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病をおして厨房に立つ夫と、明るく支える妻が作る名物「スヤキ」は特許がとられていた! 滋賀・甲賀市で愛される“人情食堂”に密着!

  • 2025.12.4

街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、大病を抱えながらも必死に店を守り続ける店主の思いに迫ります。

©ABCテレビ

滋賀・甲賀市にある「谷野食堂」。このお店には、多くのお客さんに親しまれている名物があります。それは「スヤキ」という麺料理。自家製の中華麺ともやし、ねぎを炒め、塩で味を整えただけのシンプルなメニューです。

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味はソースやしょうゆ、こしょうなどで自由にカスタマイズできますが、「まずは何もかけずにそのまま」とオススメの楽しみ方を指南してくれたのは谷野薫さん(63)。2代目店主の夫・義明さん(72)と夫婦でお店を切り盛りしています。

「谷野食堂」は1953年に製麺業から始まった老舗。義明さんが店を継いだのは1981年のこと。すぐそばに県立水口高校があり、部活に汗を流す高校生たちの胃袋を満たしてきました。

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ところが義明さんは1年ほど前、肺が徐々に硬くなり、呼吸機能が低下する難病「突発性間質性肺炎」を発病。肺の3分の1ほどが機能していないため、24時間酸素吸入が必要です。特効薬はなく、医師には「ともかく、じっとしとくこと」と安静を指示されましたが、厨房に立ち続けています。

無理を押して店を開く理由を「今辞めても金には困らへんけど、やっぱり…自分の生き様やろなぁ」と義明さん。そんな夫を薫さんは案じながらも、「働きながら死んでいく、それが一番自分らしいっていわはるし」「したいようにさせています」と見守っています。

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早朝5時、店の奥にある製麺所をのぞくと、義明さんと薫さんがすでに麺作りの作業を始めていました。中華麺にうどん、そば、ソフト麺などさまざまな麺を手がけている「谷野食堂」。この日は2時間かけて300食分の麺をゆで、袋詰めに。

できあがった麺を車で配達するのは義明さん。「ポチ」と名づけてペットのように引いて歩いているという酸素吸入器と一緒に、農協や飲食店など4カ所を回ります。

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【動画】「ポチ」と命名したのは薫さん。酸素吸入器も「ポチ、行くで」と引いて歩けば「楽しくなる」と考えたとか。そんな彼女の明るさが義明さんを支えています。

鼻にチューブをつけ、口で息をする義明さんはかなり辛そうに見えますが、それでも麺が売れると「うれしい」と。その反面、麺作りで薫さんに大きな負担をかけていることも気になっているようで「複雑な気持ち」も抱えています。

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いつまで仕事を続けるのか?――配達中の車内で聞いてみました。すると、「今度、入院したら商売をやめる」と義明さん。病状は徐々に悪化し、担当医には1年後には寝たきりになるかもしれないと言われているそう。それでも“やれる限りは続けたい”という決意と覚悟が、その表情から伝わってくるようです。

午前11時、「谷野食堂」がオープン。遠方から1時間もかけて食べに来たという人や、麺3玉の特大ボリュームで頼む常連さんなど、「スヤキ」は今日も大人気。ひっきりなしに来ていた高校生たちの注文をさばくため、「いちいちソースやらかけてられへんから、自分らでかけて」とシンプルな味つけになった「スヤキ」は、今ではお店の大看板です。

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夕方、薫さんは店の近くにある「エフエム花」へ。月に一回、地元ラジオ局の番組に出演しているのです。この日の放送では、取材班からのリクエストに応え、普段は言えない義明さんへの思いを明かしてくれた薫さん。

本当は働かない方がいいが、地元・水口の街を「元気にしたい」一心で夫はがんばっているーーそう語る薫さんの声をラジオ越しに聞いた義明さんは「しゃべんのはうまいなぁ」と照れ笑い。その顔には一番の理解者である薫さんへの深い信頼がにじんでいました。

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「実録!人情食堂」は、10月27日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。

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『newsおかえり』YouTubeチャンネルで配信中

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