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【60代エンタメ】松村北斗主演『秒速5センチメートル』は胸の奥にある“センチメンタル”を刺激する18年間の物語

  • 2025.10.10

『君の名は。』『すずめの戸締まり』などで知られる新海誠監督のアニメーション映画『秒速5センチメートル』を松村北斗さん主演で実写化。10月10日から全国公開です。

“新海ワールドの原点”とも呼ばれる2007年公開の劇場アニメを、今作が商業長編映画デビューとなる奥山由之監督が、最大限の原作リスペクトを込めて映像化しました。小学校の同級生だった少年少女が大人になるまでの18年間を描いた、忘れていた大切な記憶を呼び起こしてくれる物語。見どころを紹介します。

ストーリー

2008年、ソフトウェア開発会社でシステムエンジニアとして働く貴樹(松村北斗)は、人と深くかかわらず、閉じた日々を送っていた。貴樹と小学校の同級生で初恋相手だった明里(高畑充希)もまた、あの頃の思い出と共に、静かな日常を過ごしていた。

1991年、春。東京の小学校で出会った貴樹と明里は少しずつ心を通わせていたが、卒業と同時に明里が引っ越してしまう。離れてからも文通を重ねた中学1年の冬。吹雪の夜に栃木・岩舟で再会を果たしたふたりは、雪の中に立つ1本の桜の木の下で、最後の約束を交わす。「2009年3月26日、またここで会おう」

――30歳を目前にした貴樹は当時を思い出し、自分の一部が遠い時間に取り残されたままだと気づく。18年という時を、異なる速さで歩んだ貴樹と明里が向かう先は……?

【見どころ1】胸の奥にしまっていた“センチメンタル”が刺激される

劇中では貴樹と明里の小学生時代の出会いから、大人になるまでが描かれます。淡い初恋同士の2人は、お互い住む場所が違っても思い出を大切にしていて、大人になってからも会えそうで会えなくて……。子ども時代のほのかな恋心や放課後の過ごし方、進路や恋愛に悩む高校生の青春、そして大人になってからの戸惑いや仕事との向き合い方。観ている間ずっと胸がキュンとしたり苦しくなったり、もどかしくなったり、いつかの自分を重ねたり……忘れていた大切な記憶が呼び起こされるような感覚になります。

奥山監督が「自らの中に残る“センチメンタル”をこの作品に全て置いていくつもりです」とコメントした通り、それぞれの胸の奥にしまっていた“センチメンタル”が刺激される素敵な作品です。

【見どころ2】世代ごとの“揺らめき”を表現する3人のキャストに注目

小学生、高校生、大人とそれぞれの「遠野貴樹」を演じる3人のキャストが、自然とつながっているように見えるところもポイント。それぞれの年代が持つ揺らめきやまっすぐさを見事に表現した、3人の貴樹を紹介します。

松村北斗(大人の貴樹)

都内でソフトウェア開発会社に勤めている。人と深く関わらないようにしていて、同僚からも気をつかわれている。
<心の一部を思い出の中に置いてきてしまったような、たたずまいが印象的。さみしげな表情にひきつけられます>

青木柚(高校生時代の貴樹)

種子島で高校生活を送っている。東京から来たということで、地元の同級生とは少し違う雰囲気をまとっている。
<子ども貴樹と大人貴樹をつなぐ重要な役割。子どもじゃないけど大人になりきれてもいない、ちょうど間の貴樹を微妙に調節されていて、うなるほど演技が上手かったです>

上田悠斗(幼少期の貴樹)

東京の小学生。親が転勤族のため、引っ越しを繰り返している。
<オーディションで抜擢され、この作品がデビュー作となる11歳。ちょっと内気だけど明里には心を開く貴樹をフレッシュに演じています>

【見どころ3】原作の世界観を大切に、さらに広がりを感じる映像

アニメーションの原作ファンも多いこの作品。しかも新海誠監督のアニメが実写化されるのは初とあって注目を集めていますが、スタッフ、キャストともに原作の世界観を大切に映像化したのが伝わってきて感動します。

星や宇宙、電車などの象徴的なモチーフのちりばめ方、小田急線の踏切、雪の中で咲く桜、種子島の海といったロケーション、またコマ割りやディテールからひしひしと原作愛を感じるのです。

1時間3分の連作短編集だったアニメーションを約2時間のドラマにするにあたっては、貴樹や明里の人物像をさらに深め、アニメでは描かれていなかったような周囲の人々との関わりも描くことで、より2人の人間性や思いが浮かび上がってくるような脚本になっていました。なのでもちろん原作を知らない方も、貴樹が大切な何かを探し続ける18年間の物語として新鮮な気持ちで楽しむことができる内容になっています。

【ここにも注目!】貴樹が好きなドリンクは?

貴樹には小学生の頃から一貫して好きなドリンクがあります。小学生のときは自動販売機で買う缶のミルクコーヒー、種子島ではコンビニで買う紙パックのミルクコーヒー、大人になってからはブラックコーヒーを飲んでいるシーンが登場。それぞれ、誰と一緒にどんなシチュエーションで飲んでいるのかも、ぜひ注目してみてください。

作品情報

『秒速5センチメートル』
10月10日(金)全国公開 原作:新海誠 劇場アニメーション『秒速5センチメートル』
監督:奥山由之
脚本:鈴木史子
音楽:江﨑文武
主題歌:米津玄師「1991」
劇中歌:山崎まさよし
「One more time, One more chance 〜劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster〜」
出演:松村北斗 高畑充希
森七菜 青木柚 木竜麻生 上田悠斗 白山乃愛
岡部たかし 中田青渚 田村健太郎 戸塚純貴 蓮見翔
又吉直樹 堀内敬子 佐藤緋美 白本彩奈
宮﨑あおい 吉岡秀隆 配給:東宝
©2025「秒速5センチメートル」製作委員会
https://5cm-movie.jp/

この記事を書いた人 富田夏子

エンタメ&フード分野が得意なライター歴20年の経験を活かし、「映画ごはん研究家」として “映画とごはんをつなぐメディア”をSNS上で運営。映画と食に関連する情報や体験をシェアしている。 雑誌やWEBへの映画レビュー連載歴は13年で、俳優や映画監督のインタビューを多数手がける。料理取材の試食は残さず食べる食いしん坊。

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