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【シニアの美容学】冬の肌乾燥の原因は?〈保湿ケアの見直しポイント〉をPOLA研究員に聞きました!

  • 2025.12.11

大人の美容学第2弾は、誰もが一度は悩んだことがある乾燥について。年齢が上がるにつれて乾燥しやすくなるわけは? 乾いた肌の内側ではなにが起こっているの? 効率のいいお手入れ法は? 原因と対策を知って、いつでもしっとり、潤いでツヤめく肌を目指しましょう。

大人の美容学とは…… 肌の老化やシミ、シワの原因から、化粧品の成分やその役割まで、意外と知っているようで知らない美容のこと。「大人の美容学」では、美容の知識を増やし、納得して化粧品を選んだりケアを行ったりできるような学びの企画を不定期連載でお届けしています。

年齢を重ねると乾燥しやすくなるのはなぜ?

バリア機能が弱れば肌は一気にカラカラに! 昔に比べて肌が乾く。冬にはカサカサがひどくなって、粉を吹いたりかゆくなることも。なんて思い当たりませんか。年齢を重ねると、こんなふうに肌が乾燥しやすくなるのはなぜなのでしょう。
「個人差や部位差はありますが、一般的に肌の角層の潤い成分、天然保湿因子(NMF)の量は、加齢によって減少します。NMFはセラミドなどとともに肌のバリア機能を司っていて、肌の内側の水分を逃さない役割を果たしているので、NMFが減れば、バリア機能が弱り、乾燥が進みます」(ポーラ大石貴矢さん・以下同)。また肌表面にできる皮脂膜も潤いを保つ働きをしていますが、皮脂量も年齢が上がるにつれて減少するため、やはり乾燥のきっかけになります。 この傾向は、屋外、室内とも空気が乾く冬にはさらに加速。
「冬は湿度が下がるので、肌の角層の水分量が低下しやすくなります。冬が近づくと同じケアをしていても乾燥感があるのはその現れですね」 それから紫外線や不規則な生活習慣によって肌に発生する酸化ストレス、目に見えない弱く慢性的な炎症もバリア機能にとっては脅威!
「バリア機能が高い肌の角層は、きれいな形をした角層細胞がすき間なく並んでいます。この構造を保つには、細胞と細胞がしっかりつながっていて、かつ適切なタイミングで切断されて剝がれ落ちることが大事。その切断する酵素の働きに悪影響を与えるもののひとつが、酸化ストレスや微弱な炎症です」 乾燥には角層だけでなく、肌のより深い部分の変化も関わっています。
「角層の下の表皮の顆粒層には、細胞と細胞を強固に結びつけるタイトジャンクションという構造があり、内部からの水分の蒸発を防いでいますが、この機能が弱まることも乾燥の引き金に。たとえばアトピー性皮膚炎の方は、タイトジャンクション機能が低下していることが知られています」 またエイジングなどによる真皮の変化も乾きと無縁ではありません。
「真皮はコラーゲンやエラスチンといった線維構造で埋め尽くされています。線維構造は加齢や生活習慣の影響で糖化(肌のタンパク質と糖が結びつく現象)し、AGEsという物質が作り出されるのですが、糖化も肌の水分保持機能低下と関係しています」 こうした肌の乾燥がひどくなるのは、いったい何歳くらいから?
「個人差があるので一概にはいえませんが、素敵世代でお手入れをきちんとしていなければ、バリア機能のダメージからの回復が遅くなり、水分量が低下する可能性は充分あり得ます」

ターンオーバーの乱れによって肌内部に起きること

加齢などでターンオーバーのスピードが乱れて、角層の細胞が規則的に並んでいない肌は、内部の水分や熱がすぐに逃げて、外からの刺激も受けやすくなります。反対にターンオーバーが安定していれば、細胞がすき間なく並んで潤いや熱が保たれ、刺激を受けにくくなります。※イメージ図

「タイトジャンクション」とは

表皮の顆粒層では、細胞と細胞がタイトジャンクションという構造によって接着されていて、バリアを形成。水分のほか、角層の形成に必要なカルシウムイオンの流出も防いでいます。

物足りないと思ったらまずスキンケアの見直しを

さて、怖いのは、乾燥はエイジングのきっかけになること。例えば、肌が乾くと、細かいチリメンジワが増え、大ジワに進行することもあるというからご用心!
肌を潤わせようと思うと、化粧水だけを重視しがちですが……
「化粧水は水分なのでそれだけをつけても蒸発してしまいます。乳液、クリームで必ず蓋をして。加えて、バリア機能が弱まっていると、刺激に対する感受性が高くなります。汚れを落とすときは低刺激な洗顔料を使って、ゴシゴシとこすらず、洗う時間も短めにするよう心がけてください」 特に冬、スキンケアが合っていないと感じたら?
「いつものスキンケアを変えたり、マスクなどを品増やしたりして、より保湿に特化したお手入れに。とはいえ増やす際は、あくまで化粧水、乳液、クリームといった基本のケアをベースにしたうえで、スペシャルケアをプラスしましょう。乾きの原因になり得る糖化、炎症、酸化に配慮した製品を取り入れるのもいいと思います」 とにもかくにも保湿はスキンケアの基本のキ。なめらかでキメの整った肌を保つためにも、エイジングを防ぐためにも毎日きちんと実行!そして潤った美肌で春を迎えて。

\乾燥対策の/大人肌保湿ケアのPoint!

  • 摩擦は厳禁!潤いを保つ洗顔料を しっかり泡立てこすらない
  • 油分で蓋をする!化粧水+乳液・クリームは必須
  • いつものケアに+α美容液やマスクを 1 品増やす
  • 乾燥サイクルを阻止!糖化、酸化、炎症に アプローチする製品を使うのも手
  • 乾燥する肌をどうする?ダメージを受けた肌に本当に必要なこと

教えてくれたのは

ポーラ化成工業株式会社 B.Aリサーチセンター長 大石貴矢さん

2014年入社、2023年からB.Aリサーチセンター長兼務。基礎研究を主導しながら、次のB.A製品に関する研究の全体感やB.A製品全般の主に肌理論や感性理論を思考している。手がけた製品は、今年の9月に発売となった7代目となるB.Aローション・ミルク・クリームをはじめ、B.AアイゾーンクリームやB.Aミルクフォームなど。

取材・文/入江信子 ※素敵なあの人2026年1月号「大人の美容学第2弾 冬の肌乾燥の「原因」と「対策」を深堀り!」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

「年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い」をテーマに、ファッション情報のほか、美容、健康、旅行、グルメなど60代女性に役立つ情報をお届けします!

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