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キングコブラが列車で長距離移動している【インド】

  • 2026.2.3
列車に乗るキングコブラ / Credit:Dikansh S. Parmar(LIB)et al., Biotropica(2026), CC BY 4.0

「楽しい旅の最中、列車の中でキングコブラに遭遇する」なんてことが現実に生じています。

インド西部のゴア州を中心に、列車内や駅構内、線路周辺で本来そこにいるはずのないキングコブラが見つかるケースが報告され、研究者たちの注目を集めてきました。

この不可解な現象について、ドイツのLeibniz Institute for the Analysis of Biodiversity Change(LIB)の研究チームが詳しく調査。

キングコブラが列車に乗って長距離を移動している可能性が浮かび上がりました。

この研究成果は、2026年1月26日付の『Biotropica』に掲載されています。

目次

  • 列車で旅する「キングコブラ」たち
  • なぜキングコブラは列車に乗るのか

列車で旅する「キングコブラ」たち

インド各地でキングコブラに関する奇妙な目撃報告が相次ぎました。

キングコブラは本来、湿った森林や川沿いなど、限られた環境を好んで生息する大型の毒ヘビです。

ところが近年、駅構内や線路脇、乾燥した市街地など、生態的に明らかに不向きな場所でキングコブラが確認される例もありました。

中には、走行中の列車内で発見されたケースもあり、その様子が写真や動画としてSNSやニュースで拡散される事態にもなっていました。

研究チームは、こうした現象を偶然や噂話として片付けるのではなく、科学的に検証するための調査を行いました。

調査に用いられたのは、2002年から2024年までの22年間にわたるキングコブラの救助記録と、信頼性の高い目撃情報です。

それらを整理した結果、ゴア州内で確認されたキングコブラの出現地点は合計47か所にのぼり、北ゴアで18か所、南ゴアで29か所が確認されました。

特に注目されたのは、そのうち5か所がいずれも交通量の多い鉄道回廊のすぐ近くに位置していた点です。

研究者たちはさらに、気温や降水量、植生、人間活動の影響といった環境データを用いて、キングコブラが生息しやすい場所を予測する種分布モデルを作成しました。

簡単に言えば、「キングコブラが自然に暮らすならどのあたりが住みやすいか」を地図にしたものです。

このモデルによれば、キングコブラはゴア州の内陸部に広がる森林地帯や河川周辺に集中するはずで、海岸沿いや乾燥した低地は適していないと示されました。

しかし、鉄道周辺で発見された5地点はいずれも、このモデルが示す不適地に該当していたのです。

この結果から研究チームは、キングコブラが自力でそこまで移動したとは考えにくいと判断。

調査結果を総合すると、キングコブラが列車に乗って移動していた可能性が高いことが見えてきます。

では、実際にどのような場面でキングコブラが列車と関わっていたのでしょうか。

なぜキングコブラは列車に乗るのか

研究では、列車とキングコブラの関係を裏付ける具体的な事例も紹介されています。

2017年には、研究者自身が動物救助活動に携わる中で、列車内で発見されたキングコブラの対応に関わった経験がありました。

その後も2019年や2023年に、別の地域で列車内や窓枠にコブラがいる様子が写真付きで報告されています。

こうした直接的な記録は、列車に乗ったキングコブラが実際に存在することを示しています。

キングコブラが列車に乗ってしまう理由として研究チームが挙げているのは、偶発的な侵入です。

貨物列車や線路周辺には、保線資材の隙間や日陰が多く、ネズミなどの小動物も集まりやすい環境があります。

ヘビにとっては、隠れ場所と餌を同時に得られる場所であり、気づかないうちに列車に入り込むこともあるでしょう。

当然、そのまま列車が発車すれば、数十キロから100キロ以上離れた場所まで短時間で運ばれてしまいます。

研究者たちは、このような人間の輸送手段による偶発的な移動は、キングコブラに限った現象ではないとも指摘しています。

過去には、別の種類のヘビが物流や植物輸送に紛れて、本来の分布域から大きく離れた場所で見つかった例も報告されています。

今回の研究は、鉄道が単なる移動の障害ではなく、生物を意図せず結びつける高速輸送路になり得ることを示しました。

この現象は、ヘビにとっても人間にとっても深刻な問題を含んでいます。

キングコブラは特定の環境に適応した生き物であり、不適な土地では生き延びにくく、人の恐怖心から殺されてしまう危険も高まります。

一方で、人間側にとっても、列車内や市街地で突然キングコブラと遭遇することは大きなリスクです。

キングコブラに噛まれると15分以内で命を失うことさえあるのです。

研究チームは、今回の結果をもとに、鉄道関係者や動物救助団体、地域住民が連携して対策を進める必要性を訴えています。

キングコブラが列車に乗ったという一見奇妙な出来事は、人間のインフラが自然界に及ぼす影響を改めて考えさせる事例だと言えるでしょう。

参考文献

Snakes on trains: King cobras are ‘hopping railways’ to unsuitable habitats in India
https://phys.org/news/2026-01-snakes-king-cobras-railways-unsuitable.html

元論文

Snakes on Trains: Railways May Sway Goa’s King Cobra Distribution
https://doi.org/10.1111/btp.70157

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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