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うちは裕福じゃなかったのに。なぜか届いていた『おもちゃの数々』→ 母の“ひそかな努力”に気づいた日

  • 2025.12.13

筆者の話です。
裕福ではなかったわが家に、時々ぽんと現れる「特別なもの」
大人になって、その裏にあった母の静かな工夫を知りました。

画像: うちは裕福じゃなかったのに。なぜか届いていた『おもちゃの数々』→ 母の“ひそかな努力”に気づいた日

不思議だった「うちにだけあるもの」

子どもの頃、わが家は決して裕福な家庭ではありませんでした。
それなのに、家には突然おもちゃが届き、友達の家にはない遊び道具まで置かれていたのです。

「どうして、こんなのが家にあるんだろう?」
そう思いながらも、友達から「いいなあ」と羨ましがられるのが、どこか誇らしくもありました。

小さな違和感と、母の「余裕のなさ」

ただ、買ってもらった記憶はほとんどありません。
外食も旅行も少なく、母は常に節約を意識していた人でした。
だからこそ、家に突然現れる「特別なもの」が、子どもながらに少し引っかかっていたのです。

「これ届いたから開けてみようか!」
胸を躍らせて箱を開けると、子ども心をくすぐるような物が入っていました。
「余裕がないのに、どうしてなんだろう……」
言葉にはしませんでしたが、心の奥ではその小さな疑問が静かに膨らんでいきました。

大人になって知った「母の工夫」

社会人になってから、あるきっかけで母の口から真相を聞きました。
それは、懸賞に応募したり、食品のマークをこつこつ集めたりして当てていたものだったということです。
「当たったから、持って帰ったのよ」
母は軽く言いましたが、その裏には情報を集める労力や、応募の準備など、細かな手間が積み重なっていたはずです。

さらに、ある日突然連れて行ってくれた子ども向けの劇も、実は懸賞で手に入れたチケットでした。
どうして親戚の子も一緒だったのかと疑問に思っていたら、その子の名前で応募して当てたものだったのだと照れくさそうに笑う母。
いくつもの手段を駆使して「楽しみ」を届けようとしてくれていたのだと思うと、胸の奥がじんわり熱くなる瞬間でした。

知らないところで注がれていた「愛情」

あの頃、母は見えないところで、私たちががっかりしないように工夫してくれていたのだと気づきました。
裕福ではなかったはずなのに「特別な時間」がたくさんあった理由は、全部母の優しさだったのです。

そんな静かな努力を思い返すたび、今になってようやくその愛情を噛みしめています。
知らなかった事実を知った今、あの不思議の答えをそっと胸にしまって過ごすようになりました。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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