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小さな命を守るために。ウサギ・フェレット・ハムスターの防災対策【獣医師解説】

  • 2025.8.6

地震や風水害などの大規模災害を背景に、防災意識は高まりを見せているのではないでしょうか。

大切な家族の一員であるペットを守るためにも、防災知識を学ぶ必要があります。ペットの防災情報は多くが犬や猫を飼育している人に向けられていますが、「エキゾチックアニマル」と呼ばれる小動物を飼っている人も少なくありません。小さな命を守るための情報も学びたいものです。

そこで、本記事は小動物のペットを代表するウサギ・フェレット・ハムスターの防災対策について、獣医師が解説します。それぞれの動物特有の性質や、避難所での受け入れ方法、いざというときのために用意しておきたいグッズなどについて、学びましょう。

小動物を守るための防災の基本

環境省は、ペットの災害対策としてガイドラインを策定しています。その対象となっている主な動物種は犬・猫で、小動物については各自治体や避難所の事情により対応が異なる場合があるため、あらかじめお住まいの市区町村の情報を確認しておきましょう。

環境の変化に伴う不調に注意を

ペットとして飼育されるウサギ・フェレット・ハムスターは、主な生活環境が屋内で、屋外での生活や他動物と積極的にかかわる機会が多くありません。そのため、避難の際に環境変化に伴う不調をきたすことがあります。

そのため、環境ストレスのかかりやすい災害時にいかに彼ら小動物のコンディションを維持するかが大きな課題となります。

避難先は複数想定しよう

ペットは、同行避難(避難所まで一緒に避難すること)はできても、同伴避難(避難所で一緒に避難生活を送る)が原則認められていないことにも注意が必要です。

災害の発生に備え、事前にペットの同伴避難が困難な場合の一時避難場所(動物病院や知人宅など)を複数想定しておくとよいかもしれません。

避難所に同行避難できたとしても、ペットを留め置く場所が屋外であったり、犬や猫と隣り合わせになったりする場合も考えられます。

また、避難所には小動物に特化した物資が届きにくいという点も前提に、必要なグッズや食品を準備しておきましょう。

ここからは、ウサギ・フェレット・ハムスターの防災対策について、それぞれ解説します。

ウサギ

ウサギは周囲の音や環境の変化に極めて敏感で、ストレスに弱い傾向があります。また、暑さにも弱く、室温が25℃を超えると熱中症の危険が生じます。

災害時は騒音や振動でパニックを起こし、特に消化管の動きに影響を与えることがあります。また、環境の変化により食欲が低下する場合もあります。

避難を見据えて日頃からキャリーに慣れさせておき、体調の変化を見逃さないようにしましょう。

《ウサギを飼う際に備えておきたい防災グッズ》
・ 通気性が良く丈夫なキャリー
・ 食べ慣れたフード、牧草(3~7日分)
・ 給水ボトルと水、トイレシートや新聞紙
・ 簡易ケージや折りたたみサークル
・ 夏は保冷剤、冬は防寒用毛布やタオル
・ 健康手帳、個体情報が記載されたもの、薬

フェレット

フェレットは好奇心旺盛で活発な一方、体温調節が苦手で暑さに弱い動物です。

普段と異なる環境では、パニックになり噛み癖が強くなることもありますので注意が必要です。また、狭い場所に潜り込む習性があるため、避難所で脱走や迷子となる危険性があります。

そのため、キャリーやサークルなどでの生活に慣らしておき、体調や排泄の変化をチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

《フェレットを飼う際に備えておきたい防災グッズ》
・ 頑丈な小動物用キャリー
・ フード、水や給水ボトル
・ ハンモックや布(安心できるにおいのついたもの)
・ トイレシートやトイレ用の砂
・ 健康手帳、予防接種証明書、写真など個体情報が記載されたもの
・ 冷感マットや保冷剤(夏季)

ハムスター

ハムスターは夜行性かつ単独行動を好み、神経性で臆病な一面があります。わずかな環境の変化や騒音でもストレスを感じやすいため、避難の際には脱走防止に注意を払いましょう。

ハムスターの場合、物音や振動に慣らす訓練は難しいため、災害時にはなるべく静かで落ち着いた環境を用意することが重要です。

また、体が小さく体温の維持が環境に左右されやすいため、体温管理にご注意を。特に寒暖の差がある時期には注意が必要です。

《ハムスターを飼う際に備えておきたい防災グッズ》
・小型キャリー(脱走しないもの)
・巣材や回し車など、いつもと同じ環境を再現する道具
・フード、水
・温湿度計、防寒グッズ、保冷剤
・健康手帳や写真など、個体の情報が記載されたもの

まとめ

動物の防災を考えるうえで重要となるのは、まずはご自身の安全を確保することです。そして普段と異なる環境に置かれる動物に対し、できるだけストレスを与えないように配慮することが望ましいと考えます。

とりわけ小動物は体が小さく、環境の変化に敏感であることから、犬や猫とは違った注意点があります。

また、犬や猫と比べて飼育頭数が少ないことから、避難時にはその動物ならではの物資が行き届かない可能性があることを想定しておかなければなりません。いざというときのために最低限必要なものを平時から準備しておくことが大切です。

ペットの同行避難を受け入れていない避難所もあります。日頃から防災訓練に参加をして、ペットの受け入れを予定している避難所の場所などを把握しておきましょう。

また、受け入れてもらえても一緒に避難所で生活することはできません。ケースの置き場が屋外に限られたり、犬や猫のすぐそばだったりするケースも考えられます。

可能であれば、小動物のストレス軽減のためにも自家用車の中での飼育や在宅避難も選択肢として考えましょう。

防災の観点から、災害に遭った際の避難方法や、ペットが負傷した場合に受け入れ可能な動物病院についても調べておくと安心でしょう。

小さな命の安全を守るのは、飼い主さんの役目です。この記事が、小動物の防災について考えるきっかけとなれば幸いです。

〈執筆者プロフィル〉
増田国充
ますだ動物クリニック 院長
獣医師・国際中医師・愛玩動物看護士・防災士

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