みを紐解く建築イベント。

本イベントの原点は、広島県が2013年度から取り組んできた「ひろしまたてものがたり」という県民参加型プロジェクト。モダンな高層建築からレトロ建築、国宝や世界遺産までを含む「魅力ある建築物100セレクション」の選定を通じて、県内の建築資産を発掘・発信してきた。これを受け、2015〜2017年度には県主催で建物見学会などのイベントを開催。2018年度以降は実行委員会が設立され、建築を地域ブランドのひとつとして位置づけながら、継続的な開催が行われている。

<写真>丹下健三による「広島平和記念資料館」。ピロティ階段が公開され、原爆ドームを含む公園の散策を通して広島のシンボルを読み解くガイドツアーも開催された。

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会期中は、通常非公開の建築の特別公開や、専門家によるガイドツアーを中心に、多彩なプログラムが展開される。2025年は広島市・呉市を中心に開催され、過去最多となる49のプログラムを実施。建築公開・ガイドツアーは全37件にのぼり、事前申込制の企画から気軽に立ち寄れる公開建築まで、幅広く楽しめる内容となった。

<写真>広島市唯一の国宝建築である「不動院」。ガイドツアーでは、禅宗様建築の設計思想や見学の仕方などが解説され、通常非公開の金堂も特別公開された。

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さらに、建築家の設計事務所を公開する「オープンアトリエ」や、子ども向けワークショップ、講演会なども実施。建築学生がガイドとして建物に常駐する試みや、「ひろしま国際建築祭」と連携したトークイベント・ガイドツアーも行われ、広島全体を舞台に建築文化を体感できる機会が広がった。2026年開催のニュースを期待したい。

<写真>黒川紀章による「広島市現代美術館」。ガイドツアーでは、建築の魅力と合わせて近年の改修内容も紹介。建物公開では、広島TONKAN(建築学生)が建築ナビゲーターとして見学をサポートした。

ひろしまたてものがたりフェスタ

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くらしきアーキツーリズム/岡山県倉敷市

「くらしきアーキツーリズム」は、倉敷美観地区とその周辺に点在する建築に焦点を当て、建物そのものの魅力を手がかりにまちを巡る建築イベント。2022年にスタートし、毎年テーマを変えながら、倉敷の風景をかたちづくってきた建築とその背景を紹介してきた。

白壁の町並みで知られる倉敷だが、その魅力は保存だけにとどまらない。古い建物を生かしながら、現代の感性や用途を重ねていく「建物再生」は、このまちの大きな特徴のひとつだ。2025年はその集大成として、「古き良きものを伝え、新しきを取り入れる 建物再生」をテーマに、近年リノベーションされた建築を中心に紹介。倉敷の建築家・楢村徹による古民家再生や、リニューアルオープンした「大原美術館 児島虎次郎記念館」などが参加し、「保存」と「更新」が共存する倉敷ならではの建築文化を立体的に味わうことができる内容となった。

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本イベントの大きな特徴は、対象スポットで、建物の特徴や内部空間を紹介した「たてものカード」を無料配布していること。表面には建築の解説、裏面には鳥瞰図絵師の岡本直樹による町並みの俯瞰図が描かれ、巡りながら集めたくなる仕掛けが込められている。

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集めたカードは、専用の「おもいでファイル」に収納可能。カードだけでなく、美術館のチケットや絵はがきをまとめて旅の思い出として持ち帰ることができるのが嬉しい。

くらしきアーキツーリズム

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津山建築祭/岡山県津山市

2025年秋、岡山県津山市で初開催された建築イベント「津山建築祭」。城下町として発展し、1300年にわたる歴史を重ねてきた津山、そして周辺に広がる美作国(みまさかのくに)エリアを舞台に、建築を通して地域の文化や思想、これからの未来を考える機会として企画された。実行委員長は、「東京建築祭」や「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」の立ち上げにも携わった建築史家・倉方俊輔。全国各地で広がりを見せる建築祭の流れを、この地に呼び込む試みでもある。

<写真>「PORT ART&DESIGN TSUYAMA」は、1920年に竣工した「旧妹尾銀行林田支店」を活用した芸術文化の創造・発信拠点。会期中には津山に縁の深い建築家である吉阪隆正を紹介する展示が開催された。

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津山は、岡山県内で唯一、2つの重要伝統的建造物群保存地区を有する町。白壁やなまこ壁、格子戸が連なる城東地区の町並みをはじめ、洋学の歴史を伝える建築、近代以降のモダニズム建築まで、異なる時代の建物が残されている。

その風景は、保存された過去ではなく、今も人々の暮らしのなかで使われ続ける現在進行形の歴史。こうした建築の蓄積は市内にとどまらず、磯崎新による「奈義町現代美術館」や隈研吾による「GREENable HIRUZEN」など、美作国一円へと広がっている。津山建築祭は、この地域ならではの建築文化を「物語」としてひらき、次の時代へと手渡すことを目的とした祭典だ。

<写真>吉阪隆正の祖先である、洋学者の箕作阮甫の旧宅。

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会期中は城東地区を中心に、歴史的建築や近代建築を舞台とした多彩なプログラムが展開された。普段はなかなか立ち入ることのできない建物の特別公開をはじめ、ガイドツアーや見学会、講演会などを通して、建築の成り立ちや空間の使われ方、その背後にある思想や時代背景に触れる機会が用意された。

「津山建築祭」は、毎年継続的に開催し、地域に根ざした文化イベントとして育てていく構想とのこと。今年の開催も期待したい。

<写真>倉方俊輔による、津山とル・コルビュジエのつながりについての講演も実施された。

津山建築祭

Photo by Tatsuya Tabii

ひろしま国際建築祭2025/広島県

「ひろしま国際建築祭」は、建築文化を切り口に、未来の社会や都市のあり方を考える建築祭。開催地の瀬戸内海沿岸地域は、古来より文化・物流の大動脈として日本と世界をつないできた場所。その歴史的背景のもと、古建築から、丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、SANAAといった建築家による現代建築まで、多様な建築文化が重層的に集積してきた。

本建築祭は、こうした瀬戸内の文脈を踏まえ、「建築文化の集積地」としての価値を国内外へ発信する祭典としてスタート。初回は2025年10月に開催され、以降は3年に一度のトリエンナーレ形式で継続される予定だ。

<写真>2025年はサポーズデザインオフィスが手掛けた尾道の複合施設「ONOMICHI U2」もけんちくセンターCoAKが手がけたZINEを紹介する展示の会場に。広場には、中山英之の移動型キオスク「風景が通り抜けるキオスク(Catch)」も出現

Photo by Tatsuya Tabii

2025年は、「つなぐ―『建築』で感じる、私たちの“新しい未来”」を総合テーマに、福山市・尾道市を中心とした瀬戸内エリアで開催された。会期は10月4日から11月30日までの58日間。23組の建築家・作家が参加し、寺院や美術館、ホテルなど7つの主要会場を含む、10以上の拠点で展覧会や関連イベントが行われた。

会期中は、建築家によるトークイベントや子ども向けワークショップのほか、音楽イベント、建築ツアー、映画上映など多岐にわたるプログラムを開催。専門家から一般の来場者まで、幅広い層が建築文化に触れられる構成で、延べ来場者数は20万人を超え、大きな注目を浴びた。

<写真>「神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)」にて開催された「NEXT ARCHITECTURE |「建築」でつなぐ“新しい未来”」展。写真は川島範久による自然環境の循環をテーマにした建築インスタレーション。親子で参加するコンポストづくりのワークショップでの記念撮影。

Photo by Tatsuya Tabii

次回は2028年秋の開催を予定している。展示に加え、名建築の再現や建築ツアーの実施、さらには地元企業と連携した「移動型キオスク」といった新たな建築プロジェクトの展開も構想されており、今後の発展にも期待が高まっている。

<写真>「神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)」の枯山水庭園「無明の庭」に、堀部安嗣設計の移動型キオスク「つぼや」が出現。通常は立ち入ることのできない中根金作による庭の内部に設えられた、特別な風景。

ひろしま国際建築祭

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