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弧を描く白壁を、古民家暮らしの象徴に。白石さん夫妻が10年かけて改修した、築70年の家。

  • 2026.1.26

豊かな暮らしを追求する人々を訪ねた&Premium147号(2026年3月号)「部屋を心地よく、整える」より、ガイドツアー会社〈JAPONISME〉を運営する白石さん夫妻の住まいを紹介します。

リビングの大きな窓には腰掛けスペースも。白石達史さん、実果さんと1歳の与和(とわ)くん、愛猫のすず。
弧を描く白い漆喰の仕切り壁。裏には2つの小部屋があり、オンライン会議や思索したいときに使う。
時には多くの人が集う明るいキッチン。改修を手がけた当初はインダストリアルデザインが好きだったため、リビングとは少し違う雰囲気なのも楽しい。
秋口の外観。冬に備えてたくさんの薪を用意している。

失敗してもやり直せばいい。DIYが教えてくれたこと。

岐阜・飛騨高山の中心地から車で30分ほど。小さな集落に佇む築70年の古民家が白石達史さん、実果さんの住まいだ。趣のある引き戸を開ける。上がり框(かまち)の先には古材の貫禄を窺わせる板廊下……実は古民家然としているのはここまでで、廊下の右手には30畳ほどの明るいリビングが広がる。ハンス・J・ウェグナーのソファやチェアが置かれ、左手にある緩く弧を描く白壁が印象的だ。

2010年に千葉から高山に移住した達史さんは、知人経由で譲り受けた古民家を実果さんとともに改修。取り壊し寸前の物件で、ガラスは割れ放題、獣も棲み着いているような状態からのスタートだった。ガスや電気などはプロに頼り、自分たちで最初に手がけたのはキッチンだ。

「長く過ごす場所はどこかと考えたとき、二人とも料理好きだったので」

達史さんがアメリカ留学時に使っていたのと同じガスレンジを個人輸入し、シンクやカウンターは高さを揃えて造作した。
 
「料理をしながら話もできるように。高さを揃えることで料理をカウンターへスムーズに運べるし、視界もすっきり開けます」

当初は工務店の個人ブログだけを頼りにのんびりやっていたが、冬になると気温は0℃以下。ストーブを焚いても8℃までしか上がらない。

「このままでは死んでしまう!」と尻に火がついた二人は、その後、10年ほどをかけて、2階の寝室、リビングなどを次々に改修していった。

若く、金銭的な理由から始めたDIYだったが「施主も施工も自分なので失敗しても直せばいい。まずはやること。そういう精神が身についたのは大きかったと思います」。

件の白壁はDIYの集大成のような存在でもあり、「古民家には基本的に曲線がないので、アールのついた仕切り壁はこの家を象徴する存在になってくれるのではないかと」。

壊しては直し、を続けて10年でたどり着いた今の暮らし。「家族が生活する家としては理想形ができたかなと思う」と二人は語る。

「次にDIYをするなら、子どもが自分の部屋を持ちたいと言ったときかな。バジェットを決めて一緒に作ろうと提案してみるつもりです」

キッチンのイメージを決めた〈アマナ〉のガスレンジ。おおらかさが好きで6か月もかけて個人輸入した。
白壁の裏の小部屋のひとつ。照明は〈ドムス〉で統一。飛騨高山ジャズフェスティバルのオーガナイザーでもある達史さんはここで趣味のウッドベースを弾くことも。
階段の先は家族の寝室。薪ストーブの煙突を通じて、寒い冬もぬくぬくで過ごせる。木の階段は愛猫・すずのお気に入り。
落ち着いた雰囲気の玄関は、ほぼ譲り受けた当時のままの姿を残す。
仕事の際は打ち合わせスペースを設けたり、パーティのときはフロアを広く使って飾り付けをしたりと、自由自在なレイアウトができるよう設計したリビング。
広いリビングは、元・畳敷きの和室2部屋と板張り1部屋分のスペースを改修。2階には家族の寝室とゲストルームがある。
出典 andpremium.jp
白石達史/白石実果ガイドツアー会社経営/全国通訳案内士

海外のツーリストをアテンドする〈JAPONISME〉を二人で運営。昨年、飛騨高山の中心地に日本酒のテイスティングサロン『SANGEN』をオープンした。

photo : Yoichi Nagano text : Yuko Ota

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