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【田川市美術館】大森記詩 “スケールスケープ”という世界をのぞいてきました

  • 2025.10.8

リビングふくおか・北九州Web地域特派員・お散歩ライターの石井つかさです。 今回は田川市美術館で開催中の「大森記詩展 SCALESCAPE:ホビー/アート/ジャパン」にお邪魔しました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

アートとホビーが交差する、不思議な展示空間

この展覧会は彫刻家であり、プロモデラ―としても活躍する大森記詩(きし/1990-)の美術館初個展です。 正直に申し上げると、私は立体作品や彫刻について詳しいわけではありません。でも、ネットでの評判を見て「これは見ておいた方が良いかもしれない」と思い、足を運んでみました。

実際に訪れてみると、会場全体の作り込みが想像以上で驚きました。作品そのものの精密さはもちろん、空間の見せ方がとても丁寧で、アートに詳しくない方でも自然と引き込まれていくような構成になっています。

展示エリアは三部構成、それぞれのテーマが際立つ

展示は大きく3つのエリアに分かれていて、それぞれに異なるテーマが設けられていました。

断片と鋳造のゾーン 金属鋳造で作られた立体作品が並び、素材の重みと形のバランスが印象的でした。断片的なパーツが集合し、全体を構成していく様子には、どこか工業的な美しさがあります。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

模型とホビー文化のゾーン プラモデルを原型にした作品が多く、模型好きの方なら思わず足を止めたくなる場所です。一般的なホビーの領域が、ここでは美術として提示されており、その変換の妙をじっくり感じることができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

空間体験のインスタレーションゾーン 光と影、配置の工夫が施された空間は、まるで“スケール感”そのものを体験するような設計で、歩くたびに印象が変わっていくのが面白かったです。

出典:リビングふくおか・北九州Web
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焼失鋳造という技術がもたらす、静かな驚き

私が特に心を惹かれたのは、「模型とホビー文化のゾーン」の奥に展示されていた焼失鋳造による作品です。

焼失鋳造とは、ワックスやプラスチックなどで作った原型を鋳型の中で一度焼き払って空洞を作り、そこに金属を流し込む技法です。もともと一時的に作られたはずの模型が、この技術によって永続的な作品へと生まれ変わります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

その精緻な形状と、重厚な素材感。目の前にあるのがかつてはプラモデルのパーツだったとは信じがたいほど、静かで強い存在感がありました。技術が芸術になる、とはこういうことなのかもしれません。

静かな空間で、技術と造形にふれる時間

展覧会を通して感じたのは、「見ること」と「感じること」の距離が、想像以上に近いということです。細部まで作り込まれた作品たちは、見る人に説明を強いることなく、ただ静かにそこにあり、そっと何かを語りかけてくれます。

田川という場所の静けさも相まって、とても穏やかな鑑賞時間を過ごすことができました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

大森記詩展 SCALESCAPE:ホビー/アート/ジャパン 会期:2025年9月13日(土)~10月12日(日) 時間:9:30~17:30(入館 17:00まで) 定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日) 観覧料:一般 800円(700円)/高大生 400円(300円)/小中生 200円(100円)/未就学児無料 ※( )内は20名以上の団体および田川市在住者[要身分証明書]の料金 ※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介助者1名無料 ※土曜日は高校生以下無料

田川市美術館 電話:0947-42-6161 住所:福岡県田川市新町11-56 駐車場:あり(無料) 公式WEBサイト:田川市美術館公式サイト 公式SNS:田川市美術館X公式

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