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LAの山火事を免れたイームズハウスが再公開。その新たな挑戦と使命とは。

  • 2025.11.17

「イームズハウスは火の手を逃れられるか」。今年1月、ロサンゼルスの山火事が強風に煽られて急接近し、ミッドセンチュリー建築の名作イームズハウスの安否が案じられた。ケーススタディハウスNo.8としても知られるチャールズ&レイ・イームズの私邸兼アトリエは、ふたりが設計した建物のデザインだけでなく、当時の生活ディテールがそのまま丁寧に保管されていることで知られる。

リビングルーム
イームズハウスのリビングルームはチャールズ&レイ・イームズのデザイン信念や生活が体現化され、当時の生活がそのまま残っている。革新的なアプローチでガラスや鉄を取り入れ、外のユーカリ林と融合するような吹き抜けのオープンな空間には二人が世界中から収集した民藝品がいまでも並ぶ。photography: Chris Mottalini, 2025. © 2025 Eames Office, LLC.

消失を逃れたイームズハウスの再開と、イームズ財団の新たな試み。

今年のロサンゼルスの山火事で多くの家屋が焼失した被災地のひとつ、パシフィックパリセーズに位置するイームズハウスは、延焼を免れたとはいえ深刻な煙害を被った。約半年を要した綿密な修復作業を終えて、夏からは一般公開が再開。この機会にかつて非公開だったアトリエも見学できるようになった。

アトリエ
今回が初めての一般公開となったアトリエ。photography: Chris Mottalini, 2025. © 2025 Eames Office, LLC.

イームズハウスインテリア
photography: Chris Mottalini, 2025. © 2025 Eames Office, LLC.

海岸から山までロサンゼルス広域に及んだ破壊的な山火事の被災を経験し、隣接するコミュニティが被った甚大な喪失を目の当たりにしたイームズ財団は、イームズハウスの修復と並行して地域再生に向けたコミュニティプロジェクトにも着手している。

そのひとつが気候変動に対応する住宅のあり方を探求するNPO「ケーススタディ:アダプト」と連携だ。かつて斬新なアプローチで実験的住宅建築を提唱したケーススタディの精神を、現代の課題に重ねて建築の力で環境と暮らしの再生を試みようというミッションのもと、初のプロジェクトとしてLAの建築事務所10社を山火事で家を失った施主に繋ぎ、現在16軒の住宅設計が進行中だ。

外観
イームズハウスはユーカリの木に囲まれている。防災や維持可能性などを目指し新たな試みに挑むケーススタディアダプトは果たしてユーカリが火災の危険が高い地域に向いているのか、どのような造園が温暖化する環境に的しているかなども検討していく。 photography: Chris Mottalini, 2025. © 2025 Eames Office, LLC.

防火対策を意識した造園に囲まれたこれらの住宅は、広さよりもサステナビリティ、居住性、デザイン美の共存を重視するという。歴史的な山火事の爪痕の中から、現代の課題と生活に適応する、新たな"ケーススタディ・ハウス"が生まれようとしている。

The Eames House & Foundation
イームズ・ハウス&ファウンデーション
https://www.eamesoffice.com/visit-learn/eames-house/

Case Study:Adapt  
ケーススタディ:アダプト
https://www.casestudyadapt.org/

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