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「秋の走りのきれいな和食」。渡辺有子の料理教室2年目9月

  • 2025.9.17

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目9月のテーマは、「秋の走りのきれいな和食」。3つのレシピを紹介します。

菊花、干し椎茸、落花生。秋の味覚に良い香りを添えて、おいしい和食にします。

初秋ならではの前菜3種。

先生:いよいよ実りの秋。これからおいしい食材が店先にどんどん並び始めるわよ~。

生徒:初秋ならではの食材って、一体どんなものがあるのでしょう。

先生:今だったら、菊がドンピシャね。

生徒:父がおひたしにして食べていたなぁ。

先生:私もまさに、「カブと菊花のおひたし」を教えようと思っていたの。ぜひ、お父様に作って差し上げてちょうだい。

生徒:責任重大。真面目にがんばります。

先生:昆布を水に一晩浸けて、昆布水を作っておきます。ボウルかバットに昆布水と酢、塩を入れて合わせましょう。カブは皮をむいて薄切りにし、塩でなじませます。梨は皮をむいてから4等分のくし形切りに、横半分に切ってから縦5㎜幅に切りましょう。菊花は花びらを摘み、沸いたお湯の中に酢を入れる。お湯に花びらをくぐらせて取り出し、冷水にとってからひとまとめにし、両手で挟むようにして水気を絞ってほぐします。

生徒:菊の下準備、初めて見ました。

先生:一度にここまでやっておいて、残りは冷凍しておくといいの。ホウレンソウのおひたしや焼き魚に添えてね。昆布水にカブ、梨、菊花を浸して、冷やしておきましょう。

生徒:次は本日のメイン料理、「豚肉と干し椎茸の春巻き」です。

先生:まずは乾物を戻すことから始めます。干し椎茸はぬるま湯、キクラゲは熱湯に20分ほど浸しておきます。水気をしっかりきって、軸を取り除く。豚バラ肉、干し椎茸、キクラゲ、筍は細切りにしておきます。

生徒:私の中の子どもの心が「春巻き食べたい!」と叫んでいます〜。

先生:老若男女に愛されるメニューだものね。さて、フライパンに胡麻油を熱して、豚バラ肉を加えて炒めましょう。次に干し椎茸、キクラゲ、筍も加えてさらに炒めます。甜麺醤、きび砂糖、醤油、酒、塩で味を調えたら、倍量の水で溶いた片栗粉を加えてとろみをつけます。炒めた具はバットなどに広げて冷ましておきますよ。

生徒:皮に入れる量がなかなか難しくて。

先生:作った具を10分の1量ずつに分けてください。それが春巻き1つ分の具です。そんなに多くないでしょう? 先に分けておくと失敗が少ないわよ。最初に手前を、次に左右を折りたたんで、水で封を閉じます。フライパンに揚げ油を中温に熱し、色よく揚げて、油をしっかりきりましょう。

生徒:油ぎりは立てて!ですよね。

先生:直子さん、その通り。最後は「落花生とジャコのごはん」です。米をといだら、ザルにあげて水気をきります。続いて、鍋に、米、水、酒、昆布を入れて浸水させます。

生徒:水気をしっかりきることで、米が水やだしを吸ってくれるんですよね。

先生:直子さん、よく覚えてる。さあ、落花生は薄皮をむきます。フライパンにちりめんジャコを入れて弱火で炒り、香りがしてきたら醤油をまわし入れて混ぜます。米の中に塩を加えて全体をさっと混ぜてから、落花生とちりめんジャコをのせる。フタをして中火強にかけ、沸いてきたら弱火にして14分、火を止めて10分蒸らします。炊き上がったら、全体をさっくりと混ぜて、茶碗に盛り、カボスの皮を削って完成です。

生徒:私の中の大人の心が大興奮してます〜。

1.カブと菊花のおひたし

出典 andpremium.jp
冷水にとった菊の花は指先でギュッと押さえるようにして、よく水気を絞る。
昆布水にカブ、梨、菊花を浸す。下処理した菊花は冷凍保存するとよい。

〈材料〉2人分
カブ…2個
菊花…1/2パック
梨…1/2個
酢…大さじ2
塩…小さじ1(2/3+1/3)
昆布…3㎝角1枚 水…150㎖

〈作り方〉
1.昆布を分量の水に一晩浸けて、冷蔵庫で昆布水を作る。ボウルもしくはバットに昆布水と酢、塩(小さじ2/3)を入れて、合わせておく。

2.カブは皮をむいて薄切りにし、残りの塩(小さじ1/3)でなじませる。梨は皮をむいてから4等分のくし形切りにし、横半分に切ってから縦5㎜幅に切る。

3.菊花は花びらを摘み、鍋にお湯2ℓを沸かし、酢60㎖(分量外)を入れて、菊の花びらをさっとくぐらせて取り出し、冷水にとって水気をしっかり絞り、ほぐす。

4.1にカブ、梨、菊花を入れて、1時間以上冷蔵庫で浸す。

2.豚肉と干し椎茸の春巻き

出典 andpremium.jp
甜麺醤はコクのある甘味噌の醤。調味料とともによく炒めるとおいしさが増す。
春巻きの皮は先に手前を折り、続いて左右を折る。クルクル巻いて端をとめる。

〈材料〉小さめ10本分
豚バラ肉(薄切り)…150g
干し椎茸…3枚
春巻きの皮…10枚
キクラゲ(乾燥)…5g
筍…100g
甜麺醤…大さじ1
きび砂糖…小さじ1
醤油…小さじ2
酒…大さじ2
塩…小さじ1/4
胡麻油…大さじ1
片栗粉…大さじ1
揚げ油…適量

〈作り方〉
1.干し椎茸はぬるま湯で戻す。キクラゲは熱湯に20分ほど浸して戻しておく。水気をしっかりきり、それぞれ軸は取り除いておく。豚バラ肉、干し椎茸、キクラゲ、筍はそれぞれ細切りにする。

2.フライパンに胡麻油を熱し、豚バラ肉を加えてざっと炒め、干し椎茸、キクラゲ、筍も加えてさらによく炒め、甜麺醤、きび砂糖、醤油、酒、塩で味を調える。倍量の水で溶いた片栗粉を加えてとろみをつけ、炒める。バットなどに広げて冷ます。

3.春巻きの皮に2を1/10量ずつのせて巻き、水を塗ってとめる。

4.フライパンに揚げ油を中温に熱し、色よく揚げ、油をしっかりきる。

3.落花生とジャコのごはん

出典 andpremium.jp
薄皮をむいた落花生と炒った醤油味のちりめんジャコを米と共に炊き込む。
炊きたてをしゃもじでさっくり混ぜて、全体を馴染ませる。

〈材料〉作りやすい分量
煎り落花生…60g
ちりめんジャコ…25g
米…2合
醤油…小さじ1
水…360㎖
昆布…3㎝角1枚
酒…大さじ1
塩…小さじ1/2
カボス…適量

〈作り方〉
1.米をとぎ、ザルにあげて水気をきる。鍋に、米、水、酒、昆布を入れて浸水させておく。落花生は薄皮をむく。

2.フライパンにちりめんジャコを入れて弱火で炒り、香りがしてきたら醤油をまわし入れて混ぜる。

3.米の鍋に塩を加えて全体をさっと混ぜてから、落花生とちりめんジャコをのせる。フタをして中火強にかけ、沸いてきたら弱火にして14分、火を止めて10分蒸らす。

4.炊き上がったら、全体をさっくりと混ぜる。茶碗に盛り、カボスの皮を削る。

「料理に秋の彩りを添える菊をぜひ活用してほしい」と有子先生。落ち着いた色合いの料理に黄色が映える。器選びも秋らしく。
出典 andpremium.jp

渡辺有子
先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

出典 andpremium.jp

吉田直子
生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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