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元駅員「嘘だろ!?」駅の電話で発覚した“大量誤送付”に顔面蒼白…。先輩の手が震えた「4月の悪夢」

  • 2026.1.11
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今日は、私が駅員時代に経験した「ある大騒動」をご紹介します。私はこの出来事で、相互確認の重要性を思い知りました。

定期券一括発売

4月からお子さまが新しく学校に通うご家庭も多いのではないでしょうか。制服の採寸、教科書の準備、一人暮らしをするための学生マンション探しなど、今から大忙しになると思います。社会人の方も、人事異動によって新たな生活が始まるという方もいるかもしれません。

駅員にとっても4月は重要な時期で、新生活に合わせて定期券を購入するお客さまに円滑な案内ができるよう準備しなければいけません。私が配属された経験のある駅のひとつでは、周辺の学校で入学式に合わせて「定期券一括発売」を行っていました。

定期券一括発売をする場合、事前の入学説明会で定期券購入申込書を新入生とその保護者に渡さなければいけません。このとき、申込書と共に区間ごとの定期券金額一覧表も封筒に同封して学校に送付します。これを駅周辺の高校3校と大学1校に送っていました。

電話の内容に「嘘だろ?」

封筒の送付が終わって、あとは入学式を待つのみとなっていたある日、駅の電話が鳴りました。出てみると高校の新入生の保護者さまで、どこか困惑しているような様子です。問い合わせだろうかと思って「どうなさいましたか?」と尋ねると、この方はこう話されました。

「あのう、実は娘が定期券の購入申込書をいただいたのですが、大学生向けの金額表が封筒の中に入っていて…」

「おいおい、嘘だろ!?」と言いたいのをこらえ、努めて冷静にこう返します。

「大変失礼いたしました。すぐに調べて折り返しますので、お名前とお電話番号、それからご購入予定の区間を教えていただけますか?」

メモを取り「それでは、少々お待ちください」と受話器を置いた私は、すぐに決断しました。

「これは…自分だけで解決は無理だ」

当時新人だった私は、すぐさま現場のリーダー格の先輩に声を掛けました。

あわわわわ…

「先輩、先ほど高校の新入生のお宅から電話がありました。なんでも、封筒の中の金額一覧表が大学生用だったとか…」

私のつたない説明でも事の重大さは伝わったらしく、先輩は口を大きく開け、手を震わせるリアクションで応えました。

さらにリーダーより上の、当務駅長と呼ばれる上司が

「川里、電話番号はあるか?」と呼び止めました。

私が先ほどのメモと高校生分の金額一覧表を渡すと、この上司が自ら謝罪と確認の電話を掛けました。

「ああ、やっぱり一大事なんだなあ」

と実感しました。

このお宅に限らず、この高校に送った封筒すべてに間違った金額一覧表を送ってしまった恐れがありました。この金額一覧表と定期券購入申込書は、内勤の駅員たちが手分けして封筒に入れたものです。大学のものも高校のものも同じ机で作業したため、どこかで混ざってしまったのでは、とのことでした。

ま、間に合った

誤った金額一覧表が送られてしまった件は私の手を離れ、上司たちが高校や保護者さまたちに電話を掛け始めました。すべての家庭に正しい金額一覧表が送られているか確認したそうです。幸い、誤った金額一覧表が封入されていたのは限られた数で、その日のうちに全家庭分の確認と、大学生分の金額一覧表が送られていた高校新入生への訂正を済ませることができました。

入学式当日、私は駅のきっぷ売り場で働いていましたが、駅員からもお客さまからも、金額一覧表が間違っていたことによる混乱は聞こえてきませんでした。あの新入生の保護者さまが誤りに気付いていなければ「金額が違うのはどうして?」と大混乱になっていたでしょう。

駅員だって間違う

今回の金額一覧表のように、駅員も人なので間違うことがあります。もっと身近なところではきっぷの日付、区間、座席番号などです。駅員たちも誤りがないよう細心の注意を払ってはいますが、それでもお客さまとの相互確認は不可欠です。

急いでいるときに駅員がきっぷの表面を指差し

「きっぷのご確認をお願いいたします」

と言われたことはありませんか?これは「区間、日時、列車名、座席位置などは間違いないか確認してほしい」という駅員からのメッセージです。

「ああ、はい!はい!」

ときっぷを見ずに取り上げる方も中にはおり「ちゃんと見てほしいなあ」と感じていました。

「駅員がきっぷを間違っている!」

とあとで気付いても、迷惑を被るのは自分自身なのですから。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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