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【豊臣兄弟!】戦国ものでありながら人間ドラマ! 豊臣秀長(仲野太賀)にスポットライトを当てた今までにない切り口に期待大

  • 2026.1.16

【豊臣兄弟!】戦国ものでありながら人間ドラマ! 豊臣秀長(仲野太賀)にスポットライトを当てた今までにない切り口に期待大

2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送がスタートしました。今まであまりスポットライトの当たることのなかった豊臣秀長を主人公に、戦国時代がどう描かれるのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第1回「二匹の猿」と第2回「願いの鐘」です。

2024年が「光る君へ」、2025年が「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」と、いわゆる「文化史」がテーマの作品が続いたここ2年間の大河ドラマ。さて、その次は何だろうと楽しみにしていたら、戦国時代、しかも「豊臣」とのこと。

これはまた王道に戻ったということなのかと思いきや、主人公は天下人の「秀吉」ではなく、その兄を支えた「豊臣秀長」だという。いちばん華やかに世に出た人そのものではなく、その人物を側で支えた人物にスポットライトが当たるということらしい。これはまた、今までにない切り口かもしれないと、がぜん興味が湧いてきた。

しかもそれを演じるのが、若手演技派として今や大活躍の仲野太賀だというから見逃せない。そして、天下人となる兄を演じるのが池松壮亮とくれば、期待値は否が応でも上がるというものだ。「豊臣兄弟!」というタイトルである以上は、「バディもの」でもあるのかもしれない。これは間違いなく1年間楽しみに見守っていきたい作品だ。

第1回「二匹の猿」

そんな思いを抱えながら見た第1回「二匹の猿」は、意表をついてアニメーションから始まる。一面青々とした田畑、のどかな農村の風景を高台から見下ろす一匹の猿。やがて猿は木から木へと飛び移っていき、ひらりと身を交わすと一人の青年の姿になる。後に豊臣秀吉となる藤吉郎(池松壮亮)だ。さらに、その側にいたもう一匹の猿も青年の姿に変わる。藤吉郎の弟、後の豊臣秀長となる小一郎(仲野太賀)である。

そこに、安藤サクラのナレーションが入る。「むかぁし、むかし、尾張国中村に、貧しくもたくましく生きる兄弟が居りました。兄の名は藤吉郎。弟の名は小一郎。これはそんな名もなき二匹の猿が、どん底の暮らしから戦乱の世の中を天下人へと駆け上がる夢物語にございます。果たして嘘かまことか、お気をつけあれ、彼らは人たらし、決して心奪われませぬように」

物語の舞台は、永禄二(1559)年、尾張国中村。早春のある日、百姓の信吉(若林時英)と玄太(高尾悠希)が田んぼで睨み合っている。そこへ「まぁまぁまぁまぁ、双方とも落ち着かんか。一体何があったんじゃ」と仲裁に入ってきたのが小一郎だ。資料によると、このとき18~19歳頃らしい。取った取られたという双方の言い分を「それもそうじゃのう」と、どちらにも相槌を打って聞く小一郎。人のよさが感じられるが、「お前はどちらの味方なんだ」と迫られる始末だ。すると笑顔でこう答える。「俺は、双方の味方じゃ」。そしていつの間にか、仲裁案を提示して二人を納得させてしまう。「これで万事円満じゃ」。どうやらこの「双方円満」が、小一郎という人物の生涯のモットー、生き方の指標であるらしい。

しかし、抜け目ないところもその後で描かれる。幼馴染で、中村の士豪・坂井喜佐衛門(大倉孝二)の娘・直(白石聖)と会っている場面では、「あのいさかいを鎮めたら銭1枚。わしの勝ちじゃ」と、直から銭を受け取っているのだ。この二人は憎からず思い合っている様子が伝わってくる。小一郎はまた悪びれず言うのだ。「みんなで幸せになるのが一番じゃろ?」

そこへ、戦が始まったと村役人が知らせにやってくる。戦場での盗みを目的に百姓たちが走り出すも、小一郎は動かない。しかし、帰宅すると姉のとも(宮澤エマ)に「甘ったれたこと言ってるんじゃないよ」と厳しく叱責される。戦場で食料や銭を奪ってこいというのだ。「私が戦に行ってくるわ!」という姉を制して、小一郎は坂井喜佐衛門のところに「何か御用はないか聞いてくるわ」と出かけていく。

しかし、一家には坂井家に負い目があった。実は8年前、一家の長男・藤吉郎は、坂井家の屋敷から仏画を盗んで村を飛び出したまま、行方が知れないのだ。意を決して屋敷に出かけた小一郎だったが、案の定、喜佐衛門は剣もほろろである。

そこへ、娘の直が割って入りとりなそうとしたとき、野盗の集団が屋敷を襲ってくる。直を連れ去ろうする集団に小一郎は、直が「清須の御殿様に見初められて、近々城に上がることになっております!」と咄嗟に機転を利かせる。そのとき、甲冑に身を包んだ侍が現れる。「拙者は織田家・足軽大将・木下藤吉郎と申す。わが主(あるじ)・織田上総介(かずさのすけ)信長様より、その娘を連れてくるよう命を受けて参った」。それは出奔した兄・藤吉郎だった。兄弟の連携プレーで野盗は去り、直はことなきを得た。

盗人の身内として肩身の狭い思いをしてきた家族。「死んだこと」にして墓まで作ってきたその苦労などつゆほども思わず、藤吉郎は呑気なものだ。藤吉郎は8年の自分の頑張りと、今は織田家の足軽大将として認められていることなどを、意気盛んに語る。そして小一郎に、お前もともに清須に来い、侍になれと強くすすめてくるのだ。絶対行かない、侍にはならないと拒否する小一郎だが、結局、藤吉郎と清須へ行くことになり、大勢の人足たちと道普請(みちぶしん/道路工事)に携わる。

清須で訪ねた兄の家は想像以上に粗末で、足軽大将などではなくただの足軽であることもバレた。そんな中、織田信長(小栗旬)の重臣・柴田勝家(山口馬木也)の屋敷で起きた盗みで藤吉郎に疑いがかかる。身の潔白を証明するために、真の盗人を捕らえようと、小一郎と二人、月のない夜に厠(かわや)に張り込む藤吉郎。捕えた男は、日頃から目をかけてくれていた織田家家臣・横川甚内(勝村政信)だった。問い詰めると、刀を抜いて小一郎に斬りかかろうとしてきた。それを藤吉郎の刀が跳ね除け、正面から斬りつけた。返り血を浴びた藤吉郎の顔を、小一郎は恐怖におののきながら見つめる。

横川は信長暗殺の計画にかんでいたことがわかり、大手柄を挙げたと思っていた二人だったが、半日前にその情報を掴んで知らせていた者があり、褒美をもらえなかった。止める藤吉郎を振り切って中村へ帰る小一郎。「あれから震えが止まらん。わしが恐ろしかったんは、兄者(あにじゃ)じゃ」。落胆と恐怖の表情で、村への帰途につくのだった。

第2回「願いの鐘」

「戦国もの」ではありながら、あくまでも人間ドラマとして描かれているストーリー展開と、兄弟が醸し出す疾走感に、ぐいぐい引き込まれたあっという間の第1回だったが、第2回も、丁寧に描かれながらも落ちないスピード感が非常に魅力的だ。

中村に戻った小一郎を待っていたのは、思いを寄せる直の縁談だった。所詮身分違いなことはわかっている。だが、小一郎の胸に去来にするのは兄と信長の言葉だった。すなわち「信長様はそういう身分だの家柄だのにとらわれず、まことに力のある者をお認めくださるお方だ」、そして「じっとしていては何も手に入らん。自分の進む道は自分で切り開くのじゃ」。

ついに直の祝言の日がやってくる。晴れ姿を見に行くという家族を横目に小一郎は農作業に打ち込む。ところが、そこへ直がやってくる。「逃げ出してきた。やっぱり嫌だ。こんな祝言挙げたくない。どうしても無理なんじゃ、顔が」。そして、こう畳み掛ける。「小一郎、一緒にこの村を出よう」

そこへ、また野盗がやってくる。小一郎が村人たちと力を合わせ、野盗を追い出したと思ったら、今度は鉄砲の音がして、野武士集団が襲ってきて略奪を始めた。小一郎は直と古井戸に身を潜め、野武士たちが去るのをひたすら待つ。

あたりが静まってから外に出てみると、村の風景は一変していた。死体があちこちに横たわり、田んぼの畦道には玄太が呆然と座って泣いている。その側には、首のない信吉の体が横たわっており、少し離れたところに首も置かれていた。

震えながらその首を抱き上げて慟哭、絶叫する小一郎。そこに藤吉郎が現れ、言うのだ。「これが、この世じゃ!」。小一郎は怒りを兄にぶつける。「信長も信長じゃ。偉そうなこと言うて、わしらをちっとも守ってはくれんじゃないか。わしらが米を作らにゃ生きていけんくせに。これじゃあまりにも惨めじゃ。わしらのことを何じゃと思うとるんじゃ!」。そんな小一郎に、藤吉郎は重ねて言うのだ。「行こう、わしと一緒に。侍になれ、小一郎」

その夜、眠れずに外で考え続けている小一郎のもとへ、母・なか(坂井真紀)が起きて声をかけてくる。「あんたの好きにしなさい。藤吉郎には藤吉郎にしか、あんたにはあんたにしかできんことがある。それをおやり」。姉も結婚をして相手がこの家に来てくれるから大丈夫だと続ける。

そして、藤吉郎が8年前に盗みを働いたのは、高熱を出した小一郎の薬代を手に入れるためだったということも聞かされる。「あの子がこの家を出たのは、あんたを助けるためでもあったんだよ。だから今度は、あんたが藤吉郎を守っておやり。あんたにしかできんことをおやり」。そうこうするうちに昇ってくる朝日。「行くわ、兄者と一緒に」。藤吉郎も飛び出してきた。母は朝日を指さして言う。「あんたらは、あのお天道様みたいにおなり」

小一郎は直にもこう告げる。「わしと一緒に来てほしい。わしの側にいてくれ」。直もその言葉を受け止める。「私すごいな。小一郎ならきっとそう言うと思ってた!」

村を出ていく藤吉郎、小一郎、直。その3人を見送りながら、なか、とも、妹・あさひ(倉沢杏菜)は寺の鐘を精一杯鳴らし続けるのだった。

今回、脚本は、ドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」、連続テレビ小説「おちょやん」などを手掛けた八津弘幸。先日、ラジオ「NHKジャーナル」内のインタビューで、今回の大河ドラマについて「どちらかというと『おとぎ話』に近いようなテイストで楽しめるといいと思って描きました」と語っていた。「カラッとして明るく、幸せになるために戦国という時代を、青春を駆け抜けた、みたいなイメージになるといいなと。歴史を好きな人も、そうでない人もぜひ楽しんでいただけたらと思います」

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