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工夫して10秒で計算してみて!「8^7÷8^5」→暗算できる?

  • 2025.12.17
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今回は、累乗どうしの割り算をするときに便利な「指数法則」に関する問題にチャレンジしてみましょう。指数法則を知っていると、一見面倒な累乗の計算が、とても簡単にできるかもしれませんよ。

さて、今回の問題、あなたは何秒で計算できるでしょうか?

問題

次の計算を暗算でしなさい。
8^7÷8^5

※制限時間は10秒です。

解答

正解は、「64」です。

累乗の意味や計算方法が分かっていても、こんな短い制限時間では暗算しづらいと感じたかもしれません。

そんな人は、次の「ポイント」で紹介する指数法則を使ってみましょう。計算がびっくりするほど早く終わりますよ。

ポイント

この問題のポイントは、「指数どうしを引き算すること(指数法則を使うこと)」です。

まずは、累乗と指数について軽く振り返っておきましょう。

累乗とは、同じ数を何個か掛け合わせる計算のことです。累乗で、何個掛け合わせるかを表すのが「指数」です。

指数は、本来掛け合わせる数の右上に小さく書きます。ただし、上付き文字が使えないテキストでは、^を使って指数を表すことがあります。この記事でも、指数を表すのに^を使っています。

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累乗は、同じ数どうしの掛け算の省略形とも言えます。よって、次のように累乗は掛け算に直して計算できます。

例:
2^3
=2×2×2
=8

ただし、累乗と掛け算は全く同じとは言い切れないところがあります。計算順序のルールにおいては、累乗は普通の掛け算よりも優先順位が高いのです。

<計算順序のルール>
次の順序で計算します。
1.括弧の中※()や{}などの種類があります。
2.累乗
3.掛け算・割り算
4.足し算・引き算

※同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算します。

ただの掛け算であれば、優先順位は割り算と同じです。しかし、累乗は割り算よりも優先されるため、今回の問題ではまず8^7と8^5から計算をする必要があります。割り算は一番最後にします。

8^7÷8^5

ところが、ここで困ったことが起きます。8^7は8を7個掛け合わせ、8^5は8を5個掛け合わせる計算です。もし、この二つを掛け算に直して計算しようとすると、電卓なしで10秒以内に答えを出すのは非常に難しいですよね。

そこで、注目したいのが8^7も8^5も「8を掛け合わせるタイプの累乗」である点です。

実は、指数には次のような法則があります。

a≠0で、mとnが整数のとき
a^m÷a^n=a^(m−n)

つまり、この形の割り算であれば、指数どうしを引き算して割り算ができるのです。

(割られる数の指数)−(割る数の指数)になっている点に注意しつつ、この法則を使って今回の問題を計算してみましょう。

8^7÷8^5
=8^(7−5)←指数どうしを引き算する
=8^2
=8×8
=64

これなら簡単に答えが出せますね。

a^m÷a^n=a^(m−n)が成り立つ理由

ここで紹介した「a^m÷a^n=a^(m−n)」という式は、「指数法則」の中の一つです。

この法則が成り立つ理由は、割り算を分数に直すと分かります。

a÷bという割り算は、a/bの形に直せるので、8^7÷8^5であれば、8^7/8^5に変形できます。ここで、分子と分母を約分すると、次のようになります。

8^7/8^5
=(8×8×8×8×8×8×8)/(8×8×8×8×8)
=(8×8)/1←分子と分母を8で割って約分していくと、分子の8×8だけが残る※下図参照
=8^2
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指数がmとnであった場合も、同じように約分ができるので、「a^m÷a^n=a^(m−n)」が成り立つ、というわけです。

まとめ

今回の問題では、累乗どうしの割り算を指数の引き算に変形して計算しました。

指数法則の一つ、「a^m÷a^n=a^(m−n)」は累乗の計算を楽にするとても役に立つ式です。

ただし「a^m÷b^n」のような形をしていると、この指数法則は使えません(累乗の掛け合わせる数がaとbで異なる)。どうしてかは、指数法則が成り立つ理由を覚えておけば、理解できるでしょう。

累乗の計算を楽にしたい人は、他の指数法則についてもぜひ調べてみてくださいね。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。



文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。


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