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「グッチ」がデムナ撮影による最新コレクション、”ジェネレーション グッチ”を発表

  • 2025.12.5
Demna / Courtesy of Gucci

「グッチ」がインスタグラムのフィードを過去の画像で埋め尽くしたのでは?と驚いた人もいただろう。それもそのはず、デムナが撮影した架空の「グッチ」のショーをルックブックという形で提示した“ジェネレーション グッチ”が突如発表となったのだ。プレスリリースによると、ブランドの歴史におけるさまざまな時代のアーカイブとビジュアルコードの継続的な探求を、デムナの視点を通して表現したものと記されている。その主要なアーカイブの参照元は、ファッションに精通した目にはすぐに見て取れる。

“ジェネレーション グッチ”は、デムナにとって2度目のサプライズ発表であり、「グッチ」での2つ目のコレクションとなる。最初のコレクション“ラ ファミリア”コレクションは、発表直後に店頭に並んだ。今回の新しいルックブックは「異なる世代の製品とビジュアルをひとつの美的物語に融合させており、2月に公開される彼の『グッチ』における個人的なビジョンを予期させる」ものだという。これは、デムナのより包括的で、おそらくより具体的なデザインのDNAが、まだ完全に示されていないことを示唆している。彼は、来たるミラノ・ファッションウィークで正式にランウェイデビューし、その後5月にニューヨークでクルーズ コレクションを発表する予定だ。

Courtesy of Gucci

デムナはランウェイデビューする前から、「グッチ」の世界に存在する登場人物を構築するという明確な戦略を立てている。“ラ ファミリア”コレクションでは、「プリマドンナ」から「ナルシスト」に至るまで、それぞれのルックにそのアーキタイプが文字通りラベル付けされていた。そして今、“ジェネレーション グッチ”は、歴史にしっかりと刻み込まれた象徴的な時代から生まれた一人の人物について、彼が詩的に語る機会となっている。

このコレクションは主に1990年代と1970年代のシルエットに深く切り込み、軽やかさと洗練の両方を強調している。トム・フォード時代の「グッチ」が常に人気を博しているにもかかわらず、この両時代は近年の美的なリバイバルにおいては比較的未開拓であった。ほとんどのブランドやトレンドは、この2つの時代をほぼ完全にスキップし、代わりに1980年代、Y2K(2000年代初頭)、そして2000年代半ばのBOHOスタイルをリバイバルしてきた。例えば、デムナのビジョンの中で再び注目を浴びたレースパンツは、1999年秋冬の「グッチ」ランウェイショーを彷彿(ほうふつ)とさせる。前任のサバト・デ・サルノによるクリエーションとは一線を画す、リラックスした“ジャッキー”バッグが2度目の登場を果たし、デムナが手がけた最初のイットバッグとしての地位を確立した。

Gucci by Tom Ford, fall/winter 1999.  Penske Media / Getty Images

わかりやすいリファレンスの裏側で、デムナは依然として繊細な実験を行う機会を捉えている。クリーム色のフェイクファーコートとヌードタイツは、彼流のセックスアピールを強調している。一方、彼の代名詞であるコラムドレスは、よりスリンキーにスパンコールをまとい、背中が大きく開いたデザインで90年代のレッドカーペットドレスを踏襲している。そしてもちろん、ブルゾンスタイルのドレスなくして、デムナのコレクションは完成しない。(どうやら、彼がどこへ行こうとも、そのシルエットは彼と共にあるようだ)

デムナにとって、このような象徴的なハウスコードに敬意を払うことは名誉であり、それを軽んじることは決してない。ランウェイデビューがないまま、彼の作品はすでに店頭に並んでいる――これは伝統的なファッションのタイムラインにおいては異例のことだ。しかし彼は、本格的なデビューまでの数カ月間を、何よりもまず彼自身がまだ一学生であり、今「グッチ」のカリキュラムに編入された身であることを示すために利用している。そしてそれは、優れたデザイナーが決して手放すべきではないスキルなのだ。

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