1. トップ
  2. 下剋上に魅せられた瞬間! 第3話で芽生えた小一郎の覚悟【NHK大河『豊臣兄弟!』3話】

下剋上に魅せられた瞬間! 第3話で芽生えた小一郎の覚悟【NHK大河『豊臣兄弟!』3話】

  • 2026.1.22

*TOP画像/小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』3話(1月18日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第3話が1月18日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

お父の敵討ち

城戸小左衛門(加治将樹) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』3話(1月18日放送)より(C)NHK

小一郎(仲野太賀)、藤吉郎(池松壮亮)、直(白石聖)の三人は、生まれ育った中村を後にし、清須に到着しました。

 

清須での暮らしで最初の難題となったのは住まいに関することでした。藤吉郎の住まいは狭く、三人が共に生活できるスペースはありません。そこで、直は浅野家に寧々(浜辺美波)の侍女として置いてもらうことになり、小一郎は藤吉郎の家で暮らすことになりました。

 

藤吉郎にとって恋い慕う寧々の家に直が身を寄せるのは喜ばしいこと。一方で、小一郎は自分たちが清須へ連れてこられたのは、兄の恋路を成就させるための方便に過ぎないのではないかと疑います。

 

軽薄な言動が目立ち、何を言っても本心か芝居か見抜きにくい藤吉郎ですから、小一郎がそう勘ぐるのも仕方がありません。

 

しかし、藤吉郎が小一郎を清須に誘ったのには、父・弥右衛門の敵討ちという目的がありました。弥右衛門は自分が討ち取った敵将の首を味方である城戸小左衛門(加治将樹)に横取りされるという屈辱を味わったまま、戦傷がもとで帰らぬ人となりました。さらに、小左衛門は戦守(いくさもり)も弥右衛門から盗み、それを平然と身に着けています。

 

小左衛門は横暴で狡猾な男であり、自分が討ち取った敵の数を自慢し、人を見下していますが、織田信長(小栗旬)も一目置く槍の名人ゆえ、小一郎らが簡単に倒せる相手ではありません。

 

そこで、藤吉郎が好機と見たのは戦場でした。乱戦の隙に乗じて、敵が討ち取ったかのように偽装し、小左衛門を討つ。かつて、父・弥右衛門が小左衛門にやられたように……。

 

一味違う「わらじ」のエピソード 次ページ

豊臣秀吉の草鞋(わらじ)のエピソードを彷彿とするシーンも

わらじ 大河ドラマ『豊臣兄弟!』3話(1月18日放送)より(C)NHK

小一郎と藤吉郎は小左衛門を討つ好機を実現すべく、信長に出陣を進言しに行くものの、信長の家臣に当然のことながら追い返されます。

 

その帰り道、小左衛門のものと思われる草鞋を屋敷の前で目にした藤吉郎は、それを盗み、売ってお金にしようと考えます。一方、小一郎はいくら敵のものとはいえ、盗みはよくないと引き止めます。

 

二人が言い争っていると、信長が姿を現しました。そして、「ここにあった わしの草履を知らんか?」と一言。この草履は小左衛門のものではなく、信長のものだったのです。

 

藤吉郎は懐から草履を出しながら、「こ…こちらに」「温めておきました」と伝えます。信長は「そうであったか。なかなか特殊な心掛けじゃ…と言いたいが この陽気に温めてなんとする」「盗もうとしたか」と鋭く指摘。

 

そこで、助け船を出したのが、小一郎でした。「間もなく雨が降りまする 濡れてはいけないと思って」「手前どもは 長いこと百姓をしていたゆえ分かるのです」と述べ、信長の感情を見事に鎮めました。

 

藤吉郎のモデルは豊臣秀吉ですが、秀吉といえば信長の草履を懐であたためた気遣いが、出世のきっかけとなった有名な逸話があります。しかし、本作では、“草履を懐であたためていた”という藤吉郎の言い分は信長の疑惑を深めたにすぎず、この逸話が巧みにアレンジされて挿入されていました。小一郎の機転あるフォローと信長の鋭い洞察に脱帽する一方、藤吉郎の詰めの甘さが際立っています。

 

藤吉郎も機転が利き、賢いけれど、理想主義であり、詰めの甘さが目立ちます。そんな藤吉郎を現実主義で、聡明な小一郎が冷静にフォローしています。

 

慎重で現実主義の小一郎一人では世を変えるような大それたことは起こせないでしょう。一方、猪突猛進の藤吉郎一人では天下を掴むなど夢物語に終わりそうです。互いの弱点を補い、力を合わせることで、天下人への道が開けたのです。

 

小一郎は自分の思いに直の言葉で気づく

直(白石聖) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』3話(1月18日放送)より(C)NHK

生きていくために戦わなければならないことはあるけれど、命も金もかかる戦いはできれば避けたい――和睦を望むのが多くの人の本音だと思います。

 

しかし、信長が「和睦など持ちかければ 敵はこちらが到底受け入れられぬことを求めてくるであろう」と述べていたように、戦わざるを得ない状況というものもあるのです。

 

小一郎は戦わなければ守れない現実、小左衛門による父への侮辱、故郷・中村が野盗に壊滅させられた過去を胸に、侍になることを決めました。

 

小一郎に本心を気づかせたのは直でした。

 

「負けたくないって言いながら負けるよりも そっちの方が傷つかないからね。そうやって かっこつけてるだけ。本当は でぇら悔しいくせして だから 身分が低くても そこから はい上がれるお侍になって 見返したかったんでしょ?あんたは 下剋上に魅せられたんじゃ」

 

小一郎は地に足のついた生き方を貫き、感情をぐっと抑え、生きてきました。それでも、胸の奥底には今の境遇から抜け出したいという願いと、理不尽な目にこれ以上遭いたくないという切実な思いがひっそりと息づいていました。 負の感情や下剋上の炎は人間を大きく突き動かす原動力となります。小一郎はこの秘めた思いを抱えながら、どう生きていくのだろうか……。

元記事で読む
の記事をもっとみる