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西オーストラリアを旅する7日間【前編】|ワイルドフラワーや“世界一幸せな動物”に出会う、野生の楽園

  • 2026.1.29
撮影=川上輝明

花とワインと動物と~もうひとつのオーストラリア~

オーストラリアを旅するとなれば、多くの人はシドニーやメルボルンなど東海岸の都市を目指すことでしょう。しかし、“もうひとつのオーストラリア”ともいえる西海岸は、大自然を擁するオーストラリアの魅力を、より深く教えてくれる場所。

人と自然の境界を忘れさせる、雄大でありながらも長閑な楽園では、春が来ると北から南へ、約12000種ものワイルドフラワーが大地を順々に彩ります。そして、その地で育まれるのは、近年世界的に評価が高まっているプレミアムワイン。

自然とつながり、美酒に心ほどける7日間を、編集部が旅しました。

多種多様な野生の蘭が自生する西オーストラリア。姿形に合わせた名前が付けられている。写真は蜘蛛のようなスパイダーオーキッド。 撮影=川上輝明
Hearst Owned

オーストラリアの面積は約769万平方キロメートル、日本の約21倍。6州とひとつの準州およびひとつの首都特別地域に分かれており、本土面積の約3分の1を占める西オーストラリア州は、日本の国土の約7倍の大きさ。日本との時差は1時間。日本(成田)からパースへのフライトは約10時間。2026年4月19日まで、成田・パース間の直行便(ANA)は、週3便からデイリーに増便中。1AU$(オーストラリアドル)=約103.58円(2025年12月11日現在)。

Day1|パース Perth

撮影=川上輝明

旅の始まりは州都のワイルドフラワーから

世界屈指のワイルドフラワー(野生植物の総称)の宝庫である西オーストラリア州(以下、WA)。約12000種のうち8割が固有種で、州都であるパースの町なかや道路脇にも咲いています。可憐な小花、不思議な形の花、何かに似た花……見れば見るほど、そして知れば知るほどその個性と多様性に驚き、気分はすっかり牧野富太郎博士に。

パースの「キングスパーク・アンド・ボタニックガーデン」では、もともとここに咲いているワイルドフラワーと、WA各地から植栽されたものを合わせて約3000種が見られ、さながら三次元の花図鑑です。

花の名前を知ると散策がさらに楽しい。カンガルーポー。花がカンガルーの前足に似ていることからの名。赤と緑のものはWAの州花。 撮影=川上輝明

園内は、整備された植物園エリアと自然保護区域のブッシュランドに分かれており、後者には多種類のユーカリやワイルドフラワーがほぼ手つかずで生息する自然が広がります。

春が始まる9~10月ごろの約2週間は、ワイルドフラワーフェスティバルを開催。近年は、植物観賞や散策を中心とした静かなフェスにシフトしており、ガイド付きのネイチャーウォークやワークショップ、ワイルドフラワーの販売や写真展示など少人数で楽しむイベントが主流に。この旅も期間中でしたが、いたってのんびり、長閑な空気が流れていました。

キングスパーク・アンド・ボタニックガーデン

撮影=川上輝明

パースの市街地から約1.5キロ。小高い丘の上に広がる、世界最大の都市公園のひとつ(約4平方キロメートル)。ワイルドフラワーと野鳥の楽園であり、パース市民の憩いの場でもある。上の写真は市街地からの玄関口、フレイザーアベニュー。高くそびえるユーカリ並木が象徴的。ユーカリは約700種あり、ほとんどがオーストラリアの固有種。

サザンクロス。南半球を象徴する星座・南十字星に似ていることから。 撮影=川上輝明
ブラシ状に花が付くバンクシア。植物学者の名前が由来。オーストラリア固有種でWAでは特に多く見られる。 撮影=川上輝明
パース市街を流れるスワン川越しに眺める中心部の高層ビル群。黄色い花はワトルでオーストラリアの国花。右はワックスフラワー。 撮影=川上輝明

オーストラリアで第4の規模の都市パースは、“住みやすい町”ランキングでもよく名前が挙がります。歩いていると、すべてが“ちょうどいい”と感じます。

都市が自然に溶け込み、歴史的建築と近代的なビルが調和して並び、世界的チェーン店も揃っているけれど地元らしい個人店も活気があり……快適な町のバランスの最適解を考えさせられます。

中心部にある総督公邸。1860年代に完成したゴシック・リバイバル様式。現在も州総督の公邸として使用され、庭園も美しい観光名所。 撮影=川上輝明

ジ・アイランド・アット・エリザベス・キー
The Island at Elizabeth Quay

撮影=川上輝明

ウォーターフロントにある、1929年建造の歴史的建築を活用したレストラン&マイクロブルワリー。地元産のシーフードと店内醸造の7種のクラフトビールが人気。生産地直送オイスターや、ピザもおすすめ。

撮影=川上輝明

DATA
クラフトビール(ミディ)AU$10~、シーフード盛り合わせAU$199
Google mapで確認
Elizabeth Quay, 1 Valdura Pl, Perth WA 6000

ジ・アイランド・アット・エリザベス・キー

Day2|ロットネスト島 Rottnest Island

イルカやオットセイなど海洋生物にも出合えるロットネスト島。オーストラリアでも屈指の透明度を誇る海。 撮影=川上輝明

青い海と小さな幸せが待つ島へ

花も固有種なら、動物も固有種。オーストラリアの生物が5000万年以上の隔離期間を経て独自に進化した証左です。なかでもWAのみに生息するクオッカは、下から見ると笑っているように見えることから“世界一幸せな動物”の愛称で親しまれています。

クオッカが多く暮らすロットネスト島は、パース近郊のヒラリーズからフェリーで約40分の距離にある小さな楽園。クオッカは夜行性ですが人懐こく、船着き場の周辺から早くも姿を現します。

面積約19平方キロメートルの島全体がA級自然保護区国立公園で、63カ所ものビーチが点在しており、地元の人々にも身近な避暑地です。

“世界一幸せな動物”クオッカ

撮影=川上輝明

有袋類はほとんどがオーストラリア大陸に生息。ほかの肉食・草食動物がいなかったため爆発的に進化した。有袋類に属するクオッカは、ロットネスト島とWAの一部の森林地域のみに生息。体長は50センチ程度で、春には子どもが時折おなかから顔を出すのも愛らしい。近づいて撮影できるが、接触や餌やりは禁止。

Day3|パースからマーガレットリバー Perth to Margaret River

車窓から眺めているとカンガルーの姿が目に飛び込んでくる。WAではブッシュランドや農地周辺で多く見られ、海沿いを跳び回る姿も。 撮影=川上輝明

海と森に誘われて南へ

翌日はパースからプレミアムワインの聖地・マーガレットリバーに向かって南へ約280キロ、3時間強のドライブ旅へ。高速道路の脇にもワトルをはじめとしたワイルドフラワーが咲き誇り、車窓からはどこまでも牧歌的な大地が広がります。時折、こちらも夜行性のカンガルーが群れで昼寝している姿も。

途中で立ち寄ったのは、マーガレットリバー最北端の海辺の町、バッセルトン。約150年前、ユーカリ木材の輸出のために造られた木造桟橋がいまでは人気の観光スポットに。

5年前に開業したブルワリーとともににぎわいを見せています。インド洋を眺めながら飲むクラフトビールは格別の味わい。マーガレットリバーの中心部に近づくにつれ、夕日に照らされたぶどう畑がそこかしこに現れます。

マーガレットリバーに向かう道すがら、森に少し足を踏み入れると、ワトルが咲き乱れる秘密の花園が現れた。 撮影=川上輝明

桟橋のある海辺の町、バッセルトン

撮影=川上輝明

パースから南へ約220キロ、マーガレットリバーへの途中で立ち寄りたい観光地。世界で2番目に長い約1.8キロの木製桟橋「バッセルトン桟橋」が町のシンボルで、太陽光エネルギーで走る観光列車(写真上)も人気。桟橋の先端には海面下8メートルに設置された海中展望室があり、海に潜ったような視界を体験できる。下の写真はガラス越しに近づいてきたアシカ。

撮影=川上輝明

シェルター・ブリューイング
Shelter Brewing Co

撮影=川上輝明

バッセルトン桟橋の側に建つ開放的なブルワリー。12年かけて開発した、WA産の素材を使ったクラフトビールを、常時10~12種類ほど出来たてで楽しめる。新鮮なペールエールや季節限定のIPAが人気。

DATA
ビアパドル(4種飲み比べ)AU$18、薪窯ピザAU$24~
Google mapで確認
11 Foreshore Parade, Busselton WA 6280

シェルター・ブリューイング

西オーストラリアの旅の情報はこちらから
オーストラリア政府観光局
西オーストラリア州政府観光局

撮影=川上輝明 取材協力=オーストラリア政府観光局 西オーストラリア州政府観光局 編集・文=柏木敦子(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年2月号より

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