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集中できない、落ち着けない人に。「ピンクノイズ」のススメ

  • 2025.12.22
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私の“集中法”は少し変わっている。狭くて静かな空間に閉じこもったり、ポモドーロ・テクニックみたいに時間を区切ったりするより、少し雑音があるほうが好きだ。歴史ドラマ『ダウントン・アビー』のひそひそ話であれ(年に2回、最初から最後まで続けて再生すのがベスト)、ブーツを踏み鳴らすカントリーミュージックであれ、周囲で何かが起きていながらそれを完全に無視できる状態が、私としては「集中している」ことになる。

雑音を意識的に無視しようと努めると、作業が進み、締め切りを守れる。私のように「注意散漫な状況」と「集中状態」との絶妙なバランスが必要な人は、実は珍しくないそうだ。ADHDやADHD的な症状と関連付けられることが多いが、私はいずれの診断も受けていない。

ところが数カ月前から、私の最終手段とも言えるこの方法が効果を失い始めた。失恋したカントリー歌手の歌声が、殻を突き破って集中状態から私を引きずり出す。いまさら静寂な環境でも集中できないし、かといって歌声にも耐えられなくなってしまった。そこで出合った意外な解決策が、ピンクノイズだった。

ピンクノイズとは

ピンクノイズは音の周波数の一種。ホワイトノイズ、ブラウンノイズ、グリーンノイズなど、色ごとに特定の周波数を持ち、異なる種類の雑音が含まれる。例えば、テレビの砂嵐音はホワイトノイズ、雷の低い轟音や金属屋根を叩く雨音の音はブラウンノイズと部類される。

ピンクノイズについて「周波数が高くなるにつれて音のエネルギーが減少するのが特徴です」と説明するのは、心理学者で寝具ブランドPanda London睡眠専門家であるリッツ・ビラ。「つまり、低周波のほうが高周波よりもわずかに聞こえやすい音です」

平たく言うと、ピンクノイズは「豊かで、満ち足りており、バランスの取れた音。一定の雨音、葉のざわめき、あるいは穏やかな海の波の満ち引きのような音」だそう。

ホワイトノイズとの違いは?

ホワイトノイズの音は、調子の悪いテレビやラジオから流れる「ザーザー」という高音の雑音を想像してほしい。ヘアドライヤーのうなり声や扇風機の「ブーン」という音のように、やや耳障りで目立つ傾向がある。

一方でピンクノイズはより深く、柔らかく、バランスの取れた音だ。ビラは、低周波音は人間にとって心地よく、邪魔にならないため、睡眠、リラックス、集中力を高めるのにピンクノイズが適しているという。

神経系への影響は?

私たちが落ち着いて安らぐときも、興奮して緊張するときも、神経系がカギを握っていまる。交感神経と副交感神経から構成される神経系は、私たちが危機的状況でとっさに動けるようにしつつ、一方でリラックスして休息と消化のモードに入るのを助けるという、重要な役割を果たしている。耳から入る音も、神経系に直接影響を与えることがある。

研究によると聴覚刺激は、特に睡眠中にストレスレベルを低下させるのに役立ちます。回復できる、より深い睡眠をもたらし、睡眠中の短い中途覚醒を減らすと示されています」と、聴覚テストや耳のケアを提供するBoots Hearingcareの聴覚専門家エド・バセットは話す。「心地いい」と認識される音がコルチゾール値の低下を助け、神経系をリラックスさせる効果もあるという。

最上級の睡眠を得るには、ブラウンノイズが最も効果的だ。超低周波が、頭の中の雑念や潜在的な不安を呼び起こす忙しい思考を鎮め、格段に眠りやすくしてくれる。

自然界のピンクノイズ

自然の音にリラックス効果があることは、周知の事実だ。瞑想や音浴の場を提供するFinding Quiet創設者のシアラ・マクギンリーが、その効能を説明する。「ある研究で森林音と都市音の影響を比較した結果、森林音が心理的・生理的なリラックスを促し、心拍数を低下させ、『心地よさ』や『安らぎ』をもたらすことが明らかになりました」。自然音は、身体を休ませて消化を促進する副交感神経系を活性化させ、ストレスを軽減する役割もあるという。

私が気に入っているピンクノイズの自然音は以下の通り。

  • 安定した雨の音。私は「Rain Rain」というアプリを使っている。あらゆる環境音を網羅しているだけでなく、いろいろな音を重ねて、自分にぴったりのノイズを見つけられるのが◎。
  • 海の波音。リズミカルな低周波の満ち引きが気持ちいい。
  • 木々の間を吹き抜ける風の音。葉や枝をそっと揺らすたび、少しずつ異なる音色を聴かせてくれる。

ピンクノイズが合わない人もいる?

ピンクノイズは私の集中を支える秘訣だが、合わない人もいるかもしれない。ビラによると、聴覚過敏(自閉スペクトラム症に共通する症状)を持つ人は、ピンクノイズのような低周波音を不快に感じる可能性があるという。睡眠障害や耳鳴りに悩まされている場合も、ピンクノイズを聴くと不快感を覚えたり症状が悪化したりする恐れがある。「まずは自身の許容度を試してから、ピンクノイズを聴き始めるのが最善です」

ピンクノイズを知ったときは、集中しないといけない場面で使える必殺技として大事に取っておこうと思ったが、今では常に聴いているほど。通勤中はきしむレール音をかき消して、隣の乗客との距離感を紛らわせてくれるし、家では体のスイッチを切って一日の疲れを癒してくれる。脳が静まり、神経が落ち着き、自分が大きく感じられるような気がする。

Text: Morgan Fargo Translation: Rikako Takahashi

From VOGUE.CO.UK

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