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『認知症リスク』を遠ざける→医師が教える、“脳が喜ぶ”食べ物…青魚、ナッツ、そして“意外なもう1つ”は?!

  • 2025.8.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

加齢とともに不安になる認知症。誰しも「できるだけ遠ざけたい」と考えるものですよね。実は、日々の食生活が認知症リスクを左右すると言われ、医師も注目する“脳が喜ぶ”食品があります。中でも注目されているのは青魚やナッツ類ですが、それだけでなく、意外なもう1つの食材が脳の健康に役立つそうです。今回は、認知症リスクを遠ざけるヒントとして、食べ物に注目し、科学的根拠に基づきわかりやすく解説します。

脳を守る食事の秘密…青魚やナッツの効果について

認知症は単なる年齢のせいではなく、遺伝や生活習慣、特に食習慣の影響が大きいことがわかっています。脳の健康維持には抗酸化作用や抗炎症作用を持つ栄養素が不可欠です。青魚はDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸を豊富に含み、これらは脳細胞の膜を健康に保ち、記憶力や認知機能の維持に役立つことが医学的に証明されています。

また、ナッツ類、特にくるみやアーモンドは、不飽和脂肪酸に加え、ビタミンEも多く含みます。ビタミンEはその強力な抗酸化作用で脳の老化を防ぎ、認知症発症のリスク低減と関連づけられています。これらの食品は欧州や米国の複数の研究で、摂取量が多い人ほど認知機能低下が遅れる傾向が示されているのです。

意外なもう1つの食べもの…実は身近な『あの食材』

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、その「意外な食材」とは何でしょうか?アメリカ・バージニア工科大学が2023年に発表した研究によると、ルテインやゼアキサンチンなどのカロテノイドを多く含む野菜を食べている高齢者は、認知機能が高く、認知症やアルツハイマー病のリスクが低いことが分かったそうです。

一方で、アルツハイマー病患者の脳内では、これらの成分やビタミンEの量が健常者の半分程度に減少していたため、カロテノイドを多く含む野菜が認知症予防に効果的であると考えられます。

ルテイン・ゼアキサンチン・リコピンなどは緑黄色野菜に多く含まれる抗酸化作用のあるカロテノイドで、加齢とともに体内で減少するため、食事からの摂取が重要です。これらを多く含む野菜は、ほうれん草。また、ケールやカブの葉などにも含まれているためこういった食材を意識して摂取することが大切です。

これら“脳が喜ぶ”食事は特定の食品だけで成立するわけではありません。食事の摂り方として世界的に評価されているのが『地中海式食事法』です。魚、野菜、果物、オリーブオイルなどを中心としたこの食事法は、心血管病や認知症リスクを低減させることが多くの研究で報告されています。
さらに地中海食を脳の健康に特化して再設計された「MIND食(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)」では、

  1. 青魚を週2回以上
  2. ナッツを1日ひと握り
  3. 緑黄色野菜を毎日1皿

が推奨されています。これらの食事法を参考に、野菜・全粒穀物・オリーブ油・魚・ナッツ・適量ワインを日常食に組み込み、加工肉や過剰糖質を控えることが現実的です。

さらに、これらの食事に加え、身体活動(週150 分中強度)、良質な睡眠、禁煙。また血圧・糖代謝管理、難聴対策も組み合わせると効果が高まります。

認知症予防は毎日の食事から!

認知症は、生活習慣の調整でそのリスクを大きく下げることができると、今では広く認識されています。特に食事は、自分でコントロールしやすい健康習慣のひとつです。青魚やナッツ類、そしてカロテノイドを多く含む野菜を日々の食卓に上手に取り入れ、抗酸化・抗炎症作用の高い栄養素を積極的に摂取することが、脳の元気を保つ秘訣です。

  1. 魚は缶詰・冷凍でも可:サバ水煮缶1個でDHA/EPA推奨量の約8割をカバー。
  2. ナッツは無塩・素焼きで:塩分と糖質の過剰摂取を避ける。
  3. 彩りルール“3色”:緑(葉物)+赤(トマト)+黄橙(かぼちゃ)の3色を1日1回意識。
  4. サプリより食品から:ビタミンEやカロテノイドは高用量サプリで出血リスクや肺癌リスク増加の報告も。
  5. 青魚に含まれる水銀、ナッツアレルギー、サプリを摂取する場合は脂溶性ビタミン過剰などに注意が必要

以上のような点も考慮しつつまずは脳が喜ぶ記事中にある食べ物から習慣にしてみてはいかがでしょうか?少しの工夫で将来の自分の認知機能を守ることができるかもしれません。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医



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