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まるで未来都市。非日常を体験できる東京のエスカレーター6選

  • 2025.7.27
押上〈東京ソラマチ〉エレベーター、六本木〈泉ガーデンタワー〉エレベーター、渋谷〈SHIBUYA SKY〉屋上

エスカレーターに乗って味わう未来都市

子供の頃、漫画やアニメに描かれる「未来の都市」の風景に心を躍らせていた。新しい乗り物が空を走り回ったり、チューブを通って人がびゅんびゅん移動したり、とりわけ「宙を駆け回る」描写に私は憧れていたように思う。

大学の頃に東京に出てきて興奮したのは、そんな「未来の都市」の片鱗が、街の中に「もう存在している」ことだった。例えば、地下鉄の押上駅を降りると、目の前には空中を交差して走る〈東京ソラマチ®〉のエスカレーターが現れる。〈LIVIN OZ 大泉店〉のチューブエスカレーターは、夜には怪しく光り秘密結社のよう。大江戸線は地下深くを走ることで有名だが、飯田橋駅のエスカレーターは、長いだけではなく緑色のぐねぐねとした照明が謎の世界への入口を思わせる。

〈SHIBUYA SKY〉の屋上では、空へとそのまま飛び出していくようなエスカレーターで束の間の空中遊泳が楽しめる。〈泉ガーデンタワー〉では、ガラス張りの美しいトンネルの中を夢中で進んでいく体験が味わえる。新しくなった〈歌舞伎座〉は、赤絨毯の階段と思いきや、赤いステップが人を載せて、そのまま動きだす。

エスカレーター自体は、とりわけ新しい乗り物というわけではないし、ありふれたものと感じている人も多いと思う。でも、東京には、「宙を自由自在に駆け回る乗り物」としてのエスカレーターを楽しめる場所、未来の都市を実感できる場所が、もうすでに、たくさん存在しているのだ。

押上〈東京ソラマチ〉エレベーター
東京スカイツリー®の足元にオープンした〈東京ソラマチ®〉。押上駅と直結した玄関口部分にある吹き抜け空間が、21世紀的おしゃれ空間になっている。ロングエスカレーターが斜めに交わり、外装板に真っすぐ入れられた光のラインも相まって、「この角度もいい」と無限にシャッターを切りたくなる。住所:墨田区押上1-1-2
練馬〈LIVIN OZ 大泉店〉外観
外壁にチューブエスカレーターがドドンと張りつけられた印象的なショッピングビル。フランス・パリの名建築、ポンピドゥー・センターによく似ている。夜は惜しみなくライトアップされ、中に入っているのがスーパーマーケットや喫茶店であるということを忘れさせるくらい絵になる建物。住所:練馬区東大泉2-10-11
大江戸線飯田橋駅 エレベーター
都営地下鉄大江戸線は、すべての駅にパブリックアートが設置されている。飯田橋駅の天井に設置された緑色のぐねぐねとしたパイプは、渡辺誠による「ウエブフレーム」という作品。まるで異世界の植物が侵食しているような空間をエスカレーターで移動すれば、なんとも非日常的な体験となる。住所:千代田区飯田橋4-9-5
渋谷〈SHIBUYA SKY〉屋上
地上47階建ての超高層ビル〈渋谷スクランブルスクエア〉の展望施設にあるエスカレーターで、屋外型としては日本有数の高さに位置する。片側にガラスの柵がある以外、屋根もなく、開放感がすごい。眼下に街並みを見下ろしながら、まるで空中遊泳をしているような気分が味わえる。住所:渋谷区渋谷2-24-12 屋上
六本木〈泉ガーデンタワー〉エレベーター
六本木一丁目駅に直結する、すべての面がガラス張りの建物。エスカレーターも外壁と同じガラスに囲まれ、贅沢なトンネルになっている。宙に吸い込まれていくような4階から7階のロングエスカレーターで、透明のガラスを支える門形の支柱は、千本鳥居にも似た厳かな雰囲気。住所:港区六本木1-6-1
銀座〈歌舞伎座〉エレベーター
2013年に新開場した劇場、歌舞伎座。バリアフリーを意識し劇場内に初めて設置されたエスカレーターは特注品。廊下に敷き詰められた赤い絨毯や、赤い柱に合わせて、エスカレーターのステップやランディングプレートにも「赤」が用いられ、絨毯部分から違和感なく一体の空間としてつながっている。住所:中央区銀座4-12-15

profile

田村美葉(エスカレーターマニア)

たむら・みは/大学入学を機に上京して以来、都会の景色に魅了され、エスカレーターマニアとして活動。2020年エクスナレッジより『すごいエスカレーター』上梓。

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