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血糖値コントロールが鍵。疲れない体をつくる食との向き合い方【忙しい人の休養学 vol.4】

  • 2025.8.12

血糖値を制して疲れにくく

昨今、食後に血糖値が急上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」の問題が指摘されるなど、血糖値を上げにくい「低GI値」の食品を取り入れる人が増えているが、“休養学”の観点からも、血糖値のコントロールは重要なよう。

栄養の専門家、篠原岳先生は食べ方の工夫を教えてくれた。「ポイントは、血糖値のアップダウンの幅をゆるやかにすること。血糖値を上げすぎないためには、お菓子やパンなどの血糖値を上げる精製された糖質を避けるのが効果的です。普段の食事では、タンパク質約15%、脂質約25%、炭水化物が約60%のバランスが理想ですね。腸を傷めるグルテンを含むパンよりは米を優先し、魚や亜麻仁油などの良質な油も摂れるとベター」

血糖値キープに役立つヘルシーな補食

とはいえ、疲れている人や忙しい人にとって、毎食健康的な食事を実践するのはかなりハードルが高いと思われる。「パーフェクトな食事を目指して、神経質になりすぎるとかえって逆効果になることがあります。まずはできる範囲で実践を。そのうえで、はちみつや栗、干し芋といった自然由来の“補食=おやつ”をぜひ役立てて。食後2時間を過ぎると血糖値が下がりすぎる傾向にあるため、インスリンを刺激しない程度の少量の補食を食事の合間に摂ると、血糖値を適切な値にコントロールすることができます。はちみつならティースプーン2杯くらいまで。栗や干し芋は1時間おきにそれぞれ2個、1枚程度を目安にしましょう」(篠原先生)

アミノ酸やMCTオイルも有効なのだそう。「アミノ酸は疲労回復に効果的。疲れたからといって、市販の栄養ドリンクを飲むより、日中にアミノ酸サプリメントを摂るほうが賢い選択ですね。また、MCTオイルはエネルギーとなる際の効率が良いため、血糖値が下がるとつい甘ものに手が伸びがち、という方は取り入れてみてもよいでしょう」(篠原先生)最近はコンビニでも栗や干し芋が手軽に手に入るので、クッキーやチョコレートの代わりとして、今日からバッグに忍ばせてみよう。

チューブ状で手軽に携帯できるはちみつ。体調ケアに役立つマヌカハニーにアカシアハニーを加えて食べやすく。MYHONEY KISS マヌカブレンド 2.5g×15本 ¥2,490/MY HONEY(マイハニー)
チューブ状で手軽に携帯できるはちみつ。体調ケアに役立つマヌカハニーにアカシアハニーを加えて食べやすく。MYHONEY KISS マヌカブレンド 2.5g×15本 ¥2,490/MY HONEY(マイハニー)
有機JAS 認証のMCTオイル。エシカルなプロセスで採取されたオーガニックココナツのみを使用し、クセのない風味で料理や飲み物に入れて手軽に摂りやすい。オーガニックMCTオイル 250㎖ ¥3,850/FLORA HOUSE(プライムダイレクト)
有機JAS 認証のMCTオイル。エシカルなプロセスで採取されたオーガニックココナツのみを使用し、クセのない風味で料理や飲み物に入れて手軽に摂りやすい。オーガニックMCTオイル 250㎖ ¥3,850/FLORA HOUSE(プライムダイレクト)

食事で睡眠の質もコントロール

休養や睡眠の観点からは、食べすぎや、食べる時間にも配慮が必要なよう。「正月が過ぎたあとに七草粥で胃腸を休ませるという昔からの慣習は大変理にかなっていて、休養のためには胃腸を休ませることが有効です。食べすぎると胃腸に負担がかかるので、食事の量は腹八分目に。スイーツなどの甘いものや栄養ドリンクは、一時的に血糖値が上がって元気になったように錯覚しますが、実際に疲労がケアできているわけではないので、おすすめしません」と休養の専門家、片野秀樹先生は語る。

睡眠のプロである井坂奈央先生は時間帯に合わせて食事をコントロールすることをリコメンド。「朝は大豆やバナナ、アボカドなど、トリプトファンを多く含む食材がおすすめです。トリプトファンはセロトニンを経て、眠気を司るメラトニンへと時間をかけて変換されるため、朝に摂っておくと睡眠にメリットがあります。夕食は、過剰な脂質や糖質を避け、食物繊維を積極的に。グリシンというアミノ酸を含む、エビやホタテ、カニなどの魚介類を食べると、抹消血液量を増加させて、深部体温を下げ、間接的に睡眠のリズムを調整することに繋がります。

また、きのこ類やトマト、ナス、発酵食品などのGABAという成分を含んだ食品も、興奮を抑える作用があるので効果的。適度な量を就寝の2時間前までに摂ることが理想です。空腹だと寝つきが悪くなるので、夕食はきちんといただくことをおすすめします」(井坂先生)体を目覚めさせる朝ご飯をしっかり食べ、ドカ食いは避けるのが正攻法なのだ。

話を聞いたのは……

HIDEKI KATANO

片野秀樹。博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事。大学、理化学研究所を経て、現在は同協会にて研究員や講師を務める“休養の専門家”。休養に関する社会問題解決やリテラシー向上に取り組む。著書に『休養学:あなたを疲れから救う』など。

TAKESHI SHINOHARA

篠原岳。医学博士、東京原宿クリニック院長。内科、呼吸器内科、分子栄養療法を専門とする。自身の経験をもとに、西洋医学と栄養療法に加え、キネシオロジーなどのホリスティックなアプローチを実践。患者に寄り添う診療で、不調の根本解決に尽力。

NAO ISAKA

井坂奈央。医学博士、Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 睡眠センター長。日本睡眠学専門医。耳鼻咽喉科分野でのキャリアを経て、睡眠分野の診療を行う。診療科の枠を超えた睡眠分野の問題解決を担い、現代人の睡眠事情に精通する。

Text: Kiriko Sano Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年8月号「アクティブに攻めて、効率的に休む 忙しい人の休養学」転載記事。

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