「生きること死ぬことについて初めて考えた」──原菜乃華が小１で出合った、人生観を変えた１冊の絵本【FAB FIVE】

ドラマ&映画『【推しの子】』で見せた高い演技力が大きな話題を集めた原菜乃華が『見える子ちゃん』で挑むのは、ある日突然霊が見えるようになった女子高生・四谷みこ。泉朝樹による青春ホラーコメディ漫画の実写化作品だ。

「実はホラー映画は得意ではないんです。ですが、今作はコメディも青春もあるヒューマンドラマの中にときどき、心拍数が上がるようなおばけが出てくるので、ホラーというよりはアトラクション感覚で楽しめる作品だなと思います」

役は現場でつくっていった感覚が強いという彼女だが、驚くべきは劇中で披露する多彩な表情だ。驚くシーンだけでも何十通りものパターンで楽しませてくれる。「一応、家でも1〜2回は鏡を見て練習はしてみましたが、現場では撮影OKカットをモニターでチェックしながら、監督にどのくらいの塩梅でやるのがよいかを教えていただきました」

幼い頃は外遊びよりも家の中でドラマや映画を観ることが好きで、周囲の友人たちが習い事に行くのと同じ感覚でオーディションに通っていたという。「でも、未だにセリフ覚えは本当に苦手で、気合で乗り切っています」

本作では共演者たちと充実した時間を過ごす中で、再び青春時代の尊さを噛み締める、かけがえのない一作となった。「久間田（琳加）さんとなえなのさんと、一緒に楽屋で食事をしたり、今流行っているアプリやコスメの話をしているときは、中学時代のお昼休みを思い出して、ものすごく楽しかったです」

1 人生を変えたと思える本は？

『葉っぱのフレディ─いのちの旅─』という絵本です。小学校1年生の頃、演技のレッスンの課題 で読んで来るように言われて読んだのですが、生きること死ぬことについて初めて考えたかもしれません。今は忘れてしまったのですが、当時は全編暗唱するほど大好きな一冊でした。

2 変幻自在な演技力が高い評価を受けている原さんですが、役者として影響を受けたのは？

強烈に覚えているのは、私が9歳の頃に『地獄でなぜ悪い』という作品で、二階堂ふみさんの子ども時代を演じさせてもらったときのことです。当時二階堂さんは18歳くらいだったと思うのですが、彼女の目の演技が印象的で、子どもながらも体にビビビッと電流が走るような衝撃を受けました。自分もお芝居で人を圧倒させられる役者になりたいけどはたしてそれができるのか、と考えた のを記憶しています。

3 過去や未来も関係なく、自由に選べるとしたら、どこへ行きたいですか？

宇宙か深海。知らないことが多いまま死んでいくので、少しでも多くのことを知りたいという気持ちがあります。ただ、実際に行くとなったら準備などがものすごく大変だと聞くので、迷うとは思 います。

4 『見える子ちゃん』では高校生の役を演じていますが、ご自身の学生時代を振り返ったときに尊かったと感じることは？

私の青春は中学校の3年間の思い出が大きかったなと感じています。放課後みんなでおしゃべりをしたり、文化祭の準備をして、打ち上げで近くのファミレスに行ったり......。今になって、あの3年間は自分の中でとてつもなく大事な時間だったんだなと思います。出演する作品の役柄を通じて制服を着ることで、そんな青春時代を追体験しているという感覚もあります。

5 意外な展開や衝撃の結末に驚いた映画は？

今パッと頭に浮かんだのは、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゴーン・ガール』。個人的には、バッドエンドかハッピーエンドか、人によって解釈が分かれる映画が好きです。

Text: Rieko Shibazaki Editer: Yaka Matsumoto

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