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【医師監修】流行期に賢く備える冬の体調管理についてクリニック院長の中澤先生に伺いました

  • 2025.12.18

学級閉鎖などの単語を聞く機会が増えていますね。
体調管理が気になる季節・・・どうすればこの冬を乗り切れる?
今回は、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生にお聞きしました。

冬の体調管理って何?押さえるべき基本

寒さが増す冬は、インフルエンザや新型コロナなど呼吸器感染症が流行しやすい季節です。
結論から申しますと、
・基本の対策を『重ねる』
・適切なタイミングで受診・検査する
・必要に応じてワクチンを検討する、この3点が要といえます。

まずは、気を付けてほしい日常生活の3つのポイントについてお話しします。
手洗い
石けんと流水で20秒以上洗いましょう。
外出後、食事前後、咳やくしゃみの後は必須です。
咳エチケット/マスク
咳・くしゃみがある時、混雑・医療機関・高齢者と会う場面では不織布マスクを使いましょう。
換気
対角線上の窓を開けるなど2方向換気を定期的に。
空気清浄機は補助的に使用しましょう。

かかりやすい人・注意が必要な人

高齢者、妊娠中、小児、基礎疾患(心・肺疾患、糖尿病、腎疾患など)のある方は重症化しやすいため、予防と早めの相談が重要です。
多くの呼吸器感染症は飛沫・エアロゾル・接触でうつります。
流行期は人混みを避けるようにしましょう。
また、体調不良時は無理をせず、マスクと休養を。
年齢とともに持病が増えるため、高齢者ほど重症化リスクが高まるということは覚えておきましょう。

セルフチェック&セルフケア

セルフチェック:次の項目が複数当てはまる場合は、早めの相談を検討
・37.5℃以上の発熱や咽頭痛・咳が持続/悪化
・同居家族や職場での流行に接触歴がある
・息苦しさ、強いだるさ、食事や水分がとれない
・基礎疾患があり調子が急に悪化
セルフケア:体調が悪化したな・・・と感じたら
・休息・保温:発熱時は無理をせず、身体を温かく保つ。
・水分:発熱・発汗時はこまめに補給。
経口補水液など塩分・糖分を含む飲料も活用。
・解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン等でつらさを軽減しながら経過観察(既往薬との相互作用は医師・薬剤師に確認)。
・栄養:主食+主菜(肉・魚・卵・大豆)+副菜で、エネルギーとタンパク質を十分に。
・睡眠:慢性的な睡眠不足はかぜ罹患リスクを上げる報告あり。
7時間前後を目安に就寝・起床を整える。

ワクチンの考え方[重症化予防]

インフルエンザ
毎シーズン接種が推奨。重症化・入院リスク低下が確認されています。
注射でのワクチンもありますが、お子様向けの経鼻ワクチン「フルミスト」や高齢者向けの高用量インフルエンザワクチン「エフルエダ」もあります。
新型コロナ
2024年度以降は秋冬の定期接種(高齢者など)+任意接種が基本。
自治体の最新情報で対象・自己負担を確認。
RSウイルス
高齢者の重症化リスクに留意。
国内で高齢者用ワクチン(アレックスビー)が承認済み(適応は年齢・リスクで異なるため個別相談)。

医療機関でできる対応[受診・検査・治療]

検査タイミング
抗原検査は発症直後は偽陰性が多く、12〜24時間以降で感度が上がります。
陰性でも症状が続く場合は翌日に再検を。
抗インフルエンザ薬
重症化リスクが高い方や重い症状では早期投与を検討(発症48時間以内が目安)。
支持療法
解熱鎮痛薬、去痰薬/鎮咳薬など症状に応じて処方。
脱水や低酸素の評価、(SpO2)を行う場合あり。
合併症
細菌性肺炎や中耳炎、喘息悪化などに注意。
悪化所見があれば再受診。

家庭で備える『最低限セット』

・体温計、(必要に応じてパルスオキシメータ)
・解熱鎮痛薬、去痰薬・鎮咳薬(症状に応じて)
・経口補水液、ゼリー食、レトルト粥・麺類、みそ汁など
・不織布マスク、アルコール手指消毒剤、家庭用漂白剤(環境消毒に薄めて使用)
・ビニール手袋、ゴミ袋(密閉できるもの)

家族が罹患した場合の動線とコツ

・個室で過ごし共有スペースの滞在を最小限に。
世話をする人は限定し、全員マスク。
・ドアノブや水回りなど『手が触れる場所』の消毒、定期的な換気。
・タオルは共用しない。洗濯は通常でOK。ゴミは密閉して廃棄。
・発症日を0日として5日間は特に注意、7日目までは周囲への配慮(マスク等)を継続。

よくある質問

Q1.冬の体調管理を考える上で、よく聞かれる質問
家の中で全員マスクは必要?
→咳・くしゃみなど症状がある人、重症化リスクが高い同居者がいる場合は有用。
会話は短く、距離と換気を。
Q2.ビタミンDなどのサプリは摂った方がいい?
→骨・筋の健康維持には重要ですが、急性呼吸器感染予防の効果は一貫しません。
過不足のない食事+不足が疑われる場合は医師に相談。
Q3.抗原検査が陰性でも出勤・登校してよい?
→発症直後の陰性は当てにならないことがあり、症状が続く・悪化する間は無理をせず休養・再検を。

受診の目安[大人]

・38℃以上の発熱が3日以上続く、または急速に悪化
・息苦しさ、SpO2低下が疑われる(唇の紫色化など)
・水分がとれない、尿量が減る、意識がもうろう
・基礎疾患があり悪化が疑われる

◆参考文献(主要)
・厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A、感染症対策(手洗い・咳エチケット・換気)・WHO/Europe:冬季の呼吸器感染対策Q&A(COVID‑19/Influenza/RSV)
・日本感染症学会:インフルエンザワクチンの考え方(最新トピックス)
・CDC:抗原検査の有用性・限界に関する情報・睡眠不足と感冒罹患の関連
(レビュー/介入研究)
・日本糖尿病学会:シックデイ対応

執筆者


中澤佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
金沢医科大学医学部医学科卒業。
「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。
2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニック(https://kanazawa-naika.jp/)を開院。

なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/

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