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大雨前に“排水溝のつまり“を解消して家を守る! 家庭の防災チェック

  • 2025.11.28

気候変動の影響で、下水道の処理能力を超えるような大雨が増えています。この記事では、大雨の際に家を排水のトラブルから守るためのポイントをご紹介します。

排水溝が詰まることのリスク

家の排水設備が詰まると、大雨時に浸水や雨漏りが発生するリスクが高まります。また、屋内にある排水口の詰まりも、下水管の排水能力を下げる遠因となります。

ここからは屋内外の場所ごとに、詰まりの原因や対処法をみていきましょう。

屋外:側溝・集水ます・ベランダ

水はけを良くするために家の敷地内に設けられた側溝には、知らず知らずのうちに落ち葉や木の枝、泥、砂、ペットの毛などが流れ込み、堆積していきます。放置しておくと排水能力が低下し、敷地内の水はけが悪くなるため定期的な清掃が欠かせません。

小さなマンホールのような見た目の集水ますには、家庭から排出される汚水を集める「汚水ます」と、雨水を集める「雨水ます」があります。汚水ますには石けんのカスや毛髪などが、雨水ますには泥などがそれぞれ蓄積し、詰まりの原因になります。そのため、年に1度はフタを開けて点検しましょう。

ちなみに、住宅によってはコンクリート製の四角いますが設置されている場合もあります。

ベランダには雨水を流すための排水口があります。ゴミが流れないようにする網状のストレーナーが落ち葉などでつまると、大雨のときにベランダがプールのようになり、掃き出し窓の高さを超えて浸水することがあるので、掃除を欠かさないようにしてください。

屋内:キッチン・洗面台・浴室・洗濯排水

キッチンのシンクから流れた油汚れや野菜くず、浴室の排水口から出る毛髪や石けんカスは、家の汚水ますを詰まらせます。

そして、その先にある下水管にも堆積することで排水能力を低下させる場合も。大雨時には雨水とともに河川に放出されることがあり、水質汚染の原因にもなります。調理油はシンクに流さず紙で吸い取るか、専用の凝固剤などを使って処分してください。また、排水口にはネットをつけ、野菜くずなどのゴミを流さないようにしましょう。

洗面台や浴室の排水口にあるストレーナーのゴミを取り除いていても、すり抜けた毛髪などにより排水管がつまることがあります。ラバーカップで吸い取る、ワイヤーブラシで削り取る、毛髪を溶かす洗剤を使うなどの方法で手入れすることをおすすめします。

その他、洗濯機の排水口にも細かな繊維ゴミや髪の毛がつまります。排水エラーの原因にもなるので、定期的に掃除をしてください。

雨どい(軒どい・縦どい・集水器)

雨どいは、屋根から流れ落ちる雨水を受け止める「軒どい(横どい)」、地面に流す「縦どい」、軒どいから水が集まる「集水器」という3つのパーツで構成されています。

落ち葉や土砂などのゴミが詰まると、軒どいのあちこちから雨水が滝のように流れて外壁が傷みやすくなり、塗装のひび割れから水が浸み込むことにより雨漏りの原因になります。

近年は雨どいの改良化が進み、昔よりも落ち葉などが入りにくい構造も取り入れられていますが、コケや鳥の巣などが詰まりの原因になることもあります。

雪解けの時期や降水量が増える梅雨の前など、季節に1回程度、もしくは少なくとも年1回程度は雨どいが詰まり水が溢れていないか、目で見て点検しましょう。

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大雨前日のチェックポイント

台風の接近などで大雨が予想されている場合も、可能なら事前に排水設備を点検することが大切です。

家まわり・ベランダの排水口を掃除

家の周囲を掃除し、排水溝を詰まらせるゴミをあらかじめ取り除いておきましょう。排水溝や集水ますに堆積している泥は、シャベルやスコップですくい、市区町村の処分方法にしたがって捨ててください。泥の中にガラス片などが混入していることもあるので、掃除は素手で行わずゴム手袋を着用しましょう。

また、ベランダの排水口も点検して落ち葉などのゴミを取り除いたのち、ストレーナーをしっかりとセットし直してください。排水口に向かって水が流れるベランダの溝をプランターなどで塞がないようにしましょう。

雨どい・集水器の落ち葉除去

軒どいや集水器に落ち葉などのゴミが詰まっていたら、トングなどを使って取り除きます。作業時には、ケガをしないように軍手を着用してください。雨どい掃除用の柄の長いブラシも市販されています。

脚立やはしごを使っての作業は危険を伴うので、安全を配慮して二人一組で行ってください。また、2階以上の屋根に設置された雨どいの掃除は危険です。難しい場合は、無理をせず業者に依頼しましょう。

道路の側溝・グレーチングの清掃

道路わきの側溝は、公道であれば自治体の管理下にある場所ですが、日常的な掃除は地域住民が担う場所です。グレーチング(鉄製の格子状になったふた)をふさぐようなゴミがあれば、取り除いておくと水はけが良くなります。

清掃する際には側溝に押し込まず、ほうき、ちりとり、トングなどを使って集めましょう。

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大雨当日の対応方法

大雨が降っているときは、自分自身の安全を第一に考えて行動してください。

道路の側溝に近づかない

大雨で道路わきの側溝があふれているときは、ふたが外れていても分かりにくく、落ちて流される危険があります。増水の様子が心配でも、近づかないようにしてください。

玄関、窓、床下換気口の止水

浸水の危険時には、玄関のドア、ガレージのシャッター、一階の掃き出し窓などに止水板や土のう・水のうを設置して、水の侵入を防ぎましょう。

水のうは、二重にしたゴミ袋に水を入れて作ることができます。段ボール箱に水の入ったゴミ袋を入れると運びやすく、ドアや窓にぴったりとつけて置くことで段ボールが簡易的な止水板となります。道路との段差が少ないガレージは浸水の危険が高く、早めの対策が重要です。

また、市区町村が止水板の設置工事の費用補助を行っている場合もあります。自治体によって「過去に浸水したことのある家」「半地下ではない」などの諸条件があるため、事前に確認してください。

その他、床下には家に湿気がこもらないよう換気口が設けられています。床下浸水の対策として、換気口に張り付けて使うマグネットタイプの止水シートも市販されています。

トイレ・床排水の逆流対策

大雨で下水管がいっぱいになると、家の中にある排水口から汚水が逆流することがあります。特に1階のトイレ、浴室、洗濯の排水口は地面に近く、逆流が起こりやすい場所です。また、高さのあるキッチンのシンクや洗面台から逆流することもあります。

「ゴボゴボ」という音がする、下水の臭気があるなどの異変は、下水管が満水になっているサインです。その際には水の使用は控えましょう。

ゴミ袋に水を入れて水のうを作り、便器の中や排水口の上に乗せると、逆流防止になります。

電気の浸水を避ける

エアコンの室外機は雨風に耐えられるように設計されていますが、浸水すると故障の原因となります。ブロックなどを下に敷いてかさ上げをし、水に浸かることを防ぎましょう。庭のソーラーライトや、排水ポンプ用の発電機なども浸水しない場所に避難させてください。

電気製品が水につかると、故障だけでなく感電する危険もあります。床上浸水の恐れがあるときは、電源タップや延長コードを高い場所に避けましょう。コンセントの高さまで浸水しそうであればブレーカーや電気製品の電源を落とし、プラグを抜きましょう。

また、道路の冠水時は膝上くらいの深さでも避難は困難です。浸水するペースが速い時は何よりも命を優先し、自宅や近くの建物の2階以上へ避難してください。

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排水溝詰まりの対策グッズ

排水溝の詰まりを点検・掃除するときに必要なもの、あると便利なものをまとめました。浸水対策グッズも合わせて用意しておきましょう。

・ゴム手袋/軍手
・トング/スコップ/シャベル
・マスク/防じんマスク
・グレーチングフック
・ドレイン(排水口)ブラシ
・バケツ
・高圧洗浄機
・ヘッドライト/懐中電灯
・土のう袋/水のう用ゴミ袋
・簡易止水板
など。

排水溝につまっている泥は不衛生です。取り除く作業は素手で行わず、ゴム手袋を着用してください。泥をすくうスコップやシャベルがあると便利です。

落ち葉などの乾いたゴミを集めるときも手を保護するために手袋をつけ、トングなどを使いましょう。土ぼこりなどから呼吸器を保護するために、マスクも欠かさずに。

また、排水溝の蓋を持ち上げるためのグレーチングフックや、柄の長いドレインブラシも、あると便利なアイテムです。

まとめ

排水溝や集水ますの詰まりは、大雨が降ったときに排水が滞る原因となります。落ち葉の季節や、年末の大掃除、梅雨の前、台風の前後などに適宜点検し、大雨時の排水トラブルを防ぎましょう。

<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター・防災士
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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