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北村匠海さんの演技の振り幅に驚く…「この恐怖からは目を背けてはいけない」 映画『愚か者の身分』試写レポ

  • 2025.10.17

映画『愚か者の身分』10月24日(金)全国公開(PG-12)

Sitakke

「HBC演劇エンタメ研究会(通称“エンケン”)」の森結有花アナウンサーが、試写会でいち早く見てきました。感想をレポートします!

ストーリー

SNSで女性を装い、言葉巧みに身寄りのない男性たち相手に個人情報を引き出し、戸籍売買を日々行うタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)。
彼らは劣悪な環境で育ち、気が付けば闇バイトを行う組織の手先になっていた。

闇ビジネスに手を染めているとはいえ、時にはバカ騒ぎもする二人は、ごく普通の若者であり、いつも一緒だった。
タクヤは、闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷(綾野剛)の手を借り、マモルと共にこの世界から抜け出そうとするが──。

しばらくその場から動けなくなる

HBCアナウンサーの森結有花です。

Sitakke
HBCアナウンサー・森結有花

作品を見終わった後、しばらくその場所から動くことができませんでした。
おそらく私の周りでも、同じような方が多かったように思います。

全員が黙り、少ししてから隣の人と顔を見合わせて、また黙る。
言葉が出てこない……それほど衝撃の強い作品でした。

この恐怖からは目を背けてはいけない

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

序盤は、裏社会で生きる若者たちが、日常で淡々と罪を犯す様子が描かれています。
静かに時間が経過するのですが、その裏で何かが動いているような不気味さがあり、気が付くと恐ろしいことに登場人物たちが巻き込まれていました。

渦にのみ込まれるスピードの生々しさがなんとも恐ろしく、胃がキリキリしました。

作品ではそんな裏の世界の恐ろしさを、北村匠海さん演じるタクヤ、林裕太さん演じるマモル、綾野剛さん演じる梶谷の3つの視点から描いています。

3人とも裏社会で罪を犯す「愚か者」でありながら、役者のみなさんの演技が素晴らしく、感情移入してしまって憎めないのです。

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

マモルはとにかく真っすぐでかわいい。
タクヤを慕い、2人でじゃれ合うシーンは、まるで子犬のよう!守りたくなります。
色々な思惑がひしめく中、マモルとタクヤの純粋な師弟関係に胸が締め付けられました。

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

梶谷はとても大きな決断を迫られます。
タクヤの先輩ということで、みんなを救うヒーローだと勝手に期待していたのですが、そんなことはありません。情けなくて少し頼りない。でもそこに人の良さが出ています。

私が梶谷だったらどんな決断をするだろう…と一瞬考えましたが、怖いのでやめました。

タクヤをとりまく状況はめまぐるしく変わります。
犯罪に手を染める一方で、後輩に慕われ、悪者になりきれない優しい一面がある。
そんな若者が裏社会になぜ入ることを決意したのか、そして後戻りできなくなった成れの果てが描かれています。

あまりの痛々しさに目を覆ってしまう場面もあるのですが、この恐怖からは目を背けてはいけないような気がしました。

吸い込まれるような美しさなのに、悲しい

ちなみに私がこの映画で一番印象に残っているのは、あるシーンでのタクヤの瞳です。

吸い込まれるような美しさなのに、見ていると悲しくて涙が出そうになりました。

その後の展開から、もしかして北村さんはここで瞳の演技に力を入れたのかな?それとも自然に印象的な瞳になったのか?いや、そもそも瞳を強調するために照明か何かを変えたのかな?と色々な疑問が浮かびました。

そんなことを思うのは私だけかもしれませんが、共有できる方がいたら嬉しいです。

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

3人に感情移入しながら作品を見ていて思ったのは、“裏社会”の話と言いながら、これは私たちと同じ人間の身に起こっている出来事で、他人事ではないのかもしれないということ。

“アジの煮つけ”や“証明写真”など日常の描写があるのも、何気ない暮らしがあっという間に崩れていく危うさを感じました。

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

作品の中で彼らが犯す罪は「戸籍売買」。
戸籍を変え、生まれ変わろうとする人々が出てきます。

でも戸籍を変えれば、人は生まれ変わることができるのか。
そもそも人生はそんなに簡単にやり直すことができるのか。

私たちに問いかけられているように感じました。

Sitakke
©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

ちなみに鑑賞時は、某朝ドラを欠かさず見ていた私。
北村匠海さんの演技の振り幅に“こじゃんと”驚きました。

映画『愚か者の身分』10月24日(金)全国公開

Sitakke

北村匠海
林 裕太 山下美月 矢本悠馬 木南晴夏
綾野 剛

プロデューサー:森井 輝
監督:永田 琴
脚本:向井康介
原作:西尾 潤「愚か者の身分」(徳間文庫)
主題歌:tuki.「人生讃歌」

製作:映画「愚か者の身分」
製作委員会 製作幹事:THE SEVEN
配給:THE SEVEN ショウゲート

年齢制限:PG-12

上映劇場など、詳細は公式サイトからご確認ください。

文:HBCアナウンサー・森結有花
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年10月)の内容に基づきます

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