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防災週間に家庭ではじめる“自分の命を守る力”の育て方

  • 2025.9.2

日本は自然災害が非常に多い国の一つです。企業や学校では災害に備えた対策や教育に力を入れています。家庭でも防災を学ぶことで、不測の事態が発生した際、自分たちの安全を守ることができます。

防災週間(8月30日~9月5日)のタイミングをいかして、災害発生時にどのように行動すればよいかを家族で学び、防災対応力をアップさせましょう。

本記事では、特に育児中の人に向け、家庭で取り組める防災について紹介します。

なぜ、家庭での防災教育が大切なのか

特に幼児や小学校低学年など、小さな子どもがいる家庭は防災教育の必要性が高いといえます。

なぜなら、大人の目線ではチェックしきれない危険な箇所があったり、親が不在の際に災害が起きる可能性があったりするためです。子ども目線で防災について考えることがとても大事です。

子どもと一緒に家の中を探検しよう

子どもと家の中を歩きながら、子どもの視点で各所を確認しましょう。普段、子どもが遊んだり座ったりする場所、寝る場所の近くに、転倒や落下する危険性のある家具やものがないか確認してください。また、避難経路の妨げになるものが置かれていたら場所を移しましょう。

地震などの災害を想定し、家の中に落下物や転倒物が少ない安全なスペースを確保しておくと安心です。万が一子どもが一人で家にいるときに地震が起きても、逃げ込める場所があれば身の安全を確保でき、トラブルに遭う可能性が減ります。

災害が起きた際、どのようにして自分を守ればよいかをあらかじめ子どもと話し合っておくとよいでしょう。いざというときにすぐ行動できるよう、子どもと練習しておくこともおすすめします。

自作の防災マップをつくろう

自宅から学校までの通学路にある避難場所を確認してみましょう。子どもが一人で習い事に出かけるという家庭は、その経路にある避難場所も調べておくと、より安心です。各自治体のホームページなどで確認できます。

また、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、洪水や土砂災害、高潮、津波のリスク情報に加え、土地の特徴などを地図や写真に自由に重ねて表示させることができます。地域の災害リスク情報などを確かめるのに便利です。

こうした情報を上手に活用して、避難ルートや避難場所、災害時拠点病院などを把握し、子どもと一緒に白地図に書きこんで、自分の防災マップづくりを進めましょう。

マップが完成したら実際に歩き、安全に避難できるルートかどうかを確認しましょう。

連絡手段を決めておきましょう

災害はいつ起きるかわかりません。保護者が職場などの出先で被災し、子どもとすぐに会えない可能性も、想定されます。そうした事態に備え、あらかじめ連絡手段を決めておきましょう。

子どものリュックやかばんには、保護者や親類などの緊急連絡先、家族と会う場所、どの道を通って帰るかを書いたメモ、防犯ブザーを入れておくと良いでしょう。

そのほか、公衆電話用の10円玉(100円分ほど)も用意しましょう。大規模災害時に通信制限をうける固定電話や携帯電話と比べて、制限を受けない公衆電話はつながりやすいという利点があります。生活圏内にある公衆電話の場所を確認し、使い方を練習をしておくとよいでしょう。

また、大規模災害発生時には災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171)などの通信サービスも利用可能です。毎月1日・15日など、定期的に体験利用期間が設けられていますので、試してみてください。子どもがSNSを使える場合は、SNSを通じた連絡方法も決めておきましょう。

避難用リュックをつくろう

避難時には、両手がふさがらず、効率よく物を入れられるリュックが便利です。子どもと一緒に「避難用リュック」をつくりましょう。何を入れたらいいか話し合うことで、防災への興味が高まります。

グッズは重量オーバーにならないよう意識しながら、リュックに詰めます。グッズは必ず1度は使ってみましょう。いざという時、戸惑うことなく使用できます。

子ども用の避難リュックに入れた方が良い防災グッズの例

■非常食
└大人も避難時に非常食をもっていくため、子ども用の避難用リュックには1日分の食料があると良いでしょう。避難時はなるべくエネルギー補給を優先し、子どもが食べられるものを選んでください。また、ストレスを和らげるために普段から食べているおやつを入れることも検討してください。

■飲料水
└500mlのペットボトル2本(1日相当分)は入れておきたいところです。リュックが重くなる場合は水を入れることを優先し、重さを調整しましょう。5~10年ほど保存可能な「保存水」も売られていますので活用してもよいでしょう。

■ホイッスル
└迷子防止など所在を知らせる際や防犯に役立ちます(別途、防犯ブザーを持つことも検討してください)。

■ライト
└首から下げるネックライトなどを検討しましょう。停電など周囲が暗い時に、子どもの所在を確認する意味でも役立ちます。

■マスク
└建物の倒壊など、粉塵が飛んでいる場合を想定し、衛生面を考慮して用意しましょう。サイズは子どもに合ったものを選んでください。

■歯磨きシート
└虫歯を防ぐために入れておくことをおすすめします。

■軍手(手袋)
└周囲にガラス片など危険物がある場合も考えられます。不意に転んでケガをしないよう、手の保護のために軍手もしくは手袋を用意しましょう。

■レインコート
└雨にあたって体温を奪われないよう雨具を入れておくと安心です。防寒対策にもなります。

■着替え
└季節に合わせてリュックの中身を入れ替えてください。また、冬場は非常用の防寒シートがあると良いでしょう。

■簡易トイレ
└子どもがまだ一人で簡易トイレを使えない場合は、おむつなどを入れておきましょう

■薬
└常用している薬がある場合は、すぐにリュックに入れられるようにしておきましょう。

■おもちゃ
└ストレスや不安の軽減に役立ちます。一つでも入れておくことをおすすめします。

<こちらの記事もよく読まれています!>→停電や地震が起きたらどうする? トイレの防災を子どもと実践!

親子で覚えたい“防災アクション”

幼稚園や保育園、小学校などの防災訓練では「お・は・し・も・ち」という覚えやすい言葉で、避難時に慎重に行動する大事さを伝えています。家庭でもおさらいしてみるといいかもしれません。

【お】押さない(転倒および転倒による二次的な被害を防ぐ)
【は】走らない(避難中のケガを防止)
【し】しゃべらない(周囲の指示を聞くために耳をすます)
【も】戻らない(忘れ物などをとりにもどらない)
【ち】近づかない(炎や煙から遠ざかるようにする)

ぼうさいDUCK

子どもが楽しみながら防災・防犯時のポーズやアクションを学べるようツールはほかにもあります。一般社団法人「日本損害保険協会」はカードゲーム「ぼうさいDUCK」を展開しています。ここでは、防災に役立つアクションを抜粋してご紹介します。

地震の時は【ダック】両手に頭を乗せながらかがむ
津波の時は【チータ】両手を早く振りできるだけ高いところまで走る
火事の時は【タヌキ】両手を口にあてる/煙を吸わないようにハンカチを口にあてる
台風の時は【ウサギ】両耳に手をあてる/情報を聞く
洪水の時は【カエル】足を曲げて靴を履く/歩けるように準備
雷の時は【カメ】体を丸めて低くかがむ/かがみつつ建物の中に逃げる

デジタルを活用した防災学習にも取り組みましょう

公的機関などでは、ホームページ上で防災を楽しく学べるコンテンツを数多く公開しています。特に動画コンテンツは、災害の怖さとともに、具体的な避難の方法などを子どもたちが学習しやすいように工夫されています。ぜひ、有効活用しましょう。

公的機関の防災学習コンテンツ有効活用

東京消防庁では「いっしょに学ぼう!ふむふむ防災TV」「キュータと一緒に学ぼう!防災クイズ」など各種コンテンツが充実。幼児向けのデジタル紙芝居もあります。

「おうちで防災を学ぼう!リモート防災学習」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/remote_bousai/index.html

首都直下地震を想定した「ビーバー その時、いのちを守るために B-VR」では、VR映像により地震を疑似体験できます。学校編、通学路編、自宅編といった各シーンを通じて学び、防災意識を高められます。

「ビーバー その時、いのちを守るために B-VR」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/remote_bousai/b-vr.html

また、国土交通省の「防災学習ポータルサイト」や文部科学省 地震調査研究推進本部の「地震キッズ探検隊」もおすすめです。地震や台風、洪水、火山など、様々な災害の仕組みや備え方、避難の仕方をわかりやすく教えてくれます。

「防災学習ポータルサイト」
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/education/

「地震キッズ探検隊」
https://www.kids.jishin.go.jp/

防災教育は「命を守る学び」です。防災を学ぶことは、家族の絆を深める良い機会にもなります。コミュニケーションをとりながら災害時に「自分で身を守る」ことの大事さを伝え、助け合う心を育んでいきましょう。

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〈執筆者プロフィル〉
波戸つばさ
ライター
東北で生まれ育つ。3.11の震災を経て、防災はより身近な存在となりました。防災の大切さを自分なりに伝えられたらと思います。

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