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感震ブレーカーの役割と種類! 普及の動向や支援策は?

  • 2025.8.15

地震後の火災を防ぐ効果があるとされる「感震ブレーカー」の設置が、国をあげて進められています。この記事では、感震ブレーカーの設置が推進される背景や感震ブレーカーの種類と費用の目安、補助金などの情報をまとめました。

地震後火災のリスク

阪神淡路大震災や東日本大震災、能登半島地震などの大きな地震災害では、共通して地震後に火災が発生し被害が拡大しています。

地震後に火災が発生する原因は様々ですが、東日本大震災では、原因が分かっている火災の半数以上が電気による火災でした。

住宅では、次のような原因で火災が発生しています。
・ 電気ストーブの上に、衣類などの可燃物が落下して着火
・ 観賞魚用の水槽が壊れて、ヒーターと可燃物が接触して着火
・ 水槽の水がコンセントにかかり、ショートして出火
・ 電気配線や、家電のコードが損傷して漏電により出火
・ 落下物がストーブや電気コンロのスイッチを押して点火、その後周囲の可燃物に着火

通電火災とは?

電気による火災は、地震後すぐに発生するとは限りません。大地震が起こると、変電所や送電線などの電気設備も被災し、停電が発生することがあります。

電気が復旧し、通電した際に、倒れたストーブや断線したコードなどから出火することを通電火災といいます。通電火災の発生時に住人が避難していて不在の場合もあり、初期消火ができず延焼する恐れがあります。

地震後の電気火災を防ぐには、避難する前に家のブレーカーを落とすことが大切です。しかし実際に地震が発生したときには、身を守るのに精一杯でブレーカーを落とす余裕がないかもしれません。家を留守にしている場合もあるでしょう。

そこで設置が推進されているのが、揺れを感知して自動的に電気を遮断する感震ブレーカーです。

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感震ブレーカー義務化・普及の最新動向

国と地方自治体は、南海トラフ地震や首都直下地震などの「いつ起こってもおかしくない」と想定されている大地震で火災の被害を抑えるために、感震ブレーカーの普及を推進しています。

密集市街地を火災から守る

国土交通省は、地震発生時に延焼する危険性や避難が困難になる恐れなどが高く、最低限の安全性が確保されていないと考えられる「地震時等に著しく危険な密集市街地」が、全国17都府県197地区に計5,745haあることを2012年に公表し、改善に向けて乗り出しました。

地方自治体が対象地域の道路の整備や建物の不燃化、感震ブレーカーの設置推進などの整備を進めることを、「防災・安全交付金」などを通じて支援しています。

設置・購入の補助金拡大

感震ブレーカーの設置は「地震時等に著しく危険な密集市街地」では勧告事項となっていて、その他の地域でも推奨事項となっています。

総務省消防庁が実施した2024年度(令和6年度)の調査によると、10の都道府県と200の市区町村が感震ブレーカーの設置・購入費用を支援しており、今後さらに拡大していく見通しです。

支援の内容は自治体によって異なり、木造住宅密集地域、あるいは高齢者が住む世帯など、地域や申請者が制限されている場合もあります。

また、補助の対象となる感震ブレーカーのタイプや上限金額も様々です(総務省消防庁のホームページでは、昨年度の支援制度一覧を確認可能です)。

感震ブレーカーの設置を検討している人は、お住まいの自治体のサイトなどで最新内容を確認しておきましょう。

条例で「県民の責務」とする自治体も

感震ブレーカーの設置は義務化も議論されていますが、現在のところ義務化には至っておりません。

ただし、福島県や千葉県のように、防災基本条例で「県民は、地震が発生した場合に電流を自動的に遮断する装置(感震ブレーカー)の設置に努めること」と定めている自治体もあります。

また、鳥取県では能登半島地震を受けて「防災及び危機管理に関する基本条例」を2024年6月に改正し、「地震に対する安全性の向上を目的として行うブレーカー等の機器の修繕(感震ブレーカーの導入)を推進するように努める」ことを、県民の責務(役割)としました。

今後、木造建築は増加の見通し

2025年4月から「改正建築基準法」が施行され、地球温暖化防止の観点から今後、大規模建築での木材利用が推進されていく見通しです。

防火の観点から、感震ブレーカーは今後ますます欠かせないものとなっていくでしょう。

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感震ブレーカーとは?仕組みとメリット

感震ブレーカーはいくつかの種類があり、電気工事が必要なタイプと、工事が不要なタイプがあります。設置・購入費用は数千円から十万円以上など、様々です。

※各項目の【費用の目安】はあくまで参考値です。購入を検討する際は、事前にご自身でご確認ください。

コンセントタイプ(ピンポイント)

コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、そのコンセントから先への電力供給を遮断。従来のコンセントに差し込むだけで使用できる簡易プラグ型もあります。電気ストーブ、電気コンロ、ヒーターを使用する水槽など、電気火災の原因になりやすい製品にピンポイントで対策可能です。

【費用の目安】約5,000円~2万円 ※電気工事の有無は製品によって異なります。

コンセントタイプ(一括遮断)

コンセントに差し込んで使うタイプで、ピンポイントではなく、家中の電気を一括で遮断できる機種もあります。

【費用の目安】約1~2万円 ※電気工事は不要です。アース付きのコンセントに設置することが条件となっている機種もあります。

分電盤タイプ(内蔵型)

分電盤に内蔵されたセンサーが、揺れを感知し家全体の電気を一括で遮断します。

【費用の目安】約5~8万円 ※電気工事が必要です。

分電盤タイプ(後付型)

分電盤に感震装置を後付けし、地震の揺れを感知して分電盤本体の漏電機能を作動させ、電気の供給をストップします。

【費用の目安】約2万円 ※電気工事が必要です。

分電盤に漏電ブレーカーが搭載されていることが設置の条件となります。

簡易タイプ

ブレーカーにおもりを繋いでおき、揺れの際におもりが落ちることでブレーカーも落ちる仕組みです。バネを利用したタイプもあります。

【費用の目安】約3,000~4,000円 ※電気工事は不要です。

電気が即時遮断されます。

スマートブレーカー/通信連動型

IoT機能を搭載し、アプリや専用サイトを通じて家中の電気の使用状況を把握、遠隔操作ができるスマートブレーカーも登場しています。

感震ブレーカーや避雷器などの安全機能を搭載、またはオプションで設置できるタイプなどがあります。

【費用の目安】約12~25万円 ※電気工事が必要です。

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感震ブレーカーの選び方

どの種類の感震ブレーカーを選べばよいか迷ったら、まず持ち家か賃貸かで絞りこみましょう。賃貸住宅にお住まいの場合、電気工事が必要なタイプは設置が難しくなります。

また、家族構成もポイントです。家族と暮らしている場合には、部屋数や電気製品の数が増えるため、家中の電気を一括で遮断するタイプを設置したほうがよいでしょう。

「家族に高齢者や障がい者がいる」場合は、災害時の避難に時間がかかる恐れがあります。高齢者や障がい者がいる家庭を補助金の対象としている自治体もあるので、確認してみましょう。

「電気ストーブや電気コンロ、観賞魚の水槽」は、電気火災が発生するリスクの高い製品です。比較的安価で、電気工事のいらないコンセントタイプも含め、該当する製品に感震ブレーカーを設置することをおすすめします。

加えて、地震・火災のリスクも確認してください。今住んでいる地域は、危険な住宅密集地域に該当しますか?家は木造でしょうか、マンションなどの鉄筋でしょうか。

「住宅密集地域」や「古い木造住宅」に該当する場合は、電気火災のリスクが高く、補助金が利用できる可能性があります。

もし、持ち家にお住まいの場合は、分電盤型の設置を検討してみましょう。賃貸の場合は、電気工事のいらないコンセントタイプ(簡易プラグ)や、おもりで作動する簡易タイプを選びましょう。

設置コストと補助制度

感震ブレーカーの設置費用は、分電盤タイプ(内蔵型)が約5~8万円、分電盤タイプ(後付型)が約2万円、コンセント型は約5,000~2万円が目安です。分電盤タイプは比較的高額ですが、補助金を利用することで負担を軽減できる場合もあります。

ここでは、総務省消防庁が2024年10月に実施したサンプル調査から、市区町村が実施している支援の具体的な内容を紹介します。

【群馬県館林市】
対象地域:全戸
感震ブレーカー種別:全タイプ
支援内容:購入費支援・工事費支援2分の1(分電盤タイプ30,000円、コンセントタイプ7,000円、簡易タイプ3,000円)

【埼玉県和光市】
対象地域:65歳以上のみ、要介護者、障がい者など
感震ブレーカー種別:簡易タイプ
支援内容:器具の配布

【千葉県市川市】
対象地域:全戸
感震ブレーカー種別:分電盤タイプ(内蔵型・後付型)
支援内容:工事費支援3分の1(上限100,000円)

【神奈川県平塚市】
対象地域:全戸
感震ブレーカー種別:簡易タイプ
支援内容:器具の配布(自己負担500円)

【大阪府松原市】
対象地域:全戸
感震ブレーカー種別:分電盤タイプ(内蔵型・後付型)
支援内容:購入費支援・工事費支援4分の3(上限45,000円)

上記は一例です。他にも多くの市区町村が感震ブレーカーの設置・購入費用を支援しているので、自治体のサイトなどで確認してみてください。

停電後の復電手順と注意点

電気火災を防ぐために、大地震が起こったら感震ブレーカーが作動してもしなくても、避難する前にブレーカーを落としましょう。

また、復電するときは、次のような点を確認してください。

・ 電気ストーブや電気コンロのスイッチはオフになっていますか?周囲に落下物はありませんか。
・ 電気ストーブが倒れて、灯油が漏れだしていませんか。
・ 水槽の水がこぼれて、コンセントなどが濡れていませんか。
・ 電気のコードが断線していたり、切れかかったりしていませんか。

上記を含め安全を確認してから、ブレーカーを戻しましょう。

設置前に準備したい防災グッズと注意点

地震発生時の火災を予防するには、耐震化、家具の固定、火災警報器の点検、消火器の準備なども有効です。

家具の固定

地震で倒れてくる危険のある家具を、L字金具などで壁に固定しましょう。壁を傷つけないポールタイプの器具もあります。

火災警報器の点検

火災警報器の設置は、全ての住宅において義務となっています。設置後も故障や電池切れを起こしていないか、定期的に点検が必要です。

消火器の準備

火元となる恐れの高いキッチンなどに、住宅用の消火器を設置しておきましょう。

耐震化

1981年(昭和56年)よりも以前に建てられた家は、耐震性が不十分な「旧耐震基準」で建てられています。耐震診断と耐震改修を検討してください。国と自治体が費用の支援を行っています。

感震ブレーカーの設置と合わせて、家の安全点検を行ってみてください。

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なお、夜間に地震が発生し家中の電気が遮断されると、手元や足元が見えず避難が難しくなる危険もあります。懐中電灯やランタンを身近に用意しておきましょう。

また、人工呼吸器など生命の維持に関わる医療機器を使用している人は、停電などに備え、普段から補助電源を用意しておくなど対策が必要です。

感震ブレーカーは、安全のために揺れを感知してから電気を遮断するまで3分程度の猶予時間を設けている機種が増えています。タイマーで1~5分程度の設定ができる機種もあります。感震ブレーカーを設置する際は、電気が遮断されるまでに必要な猶予時間についても検討してみてください。

<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター・防災士
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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