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屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ

  • 2025.8.11

香川県高松市の北東部に位置する、屋島の麓にある野外博物館「四国村ミウゼアム」。1976(昭和51)年のオープン以来、四国各地から少しずつ移築復原された、江戸~大正時代の茅葺屋根の民家や蔵を中心に、貴重な建造物や民具が展示されています。村内をじっくり見て回るには2時間から半日ほど。安藤忠雄建築のミュージアムでアートにふれたり、茅葺屋根のうどん屋や洋館のカフェでランチやスイーツブレイクをはさみつつ、ノスタルジックさんぽを楽しみましょう。

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
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瀬戸内国際芸術祭の作品にもなったエントランス「おやねさん」

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
受付は「おやねさん」の1階で。スマホで利用できる無料音声ガイドもあるので、QRコードでアプリをダウンロード

村内に入ってすぐ待ち受けるのは、2022年4月のリニューアル時に新たに建設されたエントランス「おやねさん」。その愛称の由来ともなった有機的なうねりのある屋根が特徴で、2022年に瀬戸内国際芸術祭の作品にも登録されました。

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時間帯や日の入り方で表情を変える「木のステンドグラス」

印象的なのは、建物西側の「木のステンドグラス」。モダンアートのようなオブジェは、2011年の東日本大震災の際に津波で流された南三陸町の古民家の建材を生かして作られました。江戸時代中期に建てられた300年を超える古民家で、20m流された先でも建物の原形を支えた太い柱や梁を、輪切りにしてつないでいます。

重要文化財の古民家をはじめ、村内には見どころがたくさん

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
(左上)インフォメーションセンターは、元は丸亀藩の御用蔵だった米蔵 (左下)和洋折衷の蔵「福井家石蔵」は、先人の営みや暮らしぶりを上映するミニシアターとして活用 (右)壁も茅で囲われた「楮(こうぞ)蒸し小屋」

約50000㎡という広大な敷地には、住宅や米蔵、醤油醸造所、歌舞伎舞台など、四国各地から移築復原された33棟の古民家や建造物が建ち並びます。まずは村内散策の手掛かりに、四国村の資料が展示されているインフォメーションセンターへ。四国村全体を把握すると同時に、古民家移築のプロセスやかつての暮らしの様子などをうかがい知ることができます。

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1800年代後半(明治時代初期)に建てられた「冨木田家砂糖しめ小屋」。香川県坂出市から移築

童話の世界に出てきそうなかわいらしい三角屋根が特徴的な砂糖しめ小屋は、サトウキビを搾る作業小屋として昭和の時代まで使用されていました。古くから砂糖の生産が盛んで、和三盆糖で知られる香川県の伝統産業を今に伝える建物です。国内に現存する円錐屋根の砂糖しめ小屋は2棟のみで、そのどちらも四国村にあります。柱がなく、大きな梁のみで支えられている内部も見ものです。

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1977年完成の「染が滝」。階段に使用されている石は、主に明治・大正時代に民家の基礎として使われていた土台石

村内には屋外芸術作品もあります。世界的彫刻家・流政之氏が設計した幅12mの石と水による作品「染が滝」は、階段状の石を滝のように水が流れ落ちるさまを、目と耳で味わうことができます。滝へと流れる水が湧き出る「石組」や、入口から続く石畳の「流れ坂」とその先に広がる「石畳広場」など、四国村の全体設計のアドバイスも行った流氏が手がけた作品はほかにもたくさん。2024年4月には新たに3作品が追加され、「水景庭園」と「おやねさん」の2階で鑑賞できます。

「四国村ギャラリー」で安藤忠雄建築とアートを鑑賞

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
(左)躍動的な水の流れが心地よい「水景庭園」 (右上)安藤建築特有のコンクリート打ち放しの建物も見もの (右下)ロダンの彫刻作品も鑑賞できる

敷地内には、四国村創始者・加藤達雄氏が収集した国内外の美術品を主に展示する美術館「四国村ギャラリー」も。建築家・安藤忠雄氏の設計により2002年に開館しました。ピカソやルノアール、猪熊弦一郎氏といった近代絵画に加え、中国の金銅仏やペルシャ陶器など、さまざまな美術作品を展示。作品の展示室から高松の町並みを見渡すバルコニー、山の傾斜を生かして造られた「水景庭園」へ続くアプローチなど、建物全体の意匠も楽しみながら鑑賞ください。

「四国村カフェ」と「ミュージアムショップ」にも立ち寄りを

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
(左)コーヒーゼリー650円、グルジアン・ティー600円 (右上)1905(明治38)年に神戸に建てられた通称「ワサ・ハウス」をカフェとして利用 (右下)異国情緒あふれる店内

ミント色の外観がかわいい「四国村カフェ」は、英国人ウィリアム・ダウンさんと結婚した日本人女性ワサさんの住宅として建てられたもの。日本郵船の船員寮として使用されたのち、四国村に移築され、現在はカフェとして利用されています。イギリス・ビクトリア王朝時代のアンティークチェアやテーブルが迎える店内では、ケーキやドリンクに加え、サンドイッチなどの軽食も味わうことができます。

屋島の麓の野外博物館「四国村ミウゼアム」でノスタルジーさんぽ
ミュージアムショップでは、四国村ならではのオリジナルみやげが充実

敷地内をぐるっとめぐった後は、エントランスの「おやねさん」にも再び立ち寄りを。1階のミュージアムショップでは、四国村の建物と民具をモチーフにした和三盆や、「かずら橋」や「流れ坂」の手ぬぐいなど、オリジナルグッズの販売をしています。流政之氏の作品「雲の砦」を展示する2階では、醤油づくり関連の秘蔵資料なども閲覧できるので、散策の締めくくりに楽しんでくださいね。

四国村散策後は、茅葺き屋根の古民家「わら家」で名物の釜あげうどんを

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1975(昭和50)年創業。古民家の横には木組みの水車も

四国村ミウゼアム散策後は、「おやねさん」の前にあるうどん店「わら家」でランチを。県内でも名高い、創業50年の釜あげうどんの名店です。築150年を超える建物は、徳島県西祖谷と香川県綾川町から移築してきたもの。四国村創始者・加藤氏の古民家収集のきっかけとなった茅葺屋根が美しい古民家です。梁があらわになった店内も趣があります。

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特大うどん(2人前)1300円、とり天700円。一升徳利に入ったつけだしはお好きな量を

おすすめは木製のたらいで提供される釜あげうどん。香川県産のいりこと北海道産のこんぶでとっただしにつけていただきます。風味豊かな濃厚だしが、しっかりとしたコシとつるつるののど越しの麺によく合います。揚げたてサクサクで提供されるとり天も、だしとの相性ばっちり。シンプルに塩やレモンでも、素材の味が引き立ちます。

瀬戸内の島々を舞台にした3年に1度のアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が、2025年の春・夏・秋と開催されます。四国村ミウゼアムを含め、屋島エリアにも登録作品は4点あり、主なエリアへのアクセスの起点となる高松港へは車で20分とアクセスも良好。現代アートの鑑賞とあわせて、古の日本にタイムスリップしたかのような、唯一無二の里山ミュージアムを楽しんでくださいね。

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