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「ゴミ12.5袋、利用者9490人」スラムダンク聖地の"観光公害"を受け…10月1日から鎌倉市がとった対応に反響

  • 2025.10.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

多くのアニメに登場し、ファンから人気を博している神奈川県鎌倉市の「江ノ電・鎌倉高校前駅」付近。一方で、近年は観光客によるオーバーツーリズムの問題が深刻化し、地元住民の悩みの種になっているとの報道が増えています。

そのような状況の中で、ついに鎌倉市が秩序維持に向けた本格的な対応を始めることを発表しました。SNSでは好意的な声が寄せられているものの、鎌倉市の対応の遅さを批判しているコメントも。

はたして、鎌倉市が発表した鎌倉高校前駅の秩序維持に向けた本格的な対応とはどのようなものなのでしょうか?

鎌倉市、鎌倉高校前駅の秩序維持に向け本格的な対応を開始

鎌倉市は9月26日、公式ホームページに「鎌倉高校前駅の秩序維持に向けた市の対応」を公開。今年9月13日〜16日に実施した「鎌倉高校前駅周辺における秩序維持のための実証実験」の結果を受けて、10月1日から警備会社による誘導体制を行うことを発表しました。

実施概要は「観光客の誘導体制を強化し、周辺の人流を整序化します」というもの。日時は2025年10月1日から2026年3月31日、10時から18時まで」で、場所は「江ノ島電鉄鎌倉高校前駅周辺」とされています。周辺の人流整序化のため、観光客を隣接する腰越ラッコ公園に誘導したり、歩道等に立ち止まらないよう誘導したりするとのこと。なお、誘導員は新たに3〜5名を追加配置し、5~7名体制にするとしています。

開始日である10月1日、鎌倉市長の松尾崇氏は自身の公式X(旧Twitter)を更新。鎌倉高校前駅周辺の秩序維持に向けた本格的な対応を始めたことを報告し、今後について「オーバーツーリズムに起因する、地元住民の皆様の不安などを解消できるよう、引き続き取り組んで参ります」と宣言。今後の動向に注目が寄せられています。

長年地元民を悩ませていたオーバーツーリズム

鎌倉高校前駅周辺は、TVアニメ版『SLAM DUNK』のOP映像に登場し、国内外のファンから作品の舞台として親しまれてきました。また、今年放送され人気を博したTVアニメ版『薫る花は凛と咲く』にも鎌倉高校前駅周辺と思しき風景が登場するなど、数多くのアニメ作品で描かれています。

実際、いわゆる“聖地巡礼”のため現地に訪れる観光客が外国人観光客を中心に増えているのだそう。しかし、マナーを守らない観光客によるオーバーツーリズムがたびたび問題視されていました。

例えば、観光客によるゴミのポイ捨てや不法駐車、線路への侵入や信号無視による周辺道路の混雑が生じているなどの報道がされ、SNSでも地元の方からの苦悩の声が投稿されるほどでした。

  • 踏切前で写真を撮る人など、危険行為をする外国人が目立つ。
  • 外国人観光客の聖地巡礼のマナーの悪さはどうにかしてほしい。

観光客が「聖地」を訪れる背景には、日本のアニメ文化の影響があることは明白ですが、だからこそ訪れる側にも相応のマナーが求められる場面が増えているといえます。

9月に実証実験が行われた

今回の取り組みに先駆けて、鎌倉市は9月13日〜16日まで「鎌倉高校前駅周辺における秩序維持のための実証実験」を実施しました。現地のオーバーツーリズムが深刻化し続けている中で、「まずは秩序維持に向けた市職員による実証実験を緊急で実施」したそうです。なお、期間中は各日、市職員12名(最大20名程度)が配置されたとあります。

実証実験の内容は、下記の通りです。

・鎌倉高校前駅から最寄りの腰越ラッコ公園に撮影エリアを設置し、撮影目的の観光客を誘導し、道路上での撮影を防止。
・鎌倉高校前駅周辺への駐停車防止を呼びかけ。
・腰越ラッコ公園に、ごみステーションを設置。
・近隣の私有地への立ち入り禁止を呼びかけ。
・パークアンドライドの利用促進及び実証実験の実施を、市ホームページ、SNSにより発信。
鎌倉高校前駅周辺における秩序維持のための実証実験(鎌倉市)

「実証実験結果(速報)」によると、期間中に撮影エリアを利用したのは9,490人。45リットル袋(※70~80%の量で袋とじ。ペットボトルは、1袋当たり30本程度)で、合計12.5袋(約12.5kg)のゴミを回収したそうです。

対策へのSNSの反応は?

ついに鎌倉高校前駅周辺を悩ませ続けてきた問題を解決するための取り組みが始まり、地元住民からは称賛のコメントや期待の声が寄せられていました。

  • もっと早く実施できた気もするけれど、今回の対応はひとまず成功だ。
  • ついに本格的な対応が始まったのですね!
  • 仕事の都合で通りましたが、誘導員が増えて安心感がありました。

一方で、鎌倉市の対応はもう少し早くできたのではと批判する内容のコメントや、内容が不十分であると指摘する声もみられました。

  • 地元住民です。対応が遅すぎる。
  • 公衆トイレは設置するべきでしょう。

そのため、より厳しい対応を行うべきであると主張している方も。

  • 厳しい規制を求めます。
  • 市民は本当にうんざりしています。
  • 徹底的に取り締まってほしい。

聖地巡礼の際はルールやマナーを遵守しよう

沼津を舞台にした人気アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場するスクールアイドルグループ「Aqours」は、沼津の魅力のPR大使である燦々ぬまづ大使を第25期から現在まで継続して務めています。結成10周年を迎えたことを記念し、今年はJR東海とのコラボレーションキャンペーンも実施されました。

また、『ハイキュー!!』や『BLUE GIANT』などさまざまな作品にゆかりのある宮城県は、2024年に「仙台・宮城 アニメ・漫画ゆかりの地 探訪マップ」を作成。「仙台・宮城は数多くのアニメや漫画作品で物語の舞台として描かれ、また名作を手掛ける漫画家も多く輩出しています。それらのコンテンツを活かし、国内外のアニメファンによる県内の関連スポットの回遊性を高め、観光誘客促進に繋げてまいります」と説明しています。

このように、アニメやマンガの舞台であること活かし、観光促進に成功している例は少なくありません。しかし、そのためには作品のファンがルールやマナーを守ることが必要不可欠でしょう。愛する作品の評価を貶めないためにも、地元民に迷惑をかけないよう注意することが求められています。


参考:
鎌倉高校前駅の秩序維持に向けた市の対応(鎌倉市)
鎌倉高校前駅周辺における秩序維持のための実証実験(鎌倉市)
鎌倉市長 松尾崇(@takashi_matsuo
「ラブライブ!サンシャイン!!」のロケ地を巡ろう!(沼津観光ポータル)
沼津ゲキ推しキャンペーン2025!(JR東海)
宮城県内のアニメ・漫画ゆかりの地を紹介したマップを作成しました(宮城県)


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