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【50代のリノベーション】マンション住み替え体験記~新居の着工から持ち家の売却まで~vol.6

  • 2025.6.1

子どもが家を離れたのを機に、築45年の中古マンションを買って、フルリノベーションして住むことにした、50代夫婦の私たち。リノベーションの間取りは、広めの1LDK(小上がり付き)と決まり、仕様も固まって見積もりが出てきました。ここまでくれば着工まであと一息です。そして、同時進行で住まいの売却活動もはじめます。

やっぱり予算オーバー。減額の工夫あれこれ

さて、当初の見積もりで100万円ほど予算オーバーしてしまった私たち。マンションのスケルトンリノベーション(住宅の内装や設備、壁などをすべて取り払い、建物の骨組みだけを残した状態からリノベーションを行うことで、「フルリノベーション」の一種)は、解体費用や壊したものの処分費用などもかかります。しかも間取りはシンプルで、水回りを移動していないので、そんなに削れるところはないのですが、こんな工夫をしました。

●建具を少なくする
建具とは、室内のドアや収納のドアのことです。クローゼット、廊下の収納、靴箱、すべてドアをつけず、カーテンレールをつけて布で目隠しすることとしました。そして、トイレのドアもなくしました! といっても、トイレがオープン状態ではなく、洗面脱衣室の中にトイレがある状態(洗面脱衣室のドアに鍵も付けました)。
これが意外と便利で、お風呂の前や、外出から帰宅してうがい手洗いしたあとのトイレのアクセスが早い。1~2人暮らしにはおすすめです。

廊下にある収納をカーテンで目隠し。開け閉めしやすくて使いやすい。

●小上がりは合板にする
小上がりはフローリングにするか(畳は高いので速攻却下)、最初は迷っていたのですが、結局シナ材という合板にしました。床が合板ってどうなの?という意見もあるかと思いますが、シナ材はラワン材(赤褐色の合板でリノベーションによく使われる)とは違い、表面がつるつるなのであまり気になりません。

そして、小上がり下の収納も、跳ね上げ式や引き出し式はやめて、ふたになった床を自分で上げ下げする形にしました。こういった作り付けの収納(リノベーション界隈でいう造作)は、引き出しのような複雑なものは家具職人に依頼するためコストが跳ね上がります。棚だけ、ふたを置くだけのような簡単なものは大工さんが作るので、コストがおさえられるということでした。

シナ材を使用した小上がり。穴から手を入れてふたを持ち上げます。大きさや重さは、ひとりで持ち上げられるものにしてもらいました。

●照明類は施主支給に
リノベーションする場合、設備類はリノベーション会社が発注し取り付けもします。施主支給とは、施主(私たち)が家の設備を自分で買って、現場に持ち込んでつけてもらうこと。私は、ブラケット照明(壁に付ける照明)、ペーパーホルダー、玄関の鏡、マガジンラックやマグネットバーなど、自分で選んだものを施主支給しました。商品代金はほとんど変わらないのですが、現場管理費や消費税は設備代も含めた総額に対してかかるので、施主支給すると少し安くなるとのこと。

デスクまわりにつけたブラケット照明。電気工事はリノベーション会社にしてもらいました。

あとは、キッチンのタイル床の面積を少し広げてフローリングの施工費を減額しました。小さい積み重ねで50万円ほどダウンして夫も納得。ようやく契約にこぎつけました。

いよいよ解体! あらわになって見えたものとは

2024年の初夏、いよいよリノベーション工事がスタートしました。工事はまず既存の内装を解体するところから始まります。解体は数日で終わり、解体後の現場で予定していた工事がそのままできるかどうか、私たち施主も一緒に確認します。

ちなみにその日の様子はこんな感じ……。

解体が始まった室内。床下の配管もむき出しなので、足もとには注意です。

解体途中は、かなりぐちゃぐちゃですね……。パイプスペースのタテ管や床下の配管がどんな風になっていたのかもよくわかります(床下の配管は、我が家の専有部分なので新しいものに付け替えます)。

解体してみると、予想をしていなかった場所に梁が。例えばキッチンの換気扇は、ダクトだけだと思っていたのが梁があり、ただ、リビングと寝室の間で壁を立てれば目立たなそうでした。浴室やトイレは思ったよりゆとりがあり、廊下の幅が広くとれそうというのはよかった点。

そして、私たちのほうから気になったのは、天井の断熱材に謎のシミがあって汚かったこと。我が家は最上階なので、天井に断熱材が入っており、予定ではそのまま活用することになっていました。

天井の断熱材のシミ。これが天井全体に数か所ありました。

汚れは油分(換気扇のダクトから漏れたのか? 出所不明)らしく断熱性能には問題ないはず、とのことでした。が、40年以上経過しているもので、古いマンションの生活臭みたいなものが解体する前より強くなっていて、「これは断熱材がにおっているのでは……」という不安が。「今を逃したら張り替えるチャンスはない」と思い、追加工事をお願いしました(10数万のプラスになりましたが、工期に大きな影響もなく対応してもらえたので、やって正解でした!)。

張り替えられた断熱材。リノベーション会社からは、随時工事の様子が、写真などで共有されました。はがした天井にはひび割れや雨漏りなどはなかったとのことで、一安心。

マンションの売却活動スタート。気になる査定は

さて、工事が進んでいる間、私たちにはしなければならいことがあります。それは今住んでいるマンションの売却。以前も書いたように、私たちは住宅ローンを組んで新居を購入しているので、家をいつまでに売らなければならない、ということはなし。リノベーションが着工した後に売却活動を始めて、引っ越すころには買い手が見つかっているといいな、と考えました。

売却にあたり、不動産会社にまず査定をしてもらう必要があります。それから売却をお任せする会社を決めて、買主との間を仲介してもらうことになります(この辺はいろいろシステムがあるので、売却する前に調べたほうがいいです)。最初に査定をしてもらったのは、新居を買ったときの不動産会社A社でした。A社は自社サイトで長い文章とたくさんの写真でていねいに物件紹介をしているので、私も楽しみに見ていたのです。ご担当の方(購入の時とは別の人でした)も親切だったのですが……査定額が思っていたより低い……! 利便性や間取り、広さは申し分ないが、管理費&修繕積立金が高いこと、築20年超えでリノベーションが必要なので、現実的に売れるのはこの価格とのことでした。

納得はしたものの不動産価格がどんどん上がっている時期でもあり、本当にこれで売り出していいの?という疑問がわきます。

不動産の売買というのは数千万の取引です。10%の価格の違いでも、1~2年分の生活費くらい違うと考えるとめちゃくちゃ大きい。というわけで、他社の話も聞きたいと思い、マンションの管理会社の系列である大手不動産会社B社に連絡。こちらもすぐに査定に来てくれました。そして……出てきた査定はA社より1000万ほど高い結果に。内心、「え、本当にそんな高い値段で売れる……のか……?」と、不安になりつつも、愛着のある我が家を高く評価されたことはうれしい。

査定結果が大きく違ったのは、物件価格が上昇していく過程だったこと、A社とB社ではターゲットの違いも多少はあったのかもしれません。大手がいいとは限りませんが、その周辺の物件をどれだけ扱っているのか、経験の違いも価格に影響する可能性があります。

査定はあくまでも査定で、価格を決めるのは売主です。不動産会社も資料を用意してくれますが、日ごろから周辺の物件相場はチェックしておき自分なりの判断基準をもつことをおすすめします。

不動産会社からは査定額のほか、売り出しプランが何パターンか提案されます。価格が安ければ早期に売却できるスピードプラン、高ければ時間をかけて売却するチャレンジプランという説明でした。私たちはチャレンジプランの下限の金額で売り出しました。

住みながらの売却、目指すはモデルルーム

結果、B社にお願いすることになり、6月から売却活動を始めました。まず始めたのは、家の中の整理整頓と掃除です。住みながら売却するということは家族で暮らしている家に、内見のお客さんがどんどん来るということ。生活感はなるべく隠さなければなりません。目標はモデルルームのように片づいた家。収納が多いのが特徴でもあったので、家中どこを開けられても大丈夫なよう収納の中も整えます(もちろんここは開けないでーと、不動産会社に伝えれば開けられることはありません)。

ちょうど4月に息子が大学入学のために引っ越したこともあり、いらないものはどんどん捨てました。息子が置いて行った荷物など使わないものは新居のトランクルームに移動(早速役に立ちました)。ドアなど建具についた傷は、ホームセンターで買った補修材で目立たないように直しました。

すぐに買い手がついたものの、契約直前で振り出しへ…

インターネットに「内見募集」の広告を掲載すると、さっそくその週末から2件の申し込みが。部屋の案内は不動産会社の担当がしてくれるので、私は部屋の隅で待機ししていましたが、1組目からなかなか気に入ってくれた様子。

その夜、さっそく1組目の内見者が(契約の)申し込みをしたいとの連絡が。次の週末には契約を交わす流れになりました、「こんなにすぐ売れるとは思わなかった、ラッキーだね」と夫とはしゃいでいたのですが……。その後すぐに、やはり契約は見送りたいという連絡が。詳細な資金計画の段階になり、住宅ローンにプラスして管理費・修繕積立金の固定費の支払いが不安になったとのこと。ちょうどその時点で、管理費の値上げの予定(理事会で可決前の状態)があったのも、影響してしまったようです。

その後も、内見は何組も入り、「ここに住みたい」「申し込みたい」という人も数組いたのですが、なかなか契約には至らず。2か月を過ぎるころには内見客も途絶えました。これは、なにか手を打たないと!

真夏の売却活動になってしまったため、エアコンをきかせて冷たいお茶をお出しするなど、せめてものおもてなし。

物件探しをする人は、たいていSUUMOやアットホームなどの大手ポータルサイトを見ています。掲載される物件は、売り出し直後は検索上位に物件が出てきますが、時間がたつとどんどん下位に下がり、閲覧者数が減ってしまいます。これを避けるためには価格を下げるしかありません。価格を下げると、価格更新物件として再び上位に掲載されるようになります。

売り出しから2カ月が過ぎたのは、ちょうどお盆も間近な時期。お正月やお盆に家族で今後の住まいのことを話し合う人が多く、休み明けは問い合わせが増えるそうです。そのチャンスを逃さないためにも、値段を下げることにしました。もうここで決めたいと思い、ウン千560万円の価格をウン千260万円の300万円のダウン。もともと指値(買主が希望の価格に値切るとこと)があると思い少し高めに出していたので、値引きは許容範囲。

また、検索サイトでは予算を500万円で区切っているので、ウン千500万円以下で検索していてヒットしなかった人にも、見つけてもらえることになります。

それが功を奏してお盆明けにまた問い合わせが増加し、内見した若いご夫婦からさっそく申し込みが。固定費の額も問題ないとのことで、無事契約を済ませることができました。

売却活動がうまくいくかどうかは、立地や間取りなどの条件と、価格にかかります。実際の活動は不動産会社にお任せになるので、連絡などきちんと入れてくれる信頼できる担当者に会うことも大切です。

さて、次回は、いよいよ完成した物件をご紹介します。

田中絵真

フリーライター 田中絵真

田中絵真

暮らしまわり、ヘルスケアの記事を多く執筆。

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