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勝利も優勝ならず…柏レイソルDF古賀太陽がチーム年間MVPに輝くも「申し訳ない気持ち」と語った理由とは

  • 2025.12.6

[J1第38節、柏レイソル 1-0 FC町田ゼルビア、12月6日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム]

柏は町田に1-0で勝利したが、首位の鹿島アントラーズが勝ったため勝ち点で上回れず、14年ぶり2回目の優勝を逃した。

この日、3バックの中央で先発した日本代表DF古賀太陽は、鋭い読みからのボールカットと身体を張った守備でチームの勝利に貢献。

今季リーグ戦全38試合に出場してチームをけん引してきた柏のディフェンスリーダーが、この試合、そして今季のここまでの戦いぶりについて語った。

画像: この日、キャプテンマークを巻いてフル出場した古賀(写真 浅野凜太郎)
この日、キャプテンマークを巻いてフル出場した古賀(写真 浅野凜太郎)

古賀がリーグ準優勝の結果を知ったのは、試合終了後にベンチへ下がったタイミングだった。

チームメイトに鹿島が2-1で勝利したことを聞いたという。

同選手は「複雑でしたけど、勝ってその結果を知れたので、悔しさとやりきった思いが両方ありました。だけど、やっぱり時間が経つにつれて悔しいなと思います。過去の試合を振り返ってみても、あのときこうしてればとか、いろいろ考えたりもするので、悔しさの方がありますね」と率直な思いを吐露した。

柏はこの試合で勝利し、鹿島が負ければリーグ優勝が決まっていた。

だが、首位に立つ鹿島が常勝軍団の意地を見せた。

「悔しいですね。しかも差が1ポイントしか離れていないところが、より悔しく感じます。一つ、一つのプレーを振り返ってみるときりがないんですが、それは来シーズンにつなげないといけない。シーズンを通して見たら、鹿島がずっと上位にいたわけで、そこは鹿島がふさわしかったということに尽きる気がします。しっかり(結果を)受け入れながら、来年一番上(の順位)に入るためにも、この経験をしっかり生かしたいと思います」

画像: チーム年間MVPを受賞した古賀(写真左 浅野凜太郎)
チーム年間MVPを受賞した古賀(写真左 浅野凜太郎)

古賀は今季、リーグ戦38試合出場を達成。ピッチ上で闘志を見せながら、優勝争いをするチームを鼓舞し続けた。

同選手の貢献はサポーターからも高い評価を受け、この日の試合後にはチーム年間MVPを受賞した。

だが、MVPに輝いた感想を尋ねられた古賀は「申し訳ない」と答えた。

「“違うもの”を掲げたかったので、そこは悔しい思いがあります。サポーターの皆さんの反応を見ていても、悔しさがあるのかなと感じました。期待に応えられず、申し訳ない気持ちです。ただ、年間MVPはいままで取ったことがないですし、評価してもらえたことは自信にしていいのかなと」

悔しさをにじませつつ、自身のパフォーマンスに手応えも感じた古賀。

次項では、古賀の尊敬する先輩との対戦を振り返る。

「不思議な感覚でした」

古賀は、優勝が決まる可能性がある重要な試合を前に、自身が尊敬する先輩との再会を楽しみにしていた。

対戦相手の町田には、2015年から2018年まで柏でプレーしていた日本代表DF中山雄太が所属している。

同選手は昨季途中にイングランド2部のハダースフィールド・タウンから町田へ移籍したが、Jリーグ帰還以降は負傷の影響などもあり、日立台(三協フロンテア柏スタジアム)でプレーしていなかった。

画像: 約7年ぶりに日立台でプレーした中山(写真中央 浅野凜太郎)
約7年ぶりに日立台でプレーした中山(写真中央 浅野凜太郎)

アカデミー時代からトップチーム昇格後まで、苦楽をともにした先輩との対戦は、古賀にとって特別だった。

「(中山)雄太くんがどう感じたかわからないですけど、不思議な感覚でしたね。相手として雄太くんと対峙するのは初めてでしたし、やっぱりいい選手だなと思いました」

さらに古賀は、今回が敵として初対戦となった偉大な先輩について「改めて、ああいう存在に近づいていけるような人間になっていかなきゃいけない」と語り、「リスペクトしつつ、追い越せるように頑張りたい」と目標を掲げた。

今季はリーグ戦2位に終わった柏だが、背番号4はこの日の悔しさを糧に、来季こそは必ず優勝を成し遂げたいと意気込む。

画像: 身体を張った守備で柏の勝利に貢献した古賀(写真左 浅野凜太郎)
身体を張った守備で柏の勝利に貢献した古賀(写真左 浅野凜太郎)

「強いレイソルを取り戻すために、タイトルは必要だと思います。そこを逃した部分は悔しさが残りますが、ピッチで表現してきたものに間違いはない。見ている皆さんの反応を見ても、『美しいサッカーをしてくれている』と言ってくましたし、そこはもう一回強いレイソルを取り戻すためのきっかけになるような年にできたのかなと思っています」

悔しさと手応えを胸に刻んだ柏の背番号4は来季こそ頂点に立つために、さらに進化した姿を示す覚悟だ。

(取材・文 縄手猟、写真 浅野凜太郎)

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