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40年前、紅白で響かせた“昭和アイドルの完成形” 大人びた曲から青春ソングへ回帰したワケ

  • 2025.11.18

1985年の日本。ざわめきが少しずつ街を満たし、テレビからは明るく勢いのある歌が次々と流れていた。カラフルなファッション、肩パッドのスーツ、夜のネオン。そんな時代の空気をそのまま閉じ込めたような1曲がある。

近藤真彦『ヨイショッ!』(作詞:ちあき哲也・作曲:長沢ヒロ)――1985年2月13日発売

16枚目のシングルとなったこの曲は、まさに彼の“第二章”の幕開けともいえる一曲だった。前年にはシングル『ケジメなさい』(作詞:売野雅勇・作曲:馬飼野康二)や『永遠に秘密さ』(作詞:松本隆・作曲:山下達郎)で大人びた雰囲気を見せた彼が、ここで再び“青春のマッチ”へと戻ってきたような、明るさと勢いに満ちている。

“掛け声”で始まる時代の象徴

タイトルからして印象的な『ヨイショッ!』。イントロから聴く者の気分を一気に高揚させるサウンド。ちあき哲也による歌詞は、日常の中の小さな頑張りや前向きな気持ちを、軽やかな言葉で綴っている。そこに長沢ヒロの軽快なメロディが重なり、聴くだけで元気が湧いてくる“応援ソング”に仕上がっている。

80年代の男性アイドルといえば、歌とダンス、そして“熱気”。近藤真彦はそのすべてを体現する存在だった。この曲でも彼の真骨頂である“体でリズムを取るような歌唱”が光り、観客を巻き込むライブパフォーマンスも印象的だった。

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2022年、バースデーライブで歌う近藤真彦(C)SANKEI

“真彦サウンド”の進化と余裕

『ヨイショッ!』での近藤真彦は、勢いだけではない、どこか“余裕”のようなものが感じられる。サビに向けてのリズムの切り替え、バックバンドの軽快なアレンジ。長沢ヒロによる骨太なサウンドが、曲に“男の爽やかさ”を与えていた。

同年末、第36回NHK紅白歌合戦で近藤はこの曲を披露。5回目の出場という節目にふさわしいステージで、軽やかな笑顔と全力のパフォーマンスが、まさに“昭和のアイドル像”の完成形だった。シンプルな言葉とリズムで構成された楽曲は、子どもから大人まで口ずさめるキャッチーさを備えており、まさに“時代の顔”としての役割を果たしていた。

彼は活動の幅を広げ、80年代アイドルの中で最も長く第一線に残った存在の一人となる。『ヨイショッ!』は、そんな“過渡期のマッチ”を象徴する一曲でもあった。

“ヨイショッ!”の明るさが残したもの

40年が経った今、このタイトルを聞くだけで懐かしい気持ちになる人も多いだろう。あの頃のテレビ文化も遠い過去になった。それでもこの曲を聴くと、「元気を出していこうよ」という単純なメッセージの強さを思い出す。

音楽がまだ“娯楽の中心”にあった時代、人々は歌に励まされ、テレビの向こうのアイドルに自分を重ねた。『ヨイショッ!』は、そんな“みんなで支え合う時代”の象徴だったのかもしれない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。