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入りすぎて家計を苦しめてない?『保険貧乏』を脱却する3つのポイント【FPが解説】

  • 2025.7.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

保険に入り過ぎると、毎月の保険料が家計を圧迫します。「なんとなく心配だから」という理由で必要以上に保険へ加入すると、保険貧乏になりかねません。

保険は本当に必要なものだけに絞ることで、家計に余裕を作れます。今回は、必要な保険の考え方や、保険貧乏から脱却するための具体的な方法をお伝えします。

実は加入する必要が無い保険

巷にはさまざまな保険商品がありますが、実際には不要な保険が少なくありません。以下の保険について、本当に必要かどうか見直してみましょう。

終身保険

終身保険は一生涯保障が続く保険ですが、高額な保険料を払い続けなければなりません。貯蓄性があるため「損をしてしまうのは嫌だ」と考える方から人気がありますが、保険料は家計にとって負担となります。

もし死亡保険に加入するなら、終身保険ではなく定期保険がおすすめです。定期保険は一定期間の保障に限定され、貯蓄に回る部分がないため、保険料が終身保険の10分の1程度で済みます。

子どもが独立するまでの期間だけ定期保険でカバーし、浮いた保険料を貯蓄や資産運用に回すほうが合理的な場合もあります。

医療保険

「入院したら大変」という考えから、医療保険に加入する方が少なくありません。しかし、実は公的な健康保険制度が充実している日本では、医療保険はほとんど不要です。

高額療養費制度により、月の医療費が一定額を超えた分は払い戻されます。年収やその他の状況等により異なりますが、年収約370万円~約770万円の人の場合、月の自己負担額は8万円程度が上限となります。この程度なら、貯蓄で対応できるという家庭も多いでしょう。

なお、医療保険でカバーされるのは公的な医療保険ではカバーされない支出です。入院時の食事代や差額ベッド代などが代表的ですが、保険に加入して備えるのではなく、日頃の貯蓄で備えておけば問題ないという考え方もあります。

がん保険

がん保険も医療保険と同様に、公的制度でカバーできる部分が大きいため、加入する必要性が乏しい場合があります。がん治療のほとんどは高額療養費制度の対象となるため、状況にもよりますが実際の負担額はそれほど高くないことも。

がん保険の保険料を毎月払い続けるよりも、その分を貯蓄に回したほうが、家計にとってメリットが大きい場合もあります。

個人年金保険

個人年金保険は老後資金の準備として人気ですが、現在の低金利環境では魅力的でない場合も。長期間にわたって資金が拘束される上に、インフレリスクも考慮する必要があります。

老後資金を準備したい場合、iDeCo(個人型確定拠出年金)のほうが税制優遇が優れているため、まずはiDeCoやNISAに加入することをおすすめします。

必要な保険を見極める3つのポイント

では、本当に必要な保険はどのように判断すればよいのでしょうか。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

1、リスクの大きさを見極める

保険が必要かどうかを判断する重要なポイントは、「そのリスクが発生したときの経済的な影響の大きさ」です。保険は「滅多に起こらないけれども、もし起こってしまったら自分や家族の人生が破綻するリスク」に備えるものです。

例えば、一家の大黒柱が亡くなった場合、残された家族が生活費や教育費で困ってしまうのは避けなければなりません。このようなリスクでは、定期保険が必要です。

一方で、入院で数万円程度の出費が発生するリスクは、貯蓄で対応できるケースもあります。毎月保険料を払って、保険で備える必要があるか、よく検討しましょう。

2、貯蓄性は基本的に不要

「保険で貯蓄もできて一石二鳥」と思われがちですが、貯蓄性のある保険は一般的に保険料が高く、運用効率も良くないことも。実態としては、保険会社を介して投資信託を購入しており、無駄なコストを負担していることになる場合も…。

そのため、「保険は保険、貯蓄は貯蓄」と分けて考えるのが基本です。必要な保障は掛け捨ての保険で確保し、余った分は自分で運用しましょう。

3、営業トークを鵜呑みにしない

保険会社の営業員や代理店の担当者は、当然ながら保険を売ることが仕事です。彼らの提案をそのまま受け入れてしまうと、必要以上に多くの保険に加入することになりかねません。

営業トークに惑わされず、自分の家庭にとって本当に必要な保障は何かを、冷静に判断することが大切です。

まとめ

保険貧乏から脱却するためには、まず現在加入している保険を見直すことから始めましょう。本当に必要な保障だけを残し、不要な保険は解約することで、家計に余裕が生まれます。

浮いた保険料は貯蓄や投資に回すことで、より効率的に将来に備えることができます。保険は「安心を買う」ものですが、過度な加入は逆に家計を不安定にしてしまうことを忘れないようにしましょう。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。