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【前代未聞】コヨーテが海を渡ってアルカトラズ島に到達

  • 2026.1.22
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

かつて脱獄不可能と恐れられた島へ、まさかの“挑戦者”が現れました。

米国サンフランシスコ本土から冷たく荒れた海を泳ぎ切り、アルカトラズ島にたどり着いたのは、一頭の野生のコヨーテでした。

この前例のない出来事は観光客の動画によって明らかになり、専門家たちを驚かせました。

なぜコヨーテは、命がけともいえる海越えを選んだのでしょうか。

目次

  • 人も苦しんだ“難関ルート”を泳ぎ切る
  • 都市に適応するコヨーテ、その行動の背景

人も苦しんだ“難関ルート”を泳ぎ切る

アルカトラズ島は、冷たく強い潮流が渦巻くサンフランシスコ湾の中央に位置します。

島と本土の距離は場所によって約2キロメートル。かつて囚人たちが脱獄を試みて命を落としたとされるほど、過酷な環境です。

1月11日、観光客が撮影した動画には、コヨーテ(Canis latrans)が荒れた海面を必死にかき分け、島の岩場に上陸する様子が映っていました。

実際の映像がこちら。

体は濡れ、震え、疲労は明らかでした。連絡を受けた関係者が確認に向かった頃には、コヨーテの姿はすでに消えていたといいます。

島内に身を潜めたのか、それとも再び海に流されたのかは分かっていません。

湾の水温は低く、潮流も強烈です。

人間が泳ぐ場合でも、訓練や装備、ガイドが前提になります。

比較的泳ぎが得意とされるコヨーテであっても、アルカトラズ周辺の条件は別格で、専門家は「長時間の、相当に厳しい泳ぎだったはずだ」と指摘しています。

都市に適応するコヨーテ、その行動の背景

実はコヨーテが水を渡る例は、これが初めてではありません。

サンフランシスコ湾内のエンジェル島では、2010年代後半からコヨーテの定着が確認されています。

本土のティブロンから1.6キロメートル以上を泳いで渡った可能性が高いと考えられてきました。

近年、コヨーテは分布を南へ広げ、都市部にも進出しています。

探索行動の一環としてゴールデン・ゲート・ブリッジを渡る姿も報告されており、行動範囲は想像以上に広いのです。

では、今回の個体はなぜ海に入ったのでしょうか。

理由は特定されていませんが、縄張りの拡大や分散の過程、あるいは道路横断のリスクを避ける選択だった可能性が指摘されています。

最近の嵐による異常な潮流に巻き込まれ、結果的にアルカトラズ付近まで流された可能性も否定できません。

いずれにせよ、この行動は、コヨーテがいかに柔軟で、環境の変化に適応する能力を備えているかを物語っています。

草原や砂漠に生きていたはずの動物が、都市と海という障壁を越え、新たな可能性を探っているのです。

“無謀”か“先駆”か

アルカトラズ島に到達したコヨーテは、疲弊していたものの、コヨーテが持つ高い回復力を考えれば、生き延びている可能性もあります。島にはネズミや鳥の卵など、食料も存在します。

この出来事は、単なる珍事ではありません。

都市化が進む現代において、野生動物がどこまで行動範囲を広げ、どのように新たな環境へ適応していくのかを示す、象徴的な一例です。

大胆な開拓者だったのか、それとも偶然の漂着だったのか。その答えは、これからの観察が教えてくれるでしょう。

参考文献

Coyote scrambles onto Alcatraz Island after perilous, never-before-seen swim
https://www.livescience.com/animals/land-mammals/coyote-scrambles-onto-alcatraz-island-after-perilous-never-before-seen-swim

Lone Coyote Swims To Alcatraz From Mainland San Francisco For The First Time
https://www.iflscience.com/lone-coyote-swims-to-alcatraz-from-mainland-san-francisco-for-the-first-time-82280

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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