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FP「退職金では買わないで」→実は『老後資金』が減るかも…購入してはいけない“3つのモノ”とは?【FPが解説】

  • 2025.7.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

長年勤めた会社を退職し、まとまった退職金を手にしたとき、「このお金を上手に運用したい」と考える方は多いでしょう。しかし、退職金という大切な資産を守るために、避けるべき金融商品があります。

今回はFPが教える銀行や証券会社から勧められてもすぐに契約しないほうがいい3つの商品をご紹介します。

退職金で買ってはいけない3つのもの

退職金を使って買ってはいけない、3つの代表的な金融商品を解説します。

1.毎月分配型投資信託

毎月分配型投資信託は、毎月分配金が支払われる投資信託です。「毎月お小遣いがもらえる」と勧められますが、大きな落とし穴があります。

分配金は、運用益から支払われるとは限りません。運用成績が悪いときは元本を切り崩して支払うことがあり、これを「元本払戻金」と呼びます。つまり、自分のお金を分配金として受け取っているだけです。

さらに、毎月分配金を受け取ると運用している資産が減るため、複利効果が期待できません。手数料も高く、長期的に見ると損失につながる可能性が高い商品です。

2.ファンドラップ

ファンドラップは、投資家に代わって金融機関が資産運用を行うサービスです。「プロにお任せできるから安心」と勧められますが、高い手数料が大きな問題です。

1,000万円を年率2%の手数料で運用した場合、1年間で20万円もの手数料が発生します。運用成績に関わらず手数料は引かれるため、長期間保有すると手数料負けしてしまう可能性が高いのです。

3.貯蓄型保険

貯蓄型保険は、保険と貯蓄の機能を併せ持つ商品として販売されています。しかし、退職金での一括払いで加入することはおすすめできません。

保障と貯蓄の機能が混在しているため、それぞれの効率が悪くなってしまいます。保険は必要最小限に加入し、貯蓄や投資は別々に考えるほうが合理的です。

販売手数料や管理費用など一連のコストも高く、大切な老後資金である退職金の運用先として、適切ではない場合もあるため加入前によく検討する必要があります。

退職金の賢い使い方

退職金は、年金と並んで老後資金を支える大切なお金です。どのようにして使うべきか、どの運用商品を選ぶべきか見ていきましょう。

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

1.一部を将来の医療費や介護費のためにプールしておく

退職後の生活で心配なのが、医療費や介護費の負担です。公的保険制度があるとはいえ、長期的に見ると自己負担分は相当な金額になる可能性があり、また医療費や介護費はいつ必要になるかわかりません。

退職金の20~30%程度を目安に、将来の医療費や介護費に備えて、現金として確保しておくのがよいでしょおう。この資金は普通預金や定期預金など、元本保証で流動性の高い商品で保管すると安心です。

2.絶対に減らしたくないお金→定期預金か個人向け国債を買う

退職金のうち、絶対に減らしたくないお金については、元本保証の商品を選ぶことが基本です。

定期預金は元本保証で、預金保険制度により、1つの金融機関につき1,000万円と利息まで保護されます。個人向け国債は、国が発行する債券で、元本と利息の支払いが国により保証されています。

個人向け国債変動10年(変動金利型の10年満期)であれば、金利上昇時には利息も増加するため、インフレに対してもある程度の対応が可能です。1年経過後であれば元本割れすることなく換金できるうえに、定期預金よりも若干高い金利が期待できます。

3.運用に回すお金→低コストのインデックスファンドを買う

退職金のうち、ある程度のリスクを取ってでも運用したいお金については、低コストのインデックスファンドを検討しましょう。

インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの市場指数に連動する投資信託です。市場全体の成長に投資することができ、年率0.1~0.5%程度の信託報酬で運用できます。毎月分配型投資信託やファンドラップなどと比較すると、優れた金融商品といえます。

ただし、低コストとはいえ元本割れのリスクがあることを理解し、余裕資金で行うことが重要です。リスクの取り過ぎには注意し、一時的に損失が発生しても、回復を待つ時間的・精神的な余裕を持ちましょう。

まとめ

退職金は老後の生活を支える大切な資産です。一度失ってしまうと取り戻すことは困難なため、慎重に運用することが求められます。

毎月分配型投資信託やファンドラップ、貯蓄型保険は、いずれも手数料が高いため購入は避けるべきです。退職金が銀行口座に振り込まれると、銀行から営業電話がかかってくるケースは多いですが、十分な知識がないまま預けたり運用を開始するのは避けたほうがベター。

退職金の運用は、まず安全性を確保した上で、余裕資金について適切なリスクを取るという考えのもと、よく考えてから使うようにしましょう。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。