「食物繊維をとればいい」は間違いだった…タイプ別の“便秘改善法”とは？【医師の解説】

2025.8.27

お腹の張りや不快感に悩まされていませんか？便秘は単なる不調と思われがちですが、毎日の生活の質を大きく下げる厄介な問題です。そんなツラい便秘とお腹のハリを、スッキリ解消できるとしたら…？
今回は、身体に関するさまざまな悩みを医師の目線で解説する、池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニックの動画をご紹介。動画では、院長の柏木先生が教える『便秘のツラいお腹のハリを解消する方法』を紹介します。

便秘とは？医学的な定義と原因について

便秘とは、排便の回数や便の状態に問題があり、十分に排便できない状態が続くことを指します。一般的には以下のような状態が便秘の目安とされています。

排便回数が週に3回未満である
3日以上便が出ない状態が続いている
排便しても残便感が強く残る

こうした症状が慢性的に続くと、医学的には「慢性便秘症」と診断される場合があります。

便秘の改善に使われる薬と水分補給の重要性

便秘の症状が続く場合、市販薬で対応できるケースもあります。主に使われる薬は以下の2種類です。

刺激性下剤
腸の動きを促して排便を促す薬。便秘による腹痛を伴うときや、一時的に便秘になった場合に効果的です。ただし、毎日の使用には向きません。
酸化マグネシウム（非刺激性下剤）
便に水分を含ませて柔らかくし、自然な排便を助ける薬。習慣的な便秘で困っている人に適しており、毎日服用しても比較的安全に使えるのが特徴。

水分補給と便秘の関係

便秘の大きな原因のひとつに「水分不足」があります。特に冬は水分摂取が少なくなりがちで便秘になりやすい傾向があります。一方で夏も汗を多くかくことで体内の水分が不足し、脱水から便秘につながることがあります。

そのため、季節を問わず水分補給は重要です。特に以下の点に注意しましょう。

汗をかいた分はしっかり水分を補給する
脱水が疑われる場合やスポーツ時には、経口補水液（例：OS-1）やスポーツドリンクが有効
麦茶はミネラル補給にも役立つ。ただし、冷たい飲み物は腸を冷やしてしまうため、飲みすぎには注意が必要
夏場に冷たいビールやお酒を飲む機会も増えますが、アルコールは利尿作用が強く、かえって体内の水分を失わせてしまいます。したがって、アルコールは水分補給には適していません。お酒を楽しむときも、必ず水を併せて摂るようにしましょう。

食物繊維はなんでもいいわけじゃなかった？！

便秘対策でよく耳にするのが「食物繊維をとりましょう」というアドバイスです。確かに食物繊維は腸内環境や排便に深く関わっていますが、実は種類によって働きが異なります。

水溶性食物繊維

水に溶けてゲル状になり、便に水分を含ませて柔らかくする効果があります。特に「便が硬くて出にくいタイプ」の便秘におすすめです。

多く含む食品の例

ごぼう
かぼちゃ
オクラ
納豆
さつまいも（ガスを発生させ、腸を刺激する作用もあり）

不溶性食物繊維

水に溶けず、便のかさを増やして腸の動きを活発にする効果があります。「便は柔らかいのに出にくいタイプ」の便秘に向いています。

多く含む食品の例

ほうれん草
キャベツ
にんじん
枝豆

サラダや副菜として組み合わせやすいため、日常の食事に取り入れやすいでしょう。

適切なケアと治療で生活の質を改善しよう

便秘は多くの方が経験する症状ですが、放置すると日常生活にさまざまな支障をきたすことがあります。便秘の辛さは、実際に経験していない人にはなかなか理解しづらいものです。しかし、便秘で悩む方にとっては、腹部の張りや不快感、排便の困難さなど、日常生活に大きな影響を与えます。

便秘を放置せず、正しいケアや治療を行うことで、日常生活の不快感や苦痛を大きく軽減することが可能です。長年悩んでいる方も、まずは一歩踏み出して専門家に相談することが、快適な毎日への近道です。

動画：『池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック』
協力：『【便秘】ツラいお腹のハリを解消！消化器内科医が薦める改善法が最高だった』

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院院長：柏木宏幸

埼玉医科大学医学部卒業。東京女子医科大学消化器内科にて助教として勤務。複数の医療機関で臨床経験を重ね、2023年に現クリニックを開院。胃がん・大腸がんの早期発見と内視鏡検査の普及を目指し、企業や地域住民を対象とした健康診断や生活習慣病の治療をはじめ、一般内科および消化器疾患の診療に幅広く取り組んでいる。また、クリニックのYouTube(https://www.youtube.com/@HKa-wb4jw)を通じて医療知識や内視鏡検査の重要性を発信し、医療情報の普及活動にも尽力中。

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院：https://www.ikebukuro-cl.com

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。