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祖父の遺志を現代の日本の暮らしに継ぐ、フィリックス・コンランの新作家具

  • 2026.1.31
MITSUYUKI NAKAJIMA

ザ・コンランショップの創業者、テレンス・コンランが掲げた「無駄なく、シンプルで、機能的」というデザイン哲学を、孫でありデザイナーとして活躍するフィリックス・コンランが継承している。日本の住空間に向けた2つの新作を発表した。

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30歳の誕生日を機にイギリスから日本に移住。奈良の古民家を改装しながら、新しいデザインの取り組みにチャレンジしてきたフィリックス・コンランが日本で初めての家具プロジェクトを発表した。コラボレーターとなったのは、祖父のテレンス・コンランが1973年にロンドンで創業し、1994年に日本にも進出を果たした「ザ・コンランショップ」。フィリックスが真っ先に考えたのは、ザ・コンランショップが日本で展開している商品群のバランスだった。

「品揃えは充実しているものの、店内を見渡すと日本の暮らしに適したサイズや価格帯のソファが、まだ存在していないんです」とフィリックス。調べてみると、過去30年にわたるコンランショップ・ジャパンの歴史のなかで、日本市場に特化したソファはこれまで手がけられてこなかったことに気が付いた。





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「環境や好みに応じて フレキシブルに暮らしを整える」

日本に暮らしてわずか2年ながら、東吉野を中心にさまざまな地域の人々と触れ合い、この国独自の生活の美や暮らしの知恵を学んできたというフィリックス。

「西洋と比べて、日本の居住空間はコンパクトなのは確かです。でも、制限があるからこそ、この国ならではの空間との親和性を考えたフォルムに加え、快適に過ごすための工夫が必要だと考えました」

日本の山並みを彷彿とさせるような滑らかな曲線のアウトラインの「シミドソファ」は、居室のサイズやボリュームに合わせて自由にレイアウトが組めるようにと、3段階の長さと2段階の奥行きのバリエーションを設定。さらにカバーリングを取り外し可能にすることで、適宜クリーニングができるようにと考えた 。

〈写真〉「シミド ソファ」2シーター W150×D75/85×H79㎝ ¥385,000(D75)、¥418,000(D85)。背景にある7色+ソファの張り地に使っている色の全8色がスタンダードカラーとしてラインナップ。リサイクルされたコットンとペットボトルを素材に用いたアップサイクルな生地だ。

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また、脚部にはフィリックスが暮らす奈良県産の吉野ヒノキを採用。敢えて直径10cmほどの大きな円盤状にすることで、フローリング、畳、カーペットなど、多様な床に置いても移動がスムーズで、傷や跡もつきにくいというメリットを生み出した。

〈写真・右〉オットマン W50×D50×H38㎝ ¥165,000 〈左〉アームチェア W85×D75/85×H79㎝ ¥319,000(D75㎝)、¥341,000(D85㎝)

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〈写真〉「シミド ソファ」3シーター W190×D75/85×H79㎝ ¥495,000(D75㎝)、¥517,000(D85㎝)

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「日本で考え、作り、使うために僕ができることはなんだろう」

さらにキッチン用家具「アイランド」も同時に登場した。基本的にはキッチンカウンターと収納を兼用するアイテムとして開発されたものだが、シミドソファ同様に、フィリックスは空間や目的、またユーザーの感覚に応じて無限の可能性が生まれることを一番に考えながら、デザインを組み立てていった。

「キッチンとダイニングどちらからも引き出せる仕組みに。また、高さの異なる収納ボックスは取り出したときにコンパクトに収めるために、底部に溝を掘り込み、簡単にスタッキングできるようにしました」

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棚、引き出しともに、素材には吉野ヒノキの無垢材を採用。自然の温もりを感じさせる素朴な表情ながら、高い耐久性と強度を保持し、調湿性にも優れているため、日本のキッチンにはまさに最適な素材だと言える。さらにフィリックスは、従来の製材における規格サイズを再計算。歩留まりがよく、極力無駄のない寸法を割り出し、この「アイランド」のボリュームに生かしているというのもポイントだろう。

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〈写真〉日本酒を入れる桝をつくっている会社とコラボレーションして制作した引き出しは、収納ボックスとして単品で使っても。アイランドと天板のわずかな隙間にはサランラップやアルミホイルなどの細かなキッチン用品をしまえるよう計算されている。「アイランド 2」〈左〉W120×D45×H88㎝ ¥242,000 「スモールドロー」〈中央・上〉W29×D38×H86㎝ ¥16,500 「ミディアムドロー」〈中央・下〉W29×D38×H14.6㎝ ¥27,500 「ラージドロー」〈右〉W29×D38×H28.8㎝ ¥33,000





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「『人々の暮らしのために、良いものを届けたい』。いつもそう話していた祖父の言葉を思い出しながら、いま日本に暮らす僕が、この国の美しい自然、環境、生活、ものづくりのために何ができるか。新たな信念を持って活動し続けたいと思います」


MITSUYUKI NAKAJIMA

〈写真〉奈良県の東吉野にある彼のアトリエで、今回の新作への思いを語ってくれたフィリックス。背景の作品はDouglas Diazのもの。

Profile/Felix Conran フィリックス・コンラン1994年オーストラリア生まれイギリス育ち。祖父テレンス・コンランや父の影響で、幼少期からものづくりに興味を抱く。2018年父とともに家具ブランド「Maker & Son」をイギリスで設立。ソファ事業を拡張し、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドへと市場を展開する。2024年、パートナーと2匹の犬とともに奈良県東吉野村に移住。現地法人Ha Partenersを創業し、デザイナー、起業家として活躍している。


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Hirotaka Hashimoto
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