1. トップ
  2. エンタメ
  3. 【60代エンタメ】1秒も目が離せない! 妻夫木聡主演『宝島』は壮大なスケールと圧倒的熱量で「本当の沖縄の姿」を心に刻む超大作

【60代エンタメ】1秒も目が離せない! 妻夫木聡主演『宝島』は壮大なスケールと圧倒的熱量で「本当の沖縄の姿」を心に刻む超大作

  • 2025.9.18

直木賞受賞の原作小説を、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が実写化。妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、永山瑛太さんを主要キャストに迎えた映画『宝島』が9月19日より全国公開です。
 
戦後まもなく、アメリカ統治下だった沖縄が歩んできた20年を、総製作費25億円、6年の年月をかけて真正面から描いた191分の超大作。失踪したひとりの男の行方を追うサスペンスであるとともに、「本当の沖縄の姿」を伝えたいという製作陣の熱意がスクリーンからあふれ出て、1秒も見逃せません! 見どころだらけのこの作品を紹介します。

ストーリー

1952年、アメリカ統治下の沖縄。米軍基地から物資を奪い住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の三人。そして、町の英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。ある夜、彼らは大勝負となる基地襲撃を仕掛けたが米軍に見つかり、オンはメンバーとはぐれて姿を消してしまった。
 
6年後。グスクは、オンを探す手がかりになればと刑事になった。オンの恋人でもあったヤマコは米兵相手のAサインバーを切り盛りするチバナ(瀧内公美)の元で働きながら勉強し、オンと約束した教師に。レイは刑務所に入ってオンに関する情報を収集し、出所後ヤクザになった。三人は別々の人生を歩みながらも、オンを探し求めていた。
 
やがて三人は、20年間探し続けたオンが守りたかったものとは何か――失踪の謎と真実を知る。

【見どころ1】知らなかった…「本当の沖縄の姿」を目の当たりに

映画の舞台は戦後まもなく、アメリカ領土とされていた頃の沖縄。日本の本土と行き来するためにはパスポートが必要だった時代に、米軍基地から物資を奪い取って住民に配っていた“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいたこと、知らなかった人が多いのではないでしょうか。奪い取った物資は、戦争で土地や家を失い生活に困窮する人たちに分け与えられたので、“戦果アギヤー”は英雄視されていた部分がある一方、組織だって窃盗を働き利益を得る集団も出てくるようになりました。

“戦果アギヤー”のリーダーで、町の英雄だったオンが行方不明になってからの20年間は、沖縄が日本に返還されるまでの歴史と重なります。当時、沖縄の人たちはどんな思いで暮らしていたのか、生きるための苦難、マグマのようにたまる怒り、悔しさ、諦め、数々の涙が画面越しにまっすぐ伝わってきて痛いほど。

そして自分が、沖縄については観光地としての情報や、歴史の教科書やニュースで断片的に見る程度の上っ面な知識しかなく、本当の姿を何も知らなかったんだとわかって愕然とします。だからいま知らなくてはいけない、隅々まで目をこらして見なくてはいけない、心に刻まなくてはいけない、という衝動に突き動かされる作品になっています。

【見どころ2】何度も涙し魂の叫びをあげる俳優陣の熱演

この映画は、沖縄の歴史を反映させながら若者たちが成長していく姿を追う青春群像劇であり、ある男の失踪の謎を追うサスペンスでもあり、また銃や体を使ったアクションシーンも多くあります。俳優陣は感情の機微を目や表情で繊細に表現し、時に魂から絞り出すような涙や叫び声をあげ、その熱演に圧倒されるはず。主人公のグスクはじめ、4人のキャストについて少し詳しく紹介します。

グスク(妻夫木聡)

消息を絶った“戦果アギヤー”のリーダー、オンを探すために刑事となる。米軍の高官やその通訳と協力して米兵を取り締まろうとするが、日本の司法では裁ききれない米兵の事件に対して無力感に苛まれている。

ヤマコ(広瀬すず)

グスクの幼なじみで、オンの恋人。オンが戦果で建てた小学校の先生になり、最愛の人の帰りを待ち続ける。ある悲惨な事故に巻き込まれたことをきっかけに、基地反対・祖国復帰運動に力を注ぐようになる。

レイ(窪田正孝)

グスクとヤマコの幼なじみで、オンの弟。17歳のとき、戦果アギヤーとして嘉手納基地に飛び込み捕まり、凶悪犯として大人の刑務所へ送られる。出所後はヤクザとなり、刑事になったグスクと距離を置きながら独自にオンを探す。

オン(永山瑛太)

グスク、ヤマコ、レイが慕う“戦果アギヤー”のリーダーで、コザの英雄。ある夜、嘉手納基地に忍び込むが、途中でグスクたちと離れ離れになり、その後行方が分からなくなる。

【見どころ3】衝撃展開にヒリヒリするサスペンス

刑事として、ヤクザとなって、オン失踪の謎を追い続けるグスクとレイ。そして教師として自立しながら、彼の帰りを待ち続けるヤマコ。三人それぞれの思いや方法でオンを探すうち、米軍、日本政府、ヤクザ社会など様々な思惑に巻き込まれ、翻弄されます。やがてグスクは、オンが消えたあの夜を知る男から「オンは予定にない戦果を手に入れた」という情報を手に入れますが……。オンはなぜ姿を消したのか? 予定にない戦果とは? タイトル『宝島』の意味とは? 最後まで緊迫感のある展開が続きます。
 
見どころたっぷり過ぎて、3時間を超える上映時間も長いとは感じません。戦後80年となった2025年にこの映画が公開された意味をしっかり受け止めながら、圧倒的なスケールとほとばしる熱量を、ぜひ劇場で感じてください。

作品情報

『宝島』
9月19日(金)公開

出演:妻夫木 聡
広瀬すず 窪田正孝
中村 蒼 瀧内公美 / 尚玄 木幡 竜 奥野瑛太 村田秀亮 デリック・ドーバー ピエール瀧 栄莉弥
塚本晋也 / 永山瑛太
原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
監督:大友啓史
脚本:高田 亮 大友啓史 大浦光太
音楽:佐藤直紀

配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
https://www.takarajima-movie.jp/

この記事を書いた人 富田夏子

エンタメ&フード分野が得意なライター歴20年の経験を活かし、「映画ごはん研究家」として “映画とごはんをつなぐメディア”をSNS上で運営。映画と食に関連する情報や体験をシェアしている。 雑誌やWEBへの映画レビュー連載歴は13年で、俳優や映画監督のインタビューを多数手がける。料理取材の試食は残さず食べる食いしん坊。

元記事で読む
の記事をもっとみる