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「地上波で放送は不可能」約43年 再放送されず“封印状態”が続く神アニメ…「最高傑作」語り継がれる至高の一作

  • 2025.11.6

アニメの中には、さまざまな事情から再放送や配信が叶わず、“幻の名作”と呼ばれる作品があります。今回は、そんな中から"地上波放送が不可能と囁かれる名作アニメ"を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、アニメ『百獣王ゴライオン』(東京12チャンネル/現・テレビ東京) をご紹介します。スーパーロボットの王道にして、地球滅亡と奴隷支配を描いた衝撃の物語とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『百獣王ゴライオン』(東京12チャンネル/現・テレビ東京)
  • 放送期間:1981/03/04~1982/02/24

西暦1999年、第三次世界大戦が勃発し、人類は自らの手で地球を滅亡へと追い込みました。宇宙探検の任務に出ていた黄金旭(CV:井上和彦)たち5人の青年は、帰還した故郷の無残な姿を目の当たりにし、言葉を失います。そんな彼らを待ち受けていたのは、宇宙を支配するガルラ大帝国の襲撃でした。5人は捕らえられ、奴隷となってしまいます。

自由を求めた彼らは、命懸けでガルラの宇宙船を奪い、脱出。激しい追撃を受けながらも、謎の光に導かれるようにたどり着いたのは、かつてガルラ帝国に滅ぼされたアルテア星でした。そこには、亡国の姫ファーラ(CV:鵜飼るみ子)が密かに生き延びており、5人に伝説の5体のライオン型メカを託します。

その5体は、かつて宇宙を暴れ回り、女神によって五つに分かたれた守護神・ゴライオンの化身でした。黒獅子・赤獅子・青獅子・黄獅子・緑獅子が合体したとき、伝説の巨大ロボ・ゴライオンが再び蘇ります。黄金旭を中心に、黒鋼勇(CV:水島裕)、青銅強(CV:玄田哲章)、銀貴(CV:中尾隆聖)、錫石宏(CV:野沢雅子)の5人は、それぞれのライオンに乗り込み、ガルラ帝国の侵略に立ち向かっていくのでした――。

戦いは過酷を極め、序盤で仲間の銀貴が命を落とすなど、容赦のない展開が続きます。ガルラ帝国の兵器であるメカ獣人たちは、他の星々から連れてこられた奴隷を改造して造られた存在であり、戦場は凄惨を極めました。

一方、ガルラ帝国では皇太子シンクライン(CV:神谷明)が父であるダイ・バザール大帝王(CV:故・富田耕生さん)に反旗を翻し、帝国は内乱状態に…。権力と復讐に取り憑かれた親子は激しく衝突し、ついにはダイ・バザールが倒れることでガルラの支配が終焉を迎えます。

長く続いた戦いの末、ゴライオンは勝利を収め、宇宙に平和を取り戻しました。戦士たちは地球を失った悲しみを胸に、アルテア星を第二の故郷として、新たな未来へと歩み出すのでした――。

『百獣王ゴライオン』― 80年代ロボットアニメの名作

『百獣王ゴライオン』は、1981年に東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送された全52話のテレビアニメです。企画は東映テレビ事業部、制作は東京動画が担当しました。原作は『侍戦隊シンケンジャー』などで知られる八手三郎(共同ペンネーム)。構成を高久進さん、チーフディレクターを田口勝彦さん、メカニックデザインを村上克司さん、キャラクターデザインを中村一夫さんが手がけています。

声優陣も豪華で、黄金旭を井上和彦さん、黒鋼勇を水島裕さん、青銅強を玄田哲章さん、銀貴を中尾隆聖さん、錫石宏と妖婆ホネルバを野沢雅子さん、ファーラ姫を鵜飼るみ子さん、ダイ・バザール大帝王を富田耕生さん、そして皇太子シンクラインを神谷明さんが演じました。

オープニングの主題歌『斗え!ゴライオン』は、故・水木一郎さんが歌唱。作詞は故・千家和也さん、作曲は故・小林亜星さんによるもので、冒頭の「ワン!プラスワン!」という掛け声と迫力あるメロディが印象的です。

本作は、『機動戦士ガンダム』をはじめとする“リアル系ロボット”アニメが全盛だった時代に、あえて王道の“合体スーパーロボット”路線を貫いた意欲作。五体のメカライオンが合体して巨大ロボ・ゴライオンとなるギミックは、玩具にもなり、放送当時、子どもたちから絶大な人気を集めました。

「子ども向け」とは思えない過激描写

『百獣王ゴライオン』の見どころは、その過激さとドラマ性の両立にあります。

地球滅亡後の荒廃した世界を舞台に、主人公たちが“人類の生き残り”として宇宙をさまようという設定自体が異色でしたが、それ以上に衝撃的だったのは、ガルラ帝国による非人道的な行為の描写です。

捕らえた人間を煮て兵士の食事とする「奴隷鍋」、生きた人間を打ち上げる「人間花火」、捕虜を敷き詰めた「奴隷絨毯」など、今日の地上波では到底放送できないシーンが数多く含まれていました。

また、流血を伴う戦闘描写や、征服した星の女性たちを集めてハーレムを作る皇子シンクラインの設定など、子ども向けアニメとは思えないほど容赦のない世界観が描かれています。

SNSでは「地上波で放送は不可能」との声も多く、過激な描写が再放送を阻む最大の理由とされています。

『百獣王ゴライオン』の歴史を語るうえで欠かせないのが、海外版『Voltron(ボルトロン)』の存在です。

1984年、アメリカでは本作と『機甲艦隊ダイラガーXV』を再編集し、『Voltron: Defender of the Universe』として放送。日本での人気を上回る形で大ヒットし、グッズや続編シリーズが制作されました。さらにNetflixでは『Voltron: Legendary Defender』が配信され、今も新たなファンを生み出しています。

一方で、日本で再放送が行われない背景には、版権の海外移転があるといわれています。2005年前後、実写映画化をめぐって東映と権利問題が発生し、その後、版権がアメリカの2社に譲渡されました。現在もその両社が権利を保有しているため、国内での再放送や再発売は難しいようです。

実際、地上波での最終放送は1982年2月24日で、それ以降、約43年間にわたり再放送は一度も行われていません。かつて東映が運営していた有料配信サービス「東映特撮アニメアーカイブス」で全話が配信されていましたが、現在は視聴できなくなっています。

つまり、現在(2025年時点)では、正規の方法で『百獣王ゴライオン』を観ることはできず、“幻の名作”となっているのです。

それでもなお、本作を「最高傑作」と称える声は絶えません。主人公たちの成長、仲間との絆、そして戦いの果てに描かれる“喪失と再生”の物語は、多くの視聴者の心に深く刻まれています。

振り返れば、『百獣王ゴライオン』は単なるロボットアニメではなく、人間の残酷さと希望を真正面から描いた作品でした。あまりにもリアルで衝撃的な描写ゆえに、いまも“地上波放送が不可能なアニメ”として封印されていますが、これからもアニメファンの間で長く語り継がれていくことでしょう。


※記事は執筆時点の情報です