「全部ゴミでしょ！」と勝手に私の私物を捨てた母→処分した品がプレミア物だと知った時の顔【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

久しぶりに実家へ帰省したときのことです。廊下に積み上げられたゴミ袋の山を見て嫌な予感が走りました。

慌てて自分の部屋へ駆け込むと、そこには私の部屋を勝手に漁り、次々とゴミ袋に放り込む母の姿があったのです。

「ちょっと、何してるの！？」

私が止めに入ると、母は悪びれる様子もなく、手にした箱を投げ捨てました。

「あら、帰ってたの。見ての通り掃除よ。こんな埃をかぶったガラクタ、邪魔なだけでしょ」

それは、私が学生時代から情熱を注いで集めてきた、限定版のアニメグッズやフィギュアたち。実家を出る際、大切に保管しておいたはずの宝物です。

「全部ゴミでしょ！いい加減、大人になりなさいよ」

母は鼻で笑い、未開封の箱を乱雑にゴミ袋へ押し込みます。私の思い出など、母にとっては単なる「燃えるゴミ」なのです。怒りで震える手で、スマホを取り出しました。

「ゴミじゃない。これを見て」

私はあるフリマアプリの画面を突きつけました。そこには、母が今まさに捨てようとしていたフィギュアと同じものが表示されています。

「はあ？何よこれ……えっ？」

画面を見た母の動きが止まりました。表示されている取引価格は『300,000円』。

私が持っていたのは生産数が少なく、今やプレミアがついている超レア物だったのです。

「この『ゴミ』、今売れば30万円以上するの。この袋の中身全部合わせたら、たぶん100万円は軽く超えるよ」

その瞬間、母の顔色が面白いように変わりました。余裕たっぷりだった表情が凍りつき、見る見る青ざめ、最後には卑しい欲望の色が浮かびます。

「30万……？！これが？」

母はゴクリと唾を飲み込み、捨てようとしていた袋を慌てて抱きしめました。

「すごいじゃない！ねえ、これお母さんが売ってきてあげようか？掃除代として半分……ううん、3割でいいわよ？」

先ほどまで罵倒していた口で、よく言えたものです。私は冷ややかに言い放ちました。

「結構です。全部今すぐ持って帰るから、二度と触らないで」

呆然とする母を尻目に、私は宝物を車に積み込みました。大魚を逃したような母の悔しそうな顔。思い出すだけで最高の気分です。

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