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健康のためには1日どれくらいウォーキングすればいい? 1日2万歩を歩き始めて起きた体の変化

  • 2025.6.3

先日、ポルトガルのリスボンへ旅行したとき、旅先でテンションが上がったせいか、いつもは1日1万歩を歩いていたがそれをゆうに超えていたことに気づいた。実際iPhoneをチェックしたところ、初日の夜だけでなんと2万4003歩も歩いていたのだが、疲れ果てながらも自分の足でこんなにも歩いた、という達成感と喜びで眠りにつくことができ、驚くほど気分が良かったのだ。その翌週、ドイツに帰国した私は、いつもの生活の中でも旅先と同じ程度ウォーキングをするのを継続することで、健康にどんな効果があるかどうか観察してみることにした。

ヘッドホンでお気に入りの音楽を聴きながら、ただひたすら街中を、森の中を、そして慣れ親しんだ通りをただひたすら歩く──その結果をお話ししてみたい。

1日2万歩歩くことの影響

「1日に2万歩も歩く時間があるなんて、どんな人?」と大抵の人は思うだろう。例えば、犬を2匹飼っている人などはそのうちの一人だ。ここ数週間、私は朝や仕事前、昼休み、そして夕方と犬たちを1匹ずつ散歩に連れて行っていている。そして散歩の合間にもお店やカフェ、会議やインタビューなどに向かうためにさらに歩く。時には、日が暮れる直前に同じブロックをぐるっと1周していたこともあったほどだ。もちろん、ここ数カ月は家に置いた車や自転車は稼働させていない。

ウォーキングは、ランニングを組み込むこともできるし、どんな服装でもできるから手軽でいい。ウォーキングに特別なトレーニングウェアは必要ないが、私はいつも足元を快適に保つために、お気に入りのニューバランスのスニーカーを履き、ディナーデートに行くときは、“それ用”の靴をちゃんと持ち歩いている。

そして夜ベッドに横たわると、ウォーキングした日は足が重く感じて疲労感と満足感に包まれてすぐに眠りに落ちることに気づいた。だが何より特筆すべきは、歩き続けたことで思考に驚くほどポジティブな影響が現れたこと。歩いている最中に思考が自然と整理され、心がより自由でクリアになるのだ。

医師からのアドバイス

「“1日1万歩のすすめ”は、もともと医学的根拠から発生したものではなく、1965年に日本で行われた万歩計のマーケティングキャンペーンから生まれたものです」と、ケルンの「ドイツ体育大学」の総合医学・スポーツ医学・栄養医学の専門家であるクリスチーネ・ヨイステン博士は話す。

「実際、“1日1万歩”という考え方が公衆衛生機関に取り上げられ、その健康効果について科学的に検証されたのは、(その提唱から)ずっと後のことでした。当初は宣伝目的だった“1日1万歩”ですが、のちに健康に有益であることが証明されており、2万歩(14~17kmに相当する)歩くことはむしろ望ましいとみなされています」

ウォーキングのメリット

さらに、ウォーキングを増やすと消費カロリーが増え、食生活を変えなくても減量を促進できるというメリットもあると博士は続ける。「身体能力の向上や、心血管代謝リスクの軽減、血圧の低下、脂質プロファイル(血中の総コレステロール値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値をまとめたもの)とインスリン感受性の改善、さらには食後血糖値の低下など、ウォーキングには潜在的なメリットが多くあります」

同時に、筋肉量と筋機能の向上、骨密度の増加など筋骨格系にもメリットもあり、「精神力が強化されることでストレスやうつ症状が軽減され、睡眠の質が向上し、(日光を浴びながら歩くことで)気分も良くなります」と続ける。

また、ランニングに比べて関節や足への着地衝撃が少なく、支持筋が強化されるというメリットあるという。では、これらの効果を得るには、実際にはどれくらい歩けば良いのだろうか?

実際、1日に何歩歩くべきなのか

最近の研究では、成人の場合1日7,000~8,000歩歩くだけでも、全体的な死亡率が大幅に低下することが判明している。が、特に興味深いのは、歩く量が増えるほど、相対的なメリットも増えるという点だ。ヨイステン博士によると、500歩あるいは1,000歩(=1日5~10分のウォーキングに相当)増えるだけでも、心血管疾患による死亡率と死亡率の低下につながるという。

ウォーキングは“運動”なのか?

だが、実際ウォーキングばかりしているとジムに行く時間が減るため、果たしてウォーキングはジムでの運動の代わりになるのか、という疑問が湧いてくる。もしそうなら、ウォーキングが“運動”として成立するためには、一定の速度・心拍数・歩数を維持する必要があるのではないか。

「中程度の心拍数を保ちながら、6分間に1,000歩の歩行ペースで少し汗をかいたり息が上がるなどの負荷がかかるウォーキングの場合は、軽度~中程度の運動とみなされます」とヨイステン博士は言う。

1万歩~2万歩は一気に歩かないといけないのか?

さらにこの問いに対しても、博士は「これらの歩数を一気に歩く必要はありません。実際、世界保健機関(WHO)は、1日の中の一歩一歩がカウントされるとしています。ですから、ほんの少し歩くだけでも、健康にはポジティブな効果をもたらすということです」

歩きすぎることによる危険性は?

しかしながら、いくら健康に良いものでも、やはりやり過ぎはかえって身体にダメージを与えるものだ。そんな懸念に対し、博士はこう続ける。

「特に初心者やトレーニング不足の人の場合は、(一気に歩きすぎると)過負荷のリスクが高く、筋骨格系に悪影響が出ることは間違いありません。ですから、歩数を増やしたい人はまず日常生活で何歩歩いているかをこまめに記録しながら、徐々に歩数を増やしていくことをお勧めします」

私個人的には、これからも1万歩以上を目指して頑張るつもりだ。ただ、あくまでも“楽しみながら”。実際、博士も自分にプレッシャーをかけすぎないように継続するのが一番望ましいと言っている。なんにせよウォーキングとは、歩数が多いからといって良いというものでもない、ということ。できる範囲から少しずつ、楽しみながら続けることこそが、健康的なウォーキングと言えるかもしれない。

Text: Desireé Oostland Adaptation: Masami Yokoyama

From VOGUE.DE

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